主な特徴

優れた高温強度、熱安定性、および耐環境性

HAYNES® 230® (UNS N06230)合金は、優れた高温強度、2100 ℉ (1149 ℃) 以下の高温に長期間曝さ
れる環境下での卓越した耐酸化性、窒化環境に対する最良の耐性、ならびに優れた長期間の熱安定
性を併せ持つニッケル-クロム-タングステン-モリブデン合金です。この合金は容易に加工および成形
することができ、鋳造することもできます。その他の注目すべき特徴としては、ほとんどの耐熱合金よりも低熱膨張特性で、高温に長時間曝された場合の結晶粒の粗大化に対して著しい耐性があることです。

容易な加工

HAYNES® 230®合金は、優れた成形性と溶接性を有しています。 部材全体が 2150 ℉ (1177 ℃) にな
るのに十分な時間、この温度を保持できるのであれば、鍛造あるいは熱間加工することができま
す。延性が良好であることから、230® 合金は冷間加工で容易に成形することもできます。熱間あるい
は冷間加工した部品は全て、特性の最適バランスを復活させるためにアニールし、急冷しなければな
りません。この合金は、ガスタングステンアーク溶接(GTAW)、ガスメタルアーク溶接(GMAW)、および抵抗溶接など、様々な方法で溶接することができます。

熱処理

230®鍛造合金は、特に指示がない限り、溶体化処理した状態で提供されます。この合金は、特性を
最適化するために 2150~2275 ℉ (1177~1246 ℃) の範囲で溶体化処理され、急冷あるいは水冷され
ます。

溶体化処理温度よりも低い温度でのアニールは230®合金に若干の炭化物を析出させ、合金の強度と
延性にわずかな影響を及ぼす可能性があります。

鋳造

HAYNES® 230®合金は、従来の大気溶解砂型鋳造法あるいは真空溶解インベストメント鋳造法により
鋳造することができます。湯流れを良くするために、シリコン含有量を規格範囲の最大値に設定するこ
とをお勧めします。鋳物は要求される特性によって、鋳放し、あるいは溶体化処理した状態で使用する
ことができます。

用途

HAYNES® 230®合金が併せ持つ特性は、この合金を、航空宇宙および発電産業における広く多
様な部品用途に適した理想的な合金にしています。この合金は、燃焼器内筒、尾筒、火炎保持
器、熱電対の被覆、および他の重要なガスタービン部品に使用されます。化学プロセス産業に
おいては、 230®合金はアンモニアバーナにおける格子状触媒支持具、高強度の熱電対保護管、
高温熱交換器、ダクト、高温用ベローズ、および様々な他の重要なプロセス内部部品に使用され
ます。

工業用加熱産業においては、230®合金は炉のレトルト、鎖および固定具、バーナー火炎のシュ
ラウド、再生器の内部部品、ダンパー、窒化炉の内部部品、熱処理用のカゴ、格子、トレー、ス
パージャー管、熱電対保護管、サイクロン内部部品、およびその他多くの部品に使用されます。

*この合金に関して技術的なご質問がある場合は、当社の技術支援チームにご連絡ください。

標準化学組成

重量 %

ニッケル:N 57 Balance
クロム:Cr 22
タングステン:W 14
モリブデン:Mo 2
鉄:Fe 3 max.
コバルト:Co 5 max.
マンガン:Mn 0.5
ケイ素:Si 0.4
ニオブ:Nb 0.5 max.
アルミニウム:Al 0.3
チタン:Ti 0.1 max.
炭素:C 0.1
ランタン:La 0.02
ホウ素:B 0.015 max.

クリープおよびラプチャー特性

HAYNES® 230®は、優れた高温強度と室温での良好な加工性を併せ持つ固溶強化型の材料です。
この合金は、1200 ℉ (649 ℃)あるいはそれ以上の温度で非常に長期間使用される用途に対して
特に有効で、温度条件によってはステンレス鋼やニッケル合金の100倍も長持ちします。長持ち
させる代わりに、230®合金のより高い強度により、耐荷重能力を失うことなく、強度に劣る合金より
も75%も薄い厚さで設計することができます。

一定の試験条件における種々の合金のストレスラプチャー寿命(棒および厚板)*

合金 破断するまでの時間(hr)
1400°F (760°C) 1600°F (871°C) 1800°F (982°C)
15.0 ksi (103 MPa) 4.1 ksi (31 Mpa) 2.0 ksi (14 Mpa)
230® 8,200 65,000 5,000
625 19,000 14,000 2,400
X 900 5,000 2,100
800H 130 1,200 920
INCONEL® 601 50 1,200 1,000
253 MA® 140 900 720
600 15 280 580
316 SS 100 240 130
RA330® 30 230 130
304 SS 10 100 72

*ラーソンミラーパラメータより推定

1000時間で1%のクリープを生じる応力の比較(薄板)

