HAYNES® 556® 合金

Home / 合金ポートフォリオ / 高温合金 / HAYNES® 556® 合金

主な特徴

高強度および耐高温腐食性

HAYNES® 556® 合金 (UNS R30556) は、良好な耐酸化性、加工性、および優れた高温強度を備え た鉄 – ニッケル – クロム – コバルト合金で、高温での硫化、浸炭および塩素含有環境に対する効 果的な耐性を兼ね備えています。この合金は、溶融塩化物塩および他の塩による腐食に耐性があ り、溶融亜鉛からの腐食に対して耐性があることも判明しています。

容易な加工

HAYNES® 556® 合金は、優れた成形特性と溶接特性を備えています。この合金は、部材全体が 2150°F(1177°C)に達するのに十分な時間この温度で保持されるのであれば、鍛造あるいは熱間 加工することができます。556®合金は良好な延性を有しているため、冷間加工によっても容易に成 形できます。最良の特性バランスを回復させるためには、すべての熱間または冷間加工した部品 は、アニールして急冷しなければなりません。

この合金は、ガスタングステンアーク溶接 (GTAW)、ガスメタルアーク溶接 (GMAW)、シールドメタル アーク溶接 (被覆アーク溶接棒)、および抵抗溶接を含む様々な技法で溶接することができます。

熱処理

HAYNES® 556® 合金は、特に明記しない限り、溶体化熱処理した状態で提供されます。この合金 は、特性を最適化するために、通常、2150°F(1177°C)で溶体化熱処理され、急冷または水冷され ます。 溶体化熱処理温度よりも低い温度での熱処理は、第二相の析出を引き起こす可能性があ ります。

用途

HAYNES® 556® 合金は、中程度から重度の腐食環境において、高温での使用に非常に有用な特 性を兼ね備えています。用途には、都市ごみや産業廃棄物焼却炉の配管および構造部材、鉱物 処理用の回転式焼成炉およびキルン、ならびに低品位燃料を燃焼する産業用ガスタービンの非 回転部品があります。

化学プロセス産業においては、556® 合金は回転式焼成装置、カーボン再生装置、および高硫黄石 油原料を含むプロセスに使用されています。

冶金プロセス産業においては、556®合金は溶融亜鉛めっき備品、スピナーおよびバスケット、 および高速炉のファンに広く使用されています。556®合金は、ディーゼルエンジンの空気予熱 器、コイルアニーリング炉の内側カバー、航空宇宙産業の様々な高温用途にも採用されていま す。

*この合金に関して技術的なご質問がある場合は、当社の技術支援チームにご連絡ください。

標準組成

重量 %
ニッケル: Ni 52 Balance
コバルト: Co 20
鉄: Fe 0.70 max.
クロム: Cr 20
モリブデン: Mo 6
マンガン: Mn 0.40
ケイ素: Si 0.20
アルミニウム: Al 0.60 max.
チタン: Ti 2.40 max.
炭素: C 0.06
ホウ素:: B 0.005 max. 
ジルコニウム: Zr 0.04 max. 
アルミニウム + チタン: Al + Ti 2.60

耐硫化性

HAYNES® 556®合金は、多くの高温工業プロセスに存在する硫黄含有環境において、HAYNES® HR-160®合金に次ぐ耐性があります。これは、部分的には、比較的低いニッケ含有量に重要な添加 物であるコバルト、高クロムレベル、および注意深くバランスのとれた少量の元素が加わったことが 起因しています。比較のために、INCONEL® 合金601、HASTELLOY® X合金、合金600 および 800H、 および 310ステンレス鋼の相対的な耐硫化性を示したデータを顕微鏡写真と一緒に示します。556® 合金は、1800°F(982°C)の Ar + 5%H2 + 5%CO + 1%CO2 + 0.15%H2S + 0.1%H2O の試験ガス中に215時 間曝露した後でも僅かな硫化物の浸透あるいは損耗しかありません。対照的に、INCONEL® 合金 601のような合金は完全に破壊され、他の材料は著しい損耗および硫化物の浸透または孔食を生じ ました。

1800°F (982°C) で 215 時間曝露したときの耐硫化性の比較 (顕微鏡写真の幅は元の試料厚さを示しています。)

HAYNES® 556® 合 金
平均腐食層厚さ=
2.0 mils(50 μm)/片側
310ステンレス鋼
平均腐食層厚さ=
7.4 mils(190 μm)/片側
合金 800H
平均腐食層厚さ=
23.2 mils(590 μm)