溶体化処理した 230®薄板

試験温度 クリープ 下記時間で所定のクリープを生じるおおよその初期応力:
10 Hours 100 Hours 1,000 Hours 10,000 Hours
°F °C % ksi MPa ksi MPa ksi MPa ksi MPa
1200 649 0.5 31 214
1 35 241 24* 165*
R 51 352 36 248 28 193
1300 704 0.5 29 200 21 145 14.5 100
1 33 228 23 159 17 114
R 47 324 34 234 26 179 20 134
1400 760 0.5 19.2 132 13.7 94 9.6 66 7.3 50
1 21 145 15.5 107 11.5 79 8.6 59
R 32 221 24.5 169 18.2 125 13.2* 91*
1500 816 0.5 14.2 98 10.3 71 7.5 52 5.4* 37*
1 15 103 11.2 77 8.6 59 6.5* 45*
R 23* 161* 17.5 121 12.5 86 8.4* 58*
1600 871 0.5 11.3 78 8.1 56 5.7 39 4.0 28
1 11.7 81 9.0 62 6.2 43 4.3 30
R 17.0 117 12.5 86 8.2 57 5.6* 39*
1700 927 0.5 7.7 53 5.5 38 3.8 26 2.4* 17*
1 8.8* 61* 6.2 43 4.2 29 2.7* 19*
R 12.0* 83* 8.0 55 5.1 35 3.2 22
1800 982 0.5 7.0 48 3.6 25 1.8 12 0.85 5.9
1 8.0 55 4.1 28 2.0 14 1.0 6.9
R 10.0 69 5.4 37 2.6 18 1.2* 8.3*
1900 1038 0.5 1.7 12 0.8 5.5
1 2.0 14 0.9 6.2
R 3.0* 21* 1.5 10
2000 1093 0.5
1 0.9 6.2
R

*データを著しく外挿して得た値
† Values obtained using Larson-Miller interpolation

溶体化処理した 230® 厚板

温度 クリープ 下記時間で所定のクリープを生じるおおよその初期応力:
10 Hours 100 Hours 1,000 Hours 10,000 Hours
°F °C % ksi MPa ksi MPa ksi MPa ksi MPa
1200 649 0.5 35 241 23 159
1 39 269 26.5 183 17.5 121
R 75 517 56 386 41 283 29 200
1300 704 0.5 35 241 21.5 148 14.5 100
1 39 269 24.5 169 18 124 12.3* 85*
R 59 407 42 290 30 207 21 145
1400 760 0.5 19 131 13.5 93 10 69
1 23 159 15.9 110 11.5 79 9.0* 62*
R 37 255 27 186 20 138 14.2 98
1500 816 0.5 14 97 10.4 72 8.2 57 6.1 42
1 16.5 114 12.5 86 9.5 66 6.9 48
R 26 179 20 138 14 97 9.8 68
1600 871 0.5 10.3 71 7.6 52 5.6 39 4 28
1 11.7 81 9 62 6.2 43 4.3 30
R 20 138 13.7 94 9.5 66 6.2 43
1700 927 0.5 7.8 54 5.7 39 3.9 27 2.5 17
1 8.8 61 6.8 47 4.5 31 2.7 19
R 15 103 10 69 6 41 3.6 25
1800 982 0.5 5.8 40 3.5 24 1.8 12 0.9 6.2
1 6.3 43 4 28 2.1 14 1.1 7.6
R 9.4 65 6 41 3.2 22 1.7 12
1900 1038 0.5 4 28 2 14 0.9 6.2
1 4.4 30 2.2 15 1 6.9 0.50* 3.4*
R 7 48 3.7 26 1.8 12 1 6.9
2000 0.5 1.9 13 0.8 5.5 0.35 2.4
1093 1 2.3 16 1 6.9 0.47 3.2 0.20* 1.4*
R 4.2 29 2.1 14 1 6.9 0.55 3.8

*データを著しく外挿して得た値

低サイクル疲労

HAYNES® 230®合金は、高温で優れた低サイクル疲労特性を示します。下に示すのは、800 ~
1800℉ (427 ~ 982℃)の温度範囲で行われたひずみ制御試験の結果です。試料は厚板を機械
加工したものです。試験は周波数が20 cpm (0.33 Hz)の条件で、完全両振りひずみ(R= -1) で
実施しました。

低サイクル疲労特性の比較

下のグラフは、受領状態、および予め 1400 ℉(760 ℃)で1000時間曝露した状態の合金数種類
を、 800 ℉ (427 ℃)で試験した場合の低サイクル疲労寿命の比較です。試料は厚板あるいは棒
を機械加工したもので、曝露試料は曝露後に機械加工しました。この試験も完全両振りひずみ
(R=-1)で、周波数は20 cpm (0.33 Hz)の条件で実施し ました。TSR=全ひずみ幅。

800 ℉ (427 ℃) における種々の合金の LCF 寿命

軸方向 LCF 試験結果のまとめ (R = -1, f = 0.33 Hz)

温度 全ひずみ範囲:Δεtot % Ni, き裂発生サイクル数 Nf, 破断サイクル数
°F °C
800 427 1.5 2,230 2,398
1 8,480 8,742
0.8 14,918 16,575
0.65 45,127 46,523
0.55 103,910 115,456
1000 538 1.5 1,329 1,540
1.25 1,974 2,368
1 3,330 4,413
0.8 7,864 8,734
0.7 8,423 9,876
0.6 38,696 40,604
0.56 73,014 74,132
0.53 200,005*
0.5 201,190*
1200 649 1.25 1,022 1,257
1 1,852 2,254
0.8 3,431 4,248
0.6 8,962 11,058
0.5 82,275 85,563
0.45 200,002*
0.4 200,005*
1400 760 0.8 1896 2218
0.4 20,519 21,564
0.4 43,915 45,279
0.3 203,327*
1400 760 1 870 1,097
1 827 990
0.7 3,166 3,622
0.5 8,153 8,490
0.4 51,285 57,819
0.4 68,451 75,470
0.38 95,165 96,844
0.37 91,879 97,612
0.35 202,920*
0.3 150,000*
1600 871 0.7 1,279 1,504
0.5 3,939 4,299
0.5 3,176 3,473
0.4 9,712 10,837
0.4 9,296 10,781
0.35 19,179 20,964
0.31 61,898 63,253
0.3 65,691 66,926
0.25 200,770*
1800 982 0.6 818 1,218
0.5 1,506 2,582
0.4 3,520 4,223
0.4 3,070 4,784
0.3 19,810 21,311
0.3 13,904 19,200
0.25 105,140 106,020
0.25 116,960 119,890

*計測時間オーバー

引張特性

230® 薄板の引張特性

試験温度 試験温度 極限引張強さ 伸び
°F °C ksi MPa ksi MPa %
70 21 60.4 417 121.4 837 47.3
1000 538 42.6 294 100.1 690 51.7
1200 649 42.2 291 96.6 666 56.9
1400 760 45.1 311 78 538 59.5
1600 871 34.2 236 44.6 308 74.2
1800 982 17.8 123 24.5 169 54.1
2000 1093 10 69 13.1 90 37

230® 厚板の引張特性

試験温度 0.2% 耐力 極限引張強さ 伸び
°F °C ksi MPa ksi MPa %
70 21 55.5 383 123.6 852 46
1000 538 38.1 263 102.5 706 53.2
1200 649 38.7 267 98.2 677 53
1400 760 37.7 260 77.2 533 68
1600 871 33.9 234 45.1 311 94
1800 982 16.8 116 24.3 168 91.2
2000 1093 9.1 63 13.2 91 92.1

降伏強度の比較(厚板)

熱安定性

HAYNES® 230® 合金は、中間温度で長期間曝露された後でも優れた延性を保持しています。この
合金は、1200~1600 ℉(649~871 ℃)の温度に16,000時間曝された後であっても、σ相、μ 相、ある
いは他の有害な相を形成しません。固溶体から析出する主要な相は全て炭化物です。

これは、HAYNES® 188合金、HAYNES® 625合金、および HASTELLOY® X合金のような他の多くの
固溶強化型合金とは著しく対照的です。これらの合金は全て有害な相を析出し、引張延性と衝撃
強度を低下させます。

熱曝露後の室温特性

条件 0.2% 耐力 極限引張強さ 伸び 絞り 衝撃強さ
ksi ksi % % ft-lb
MA 58.4 123.1 50 47.2 54
+ 1200/8,000 hr 57.9 128 36.4 39 31.4
+ 1200/20,000 hr 57.6 128.4 34.8 37 28.9
+ 1200/30,000 hr 59.4 129.9 34 38.3
+ 1200/50,000 hr 61.2 131.7 33.9 36.9 25.8
+1400/8,000 hr 59.2 129.7 32 34.3 18.7
+1400/20,000 hr 55 126.9 31.2 31.6 18.8
+1400/30,000 hr 54.3 126.9 31.3 33.9
+1400/50,000 hr 55.2 127.7 32.2 32.5 20.7
+ 1600/8,000 hr 54.3 122.7 36.2 34.6 21.6
+ 1600/20,000 hr 50.1 121.6 34.4 31.1 19.5
+ 1600/30,000 hr 49.6 120 32.1 28.6
+ 1600/50,000 hr 50.4 116.7 25.2* 20.2 14.8

*BIGM; AGL 伸び、小さくなる傾向がある;その他は 4D 伸び。

特定温度に8000時間曝露された後の
残留室温延性

曝露温度 230® 188 625 X
室温引張伸び 室温引張伸び 室温引張伸び 室温引張伸び
°F(℃) % % % %
1200(649) 36.4 29.1 18 19
1400(760) 32 10.8 13 19
1600(871) 36.2 22.2 26 30

耐結晶粒粗大化特性

HAYNES® 230® 合金は、高温における結晶粒の粗大化に対して優れた耐性を示します。その一
次炭化物が非常に安定であることにより、230® 合金は 2200℉ (1204℃) の高温に24時間曝して
も結晶粒が著しく粗大化することはありません。HAYNES® 188 合金あるいは HASTELLOY® X 合
金のような材料は、このような条件下では、ほとんどの鉄基、ニッケル基、あるいはコバルト基合
金やステンレス鋼のように、より大きな結晶粒の粗大化を呈示します。

曝露時間 下記温度で様々な時間曝露された合金の結晶粒サイズ*
(ASTM 結晶粒度)
2150°F (1177°C) 2200°F (1204°C)
h 230® 188 X
0 4-4 1/2 4-4 1/2 4-5 4-5 3 1/2 3 1/2
1 4-5 4-4 1/2 2-5 2.4 3 1/2 0-1
4 4-4 1/2 4-4 1/2 3 1/2 3 3 1/2 0-1
24 4 4-4 1/2 0-2 1-3 00-4 0-1 1/2

*厚板製品

物理的特性

物理特性 英国単位 メートル単位
密度 RT 0.324 lb/in3 RT 8.97 g/cm3
溶融温度 2400-2570°F 1301-1371°C
電気抵抗 RT 49.2 µohm-in RT 125.0 µohm-m
200°F 49.5 µohm-in 100°C 125.8 µohm-m
400°F 49.8 µohm-in 200°C 126.5 µohm-m
600°F 50.2 µohm-in 300°C 127.3 µohm-m
800°F 50.7 µohm-in 400°C 128.4 µohm-m
1000°F 51.5 µohm-in 500°C 130.2 µohm-m
1200°F 51.6 µohm-in 600°C 131.2 µohm-m
1400°F 51.1 µohm-in 700°C 130.7 µohm-m
1600°F 50.3 µohm-in 800°C 129.1 µohm-m
1800°F 49.3 µohm-in 900°C 127.1 µohm-m
1000°C 125.0 µohm-m
温度拡散率 RT 3.8 x 10-3in2/sec RT 24.2 x 10-3cm2/s
200°F 4.1 x 10-3in2/sec 100°C 26.8 x 10-3cm2/s
400°F 4.7 x 10-3in2/sec 200°C 29.9 x 10-3cm2/s
600°F 5.2 x 10-3in2/sec 300°C 32.9 x 10-3cm2/s
800°F 5.6 x 10-3in2/sec 400°C 35.7 x 10-3cm2/s
1000°F 6.1 x 10-3in2/sec 500°C 38.5 x 10-3cm2/s
1200°F 6.5 x 10--3in2/sec 600°C 41.9 x 10-3cm2/s
1400°F 6.7 x 10-3in2/sec 700°C 43.0 x 10-3cm2/s
1600°F 6.7 x 10-3in2/sec 800°C 43.2 x 10-3cm2/s
1800°F 7.3 x 10-3in2/sec 900°C 44.4 x 10-3cm2/s
1000°C 48.2 x 10-3cm2/s
熱伝導率 RT 62 Btu-in/ft2-hr-°F RT 8.9 W/m-°C
200°F 71 Btu-in/ft2-hr-°F 100°C 10.4 W/m-°C
400°F 87 Btu-in/ft2-hr-°F 200°C 12.4 W/m-°C
600°F 102 Btu-in/ft2-hr-°F 300°C 14.4 W/m-°C
800°F 118 Btu-in/ft2-hr-°F 400°C 16.4 W/m-°C
1000°F 133 Btu-in/ft2-hr-°F 500°C 18.4 W/m-°C
1200°F 148 Btu-in/ft2-hr-°F 600°C 20.4 W/m-°C
1400°F 164 Btu-in/ft2-hr-°F 700°C 22.4 W/m-°C
1600°F 179 Btu-in/ft2-hr-°F 800°C 24.4 W/m-°C
1800°F 195 Btu-in/ft2-hr-°F 900°C 26.4 W/m-°C
1000°C 28.4 W/m-°C
比熱 RT 0.095 Btu/lb-°F RT 397 J/kg·°C
200°F 0.099 Btu/lb-°F 100°C 419 J/kg·°C
400°F 0.104 Btu/lb-°F 200°C 435 J/kg·°C
600°F 0.108 Btu/lb-°F 300°C 448 J/kg·°C
800°F 0.112 Btu/lb-°F 400°C 465 J/kg·°C
1000°F 0.112 Btu/lb-°F 500°C 473 J/kg·°C
1200°F 0.134 Btu/lb-°F 600°C 486 J/kg·°C
1400°F 0.140 Btu/lb-°F 700°C 574 J/kg·°C
1600°F 0.145 Btu/lb-°F 800°C 595 J/kg·°C
1800°F 0.147 Btu/lb-°F 900°C 609 J/kg·°C
1000°C 617 J/kg·°C
平均熱膨張係数 70-200°F 6.5 µin/in -°F 25-100°C 11.8 x 10-6m/m·°C
70-400°F 6.9 µin/in -°F 25-200°C 12.4 x 10-6m/m·°C
70-600°F 7.2 µin/in -°F 25-300°C 12.8 x 10-6m/m·°C
70-800°F 7.4 µin/in -°F 25-400°C 13.2 x 10-6m/m·°C
70-1000°F 7.6 µin/in -°F 25-500°C 13.6 x 10-6m/m·°C
70-1200°F 8.0 µin/in -°F 25-600°C 14.1 x 10-6m/m·°C
70-1400°F 8.3 µin/in -°F 25-700°C 14.7 x 10-6m/m·°C
70-1600°F 8.6 µin/in -°F 25-800°C 15.2 x 10-6m/m·°C
70-1800°F 8.9 µin/in -°F 25-900°C 15.7 x 10-6m/m·°C
25-1000°C 16.1 x 10-6m/m·°C
動弾性係数 RT 30.3 x 106 psi RT 209 GPa
200°F 30.1 x 106psi 100°C 207 GPa
400°F 29.0 x 106psi 200°C 200 GPa
600°F 27.8 x 106psi 300°C 193 GPa
800°F 26.8 x 106psi 400°C 186 GPa
1000°F 25.9 x 106psi 500°C 181 GPa
1200°F 24.9 x 106psi 600°C 175 GPa
1400°F 23.6 x 106psi 700°C 168 GPa
1600°F 22.2 x 106psi 800°C 159 GPa
1800°F 20.7 x 106psi 900°C 150 GPa
2000ºF 19.1 x 106psi 1000°C 141 Gpa
動せん断弾性係数 RT 11.5 x 106psi RT 79 GPa
200°F 11.4 x 106psi 100°C 79 GPa
400°F 11.0 x 106psi 200°C 76 GPa
600°F 10.5 x 106psi 300°C 73 GPa
800°F 10.1 x 106psi 400°C 70 GPa
1000°F 9.7 x 106psi 500°C 67 GPa
1200°F 9.3 x 106psi 600°C 64 GPa
1400°F 8.8 x 106psi 700°C 61 GPa
1600°F 8.2 x 106psi 800°C 57 GPa
1800°F 7.6 x 106psi 900°C 52 GPa
2000°F 7.0 x 106psi 1000°C 48 GPa
ポアソン比 RT 0.31 RT 0.31
200°F 0.31 100°C 0.31
400°F 0.32 200°C 0.32
600°F 0.32 300°C 0.32
800°F 0.33 400°C 0.33
1000°F 0.33 500°C 0.33
1200°F 0.34 600°C 0.34
1400°F 0.34 700°C 0.34
1600°F 0.35 800°C 0.34
1800°F 0.36 900°C 0.35

RT= 室温

熱膨張特性

HAYNES® 230® 合金は、ほとんどの高強度超合金、鉄-ニッケル-クロム合金、およびオース
テナイト系ステンレス鋼と比べて、比較的低い熱膨張特性を持っています。これにより、重要部
品の寸法および隙間を厳密に制御できるだけでなく、複雑な要素を組み立てた部品の運転中
の熱応力を軽減できます。

耐酸化性

HAYNES® 230® 合金は、空気および燃焼ガスの酸化雰囲気に対して優れた耐性を示し、
2100℉ (1149℃)以下の温度に長期間連続的に曝して使用することができます。短時間の曝
露であれば、230® 合金は更に高い温度で使用することができます。

酸化試験の評価に使用した金属組織学的手法の模式図

動的酸化試験結果の比較

合金 1600°F (870°C), 2000 h, 30-min cycles 1800°F (980°C), 1000 h, 30-min cycles 2000°F (1090°C), 500 h, 30-min cycles 2100°F (1150°C), 200 h, 30-min cycles
メタルロス 平均酸化層厚さ メタルロス 平均酸化層厚さ メタルロス 平均酸化層厚さ メタルロス 平均酸化層厚さ
mils µm mils µm mils µm mils µm mils µm mils µm mils µm mils µm
188 1.1 28 2.9 74 1.1 28 3.2 81 10.9 277 13.1 333 8 203 9.7 246
230® 0.9 23 3.9 99 2.8 71 5.6 142 7.1 180 9.9 251 6.4 163 13.1 333
617 2 51 7.8 198 2.4 61 5.7 145 13.3 338 20.9 531 13.8 351 15.3 389
625 1.2 30 2.2 56 3.7 94 6 152 Consumed
556® 1.5 38 3.9 99 4.1 104 6.7 170 9.9 251 12.1 307 11.5 292 14 356
X 1.7 43 5.3 135 4.3 109 7.3 185 11.6 295 14 356 13.9 353 15.9 404
HR-120® 6.3 160 8.3 211
RA330 2.5 64 5 127 8.7 221 10.5 267 15.4 391 17.9 455 11.5 292 13 330
HR-160® 5.4 137 11.9 302 12.5 18.1 460 8.7 221 15.5 394
310SS 6 152 7.9 201 16 406 18.3 465 消滅
800H 3.9 99 9.4 239 22.9 582 厚みを貫通 300時間後に消滅 消滅

バーナーリグ酸化試験は、3/8” x 2.5” x 特定厚さ (9mm x 64 mm x 特定厚さ)の試料を回転式の保
持具に取付け、No.1燃料油:2、No.2燃料油:1の混合燃料を空気と燃料の比率が約50:1の条件で燃
焼させたときにできる燃焼ガス中に曝露して実施しました。燃焼ガスの流速は約0.3マッハ数でした。試
料は30分毎に自動的にガス流から取り出され、ファンで外気温度近くまで冷却した後、燃焼ガス流中
に戻されました。

2100℉ (1149℃)の空気流中に 1008 時間曝露した時の酸化の比較

下に示すのは、7.0 feet/min (2.1 m/min) の速度で試料を通過する 2100℉(1149℃)の空気流中
に1008時間曝した試験片のミクロ組織です。試験片を溶融塩溶液に浸して陰極チャージするこ
とで試料のスケールを落としました。それぞれの写真上部の黒い領域は、酸化による実際のメタ
ルロスを示しています。データは、HAYNES® 230® 合金が前頁の表に記載された合金のみなら
ず、INCONEL 合金 601 および 合金 800Hの双方よりも優れていることを明白に示しています。

水蒸気試験

 合金 1008 hours @ 1600F Cycled 1x/week in air+10%H2O 1008 hours @ 1600F Cycled 1x/week in air+20%H2O 6 months @ 1400F Cycled 1x/week in air+10%H2O
メタルロス 平均酸化層厚さ メタルロス 平均酸化層厚さ メタルロス 平均酸化層厚さ
mils/片側 mm/片側 mils/片側 mm/片側 mils/片側 mm/片側 mils/片側 mm/片側 mils/片側 mm/片側 mils/片側 mm/片側
230® 0.07 0.002 0.53 0.013 0.03 0.001 0.21 0.005 0.05 0.001 0.35 0.009
625 0.11 0.003 0.5 0.013 0.04 0.001 0.27 0.007
X 0.03 0.001 0.5 0.013 0.04 0.001 0.3 0.008
253MA 0.66 0.017 1.59 0.040 0.08 0.002 0.68 0.017
800HT 0.12 0.003 0.82 0.021
347SS 0.86 0.022 1.48 0.038 0.18 0.005 0.18 0.005 0.46 0.012 1.26 0.032

耐熱合金の薄板 (0.060 – 0.125”/1.5 – 3.2mm) を360日間(8,640 h)

空気流中に曝露した時の酸化量

合金 1600°F 1800°F 2000°F 2100°F
メタルロス* 平均酸化層厚さ メタルロス* 平均酸化層厚さ メタルロス* 平均酸化層厚さ メタルロス* 平均酸化層厚さ
mils μm mils μm mils μm mils μm mils μm mils μm mils μm mils μm
625 0.3 8 1.4 36
230® 0.2 5 1.4 36 0.1 3 2.5 64 3.4 86 11 279 28.5 724 34.4 874
617 0.3 8 1.6 41
HR‐120® 0.3 8 1.6 41 0.5 13 3.3 84 18.1 460 23.2 589 33.6 853 44 1118
25 0.3 8 1.7 43
188 0.2 5 1.8 46
556® 0.3 8 1.9 48 0.5 13 6.2 157 15 381 24.1 612
X 0.3 8 2.2 56 0.2 5 2.8 71 17.1 434 26.2 665 51.5 1308 55.4 1407
800HT 0.4 10 2.9 74
HR-160® 1.7 43 13.7 348 7.2 183 30.8 782 12 305 45.6 1158

*メタルロスは最初と最後のメタル厚さから計算; ML = (OMT – FMT) /2

静的酸化の比較

   合金 空気流中での耐酸化性比較、 1008 Hours*
1800°F (982°C) 2000°F (1093°C) 2100°F (1149°C) 2200°F (1204°C)
メタルロス 平均酸化層厚さ メタルロス 平均酸化層厚さ メタルロス 平均酸化層厚さ メタルロス 平均酸化層厚さ
mils μm mils μm mils μm mils μm mils μm mils μm mils μm mils μm
230® 0.2 5 1.5 38 0.5 13 3.3 84 1.2 30 4.4 112 4.7 119 8.3 211
188 0.1 3 1.1 28 0.5 13 3.7 94 8.6 218 10.7 272 5.2 132 48.2 1224
601 0.4 10 1.7 43 1.3 33 3.8 97 2.8 71 6.5 165 4.4 112 7.5 191
617 0.3 8 2 51 0.6 15 3.8 97 1 25 5.2 132 10.7 272 12.6 320
X 0.2 5 1.5 38 1.3 33 4.4 112 3.6 91 6.1 115
800HT 0.5 13 4.1 104 7.6 193 11.6 295 12.4 315 15 381
446 SS 13 330 14.4 366 >21.5 >546
316 SS 12.3 312 14.2 361 >17.5 >445 >17.5 >445

*メタルロス + 平均内部酸化厚さ

耐窒化性

HAYNES® 230® 合金は、最も耐窒化性がある市販材料のひとつです。試験は、1200℉ (649℃)およ
び 1800℉ (982℃) のアンモニア流中で 168時間実施されました。吸窒量は、曝露前後の試料の化
学分析と試験片の露出面積から決定しました。

合金 吸窒量(mg/cm2)
1200°F (649°C) 1800°F (982°C) 2000°F (1093°C)
230® 0.7 1.4 1.5
600 0.8 0.9 0.3
625 0.8 2.5 3.3
X 1.7 3.2 3.8
RA330® 3.9 3.1
800H 4.3 4 5.5
316 SS 6.9 6 3.3
310 SS 7.4 7.7 9.5
304 SS 9.8 7.3 3.5

耐浸炭性

HAYNES® 230®合金は、多くの他の工業用合金と比べて良好な浸炭性を示します。試験結果は、
黒鉛を閉じ込めた中に1800℉ (982℃)で500時間曝露して得ました。吸炭量は、曝露前後の試料の
化学分析と試験片の露出面積から決定しました。

耐水素脆性

水素および空気中で実施した切欠き引張試験において、230® 合金は水素脆性に対して耐性が
あることが明らかになりました。試験は、MIL-P-27201B グレードの水素中で、クロスヘッド速度
が 0.005 in/min (0.13 mm/min)の条件で実施しました。試料には、応力集中係数:KT値が8.0の
切欠きを付けました。

試験温度 水素圧力 切欠き引張強さ比
水素/空気
°F °C psig MPa
70 21 3000 21 0.92
70 21 5000 34 1.07

耐水溶液腐食性

試験片は、表に示されている温度条件で、様々な酸性液に24時間x4回浸され、全面腐食速度
は重量変化の測定値から計算しました。

合金 腐食速度 (mils/year)
10% HNO3 沸点温度 10% H2SO4 150°F (66°C) 10% HCl 150°F (66°C)
230® 0.3 0.6 112
625 0.7 0.4 65
600 0.8 41.8 366
316 SS 1.0 17.8 3408
X <0.1 99

硬度および結晶粒サイズ

溶体化処理後の室温硬度

形態 硬度:HRB 典型的なASTM結晶粒度
薄板 92 4 – 6.5
厚板 92 3 – 5
90 3 – 5

HRB = ロックウェル硬さ “B”

用途

HAYNES® 230® 合金の厚板と棒で製作された
硝酸触媒の格子状保持具。1700℉ (927℃)に
おけるこの合金の優れたクリープ強度は、こ
の用途に非常に適しています。

HAYNES® 230® 合金製の
Textron Lycomingのガスタービン用燃焼器

Dresser-Rand DR-990 陸用ガスタービンの
230® 合金製プロトタイプ燃焼器。

ペンシルバニア州応用研究所において抵
抗加熱 された 230® 合金製過熱チューブ。
約1625℉ (885℃) の高圧蒸気製造に使用。

0.020in(0.5mm)の薄板で製作した、接触分
解装置で使用される230®合金製のプロト
タイプ高温伸縮ベローズ。

この水平に取付けた230®合金製電気加熱式レトルトは、1400~2200℉ (760~1204℃)の水素雰囲気中では平均で僅か8ヶ月の寿命しかなかった 600 合金製レトルトからの置き換えです。230®合金製のレトルトは、写真に示すように24か月使用後でも未だ素晴らしい状態です。

ワイヤ焼鈍用治具を、これまで使用されていた
非常に重い炭素鋼製の”スタブ”から230®合金
製に置き換えることで熱容量が小さくなり、サイ
クル時間が短くなりました。

2300℉ (1260℃) まで加熱される真空炉用の熱処理カゴ。直径1/2-in(12.7mm)の230®合金の丸棒で製作されています。

この印象的な写真はHAYNES® 230®合金製の熱処理治具で、先進的なオフロード自動車用備品プラ
ントで撮影されました。この搬送治具は1550℉ (843℃)で運転して水冷された後、1050℉(566℃)で4時間のサイクルが続きます。

ガラス溶解炉の頭部にあるHAYNES® 230®合金製ダンパーは、短時間 2300℉ (1260℃)の温度に耐えて、2000℉ (1093℃)の温度で維持されます。

コネチカット州ノーガタックにあるEastern社の合金鋳造工場で使用されている 230®合金の鋳物の熱処理カゴ。

半導体製造中に、1650℉(899℃)の温度に耐える230®合金製のホルダーとボックス。

水素(内部)と燃焼生成物(外部)の雰囲気中において、2100℉ (1149℃)で運転される 230®合金製レトルト。

加工

熱処理

HAYNES® 230®合金は、通常、2250℉ (1232℃)で断面の厚さに相応した時間、最終の溶体化処
理を施されます。溶体化処理は約2125℉ (1163℃)の低い温度で実施することもできますが、材
料特性もそれに応じて変わります。加工途中のアニールは更に低い温度で実施できますが、
最適な特性と組織を生み出すには、それに引き続いて最終の溶体化処理が必要です。追加の
情報が必用な場合は、以下の節の記述と“溶接および加工”のパンフレットを参照してください。

代表的な硬さ特性

室温引張特性に対する冷間圧延の影響*

圧下率 引き続いて実施する
アニール温度
0.2%耐力 極限引張強さ 伸び
% アニール無し ksi MPa ksi MPa %
0 61.8 425 128.2 885 46.6
10 104.0 715 144.5 995 31.8
20 133.4 920 163.9 1130 16.8
30 160.1 1105 187.5 1295 9.7
40 172.4 1190 201.5 1390 7.5
50 184.6 1275 214.6 1480 6.0
10 1950°F (1066°C)
5分間
91.9 635 143.5 990 32.9
20 80.8 555 141.9 980 35.6
30 75.9 525 142.1 980 35.7
40 81.2 560 145.5 1005 32.3
50 86.1 595 147.7 1020 34.6
10 2050°F (1121°C)
5分間
80.8 555 139.0 960 36.5
20 65.4 450 135.7 935 39.2
30 72.0 495 140.0 965 37.6
40 76.1 525 142.3 980 35.5
50 80.8 555 143.9 990 36.3
10 2150°F (1177°C)
5分間
55.5 385 129.5 895 43.7
20 64.4 445 134.3 925 40.1
30 70.2 485 138.1 950 38.5
40 73.4 505 139.2 960 38.1
50 71.9 495 137.7 950 39.1

*0.120-in (3.0 mm)の薄板を冷間圧延した結果に基づく。
2回の繰り返し試験。

ミクロ組織

(結晶粒度:ASTM 5) 2250℉ (1232℃)でアニール

エッチング
95ml HCl + 5 gm シュウ酸
電圧: 4 ボルト

溶接

HAYNES® 230® 合金は、ガスタングステンアーク溶接(TIG)、ガスメタルアーク溶接(MIG)、シールドメ
タルアーク溶接(SMAW)、および抵抗溶接により容易に溶接できます。その溶接特性は、
HASTELLOY® X 合金の特性と同様です。サブマージアーク溶接(SAW)は、このプロセスが母材金
属に対する高入熱および溶接の冷却が遅いという特徴を有しているため、お薦めできません。これ
らの因子は溶接による拘束を高め、割れの発生を促します。

母材の準備

いかなる溶接作業であっても、溶接面および近接領域は、溶接する前に適切な溶剤により完全に
清浄にしなければなりません。全ての潤滑剤、油、切削油、クレヨンの跡、機械加工溶剤、腐食性
生成物、塗料、スケール、染色浸透溶液、およびその他の異物は完全に除去しなければなりませ
ん。溶接する場合、合金は溶体化処理された状態であることが好ましいですが、必ずしも必要では
ありません。

溶加金属の選定

230®合金をガスタングステンアーク溶接あるいはガスメタルアーク溶接で接合する場合、HAYNES®
230-W® 溶加ワイヤ (AWS A5.14, NiCrWMo-1) をお勧めします。非ASME規格構造物をシールドメタ
ルアーク溶接する場合は、230-W® 合金の被覆アーク溶接棒も使用できます。230®合金とニッケル
基、コバルト基、あるいは鉄基材料との異種金属接合に対しては、それぞれのケースに応じて、
230-W®溶加ワイヤ、HAYNES 556® 合金(AWS A5.9 ER3556, AMS 5831)、HASTELLOY® S 合金
(AMS 5838)、あるいはHASTELLOY® W 合金 (AMS 5786, 5787)などの溶接製品が候補になります。
さらなる情報が必要な場合は、”Welding and Fabrication(溶接および加工)”のパンフレット をご覧
になるか、当社ウェブサイトの  ”Haynes Welding SmartGuide(溶接スマートガイド)” をご利用くださ
い。

予熱、パス間温度、および溶接後の熱処理

予熱する必要はありません。 予熱は一般に、室温(典型的な作業場の環境条件)として指定されま
す。パス間温度は、200℉(93℃)以下に保たなければなりません。汚染物質が混入することがない
のであれば、必要に応じて、溶接パス間で補助冷却手段を使用することができます。通常、230® 合
金には溶接後の熱処理は不要です。

標準溶接パラメータ

GTAW、GMAWおよびSMAW溶接に関する詳細は、”Welding and Fabrication(溶接および加工)”
パンフレットをご覧ください。典型的な溶接作業に対するガイドラインとして、標準溶接パラ メータを
提供しています。これらのパラメータは、当社の実験室で使用されている溶接条件に基づいていま
す。

横溶接の室温引張結果 – 厚さ 0.205-in / 5.2 mm の厚板のGTAW

0.2% 耐力 極限引張強さ 伸び 破断位置
ksi MPa ksi MPa %
60.2 415 117.7 812 29.6 Weld Metal
58.4 403 113.4 782 28.2 Weld Metal

横溶接の引張結果 – 厚さ 0.5-in /12.7 mm の厚板のGTAW

試験温 0.2% 耐力 極限引張強さ 伸び 破断位置
°F °C ksi MPa ksi MPa %
Room Temperature 65.5 452 126.8 874 37.3 Weld Metal
63.8 440 120 827 27 Weld Metal
1600 871 38.4 265 60.6 418 44.9 Base Metal
34.8 240 61.8 426 28.9 Weld Metal

横溶接の室温引張結果 – 厚さ 2.0-in /50.8 mm の厚板のGMAW

極限引張強さ 破断位置
ksi MPa
116 800 Weld Metal
117 807 Weld Metal
115 793 Weld Metal
116 800 Weld Metal

横溶接の室温引張結果 – 厚さ 3.0-in /76.2 mm の厚板のGTAW

Sample Location 0.2% 耐力 極限引張強さ 伸び 絞り 破断位置
ksi MPa ksi MPa % %
Weld Face 74.1 511 109.5 755 27.2 30.9 Weld Metal
74.6 514 110.7 763 34.8 44.4 Weld Metal
Weld Center 76.5 527 113.3 781 33.1 37.6 Weld Metal
76.8 530 111.2 767 26.7 32.9 Weld Metal
Weld Root 74.8 516 109.9 758 19.6 24.1 Weld Metal
74 510 115 793 31 41.3 Weld Metal

HAYNES® 230-W® 全溶接金属の引張試験結果

試験温 0.2% 耐力 極限引張強さ 伸び
°F °C ksi MPa ksi MPa %
RT RT 75.7 520 112.6 775 27.3
1800 980 21.2 145 22.7 155 24.6

適合規格および基準

規格

HAYNES® 230® 合金
(N06230)
薄板、厚板および帯板 AMS 5878
SB 435/B 435
P= 43
ビレット、ロッドおよび棒 AMS 5891
SB 572/B 572 B 472
P= 43
被覆アーク溶接棒 SFA 5.11/ A 5.11 (ENiCrWMo-1)
F= 43
裸溶接棒およびワイヤ SFA 5.14/ A 5.14 (ERNiCrWMo-1)
AMS 5839
F= 43
継ぎ目なしパイプおよびチューブ SB 622/B 622
P= 43
溶接パイプおよびチューブ SB 619/B 619
SB 626/B 626
P= 43
継手類 SB 366/B 366
P= 43
鍛造材 AMS 5891
SB 564/B 564
P= 43
DIN 17744 No. 2.4733
NiCr22W14Mo
その他

基準

HAYNES® 230® 合金
(N06230)
ASME Section l 1650°F (899°C)1, 4
Section lll Class 1
Class 2
Class 3
Section lV HF-300.2 500°F (132°C)1
Section Vlll Div. 1 1800°F (982°C)1, 5, 6
Div. 2
Section Xll 650°F (343°C)1
B16.5 1500°F (816°C)2
B16.34 1500°F (816°C)3, 7
B31.1
B31.3 1650°F (900°C)1
MMPDS 6.3.9

1承認された材料形態: 厚板、薄板、棒、鍛造材、継手類、溶接パイプ/チューブ、継ぎ目なしパイプ/
チューブ

2承認された材料形態: 厚板、棒、鍛造材、継ぎ目なしパイプ/チューブ

3承認された材料形態: 厚板、鍛造材

4この値は、給水構造物に対する最高設計温度です。いくつかのASME基準が、追加で使用に関して規
定しています。

  1. Section I Code Case 2665によれば、1300℉ (704℃) が溶融硝酸塩接液構造物に対する設計最高
    温度です。
  2. Section I Code Case 2756によれば、 1000℉ ~ 1250℉ (538-677℃)の設計温度範囲では、自生溶
    接を使用できます。
  3. Section I PG-26 および Code Case 2805で、溶接強度低下係数が規定されています。

5Section VIII Division 1 Code Case 2671には、1800℉(982℃)に対する外部圧力が含まれています。

6この材料から作られる全てのボルトに適用されます。1650℉(899℃)は最大設計温度です。 Section VIII Division 1 Code Case 2775をご覧ください。

7B16 Case 5 は、この材料で作られたバルブに対して、より高い圧力-温度レーティングを許容しています。

免責事項

Haynes Internationalは、本パンフレットに記載されているデータの精度・正確性を保証するために妥当な努力を払っておりますが、データの精度、正確性、あるいは信頼性について、いかなる表明も保証もいたしません。すべてのデータは一般的な情報のみであり、設計上のアドバイスを提供するものではありません。ここに開示されている合金特性は、主にHaynes International、Inc.によって行われた作業に基づいており、場合によっては公開文献の情報によって補足されているため、そのような試験の結果のみを示すものであり、保証最大値または最小値と考えてはなりません。実際の使用条件で特定の合金を試験して特定の目的に対する適合性を判断するのはユーザーの責任です。

特定の製品に含まれる特定の元素濃度とその潜在的な健康への影響については、Haynes International、Inc.が提供する安全データシートを参照してください。特記のない限り、すべての商標はHaynes International、Inc.が所有しています。

合金パンフレット

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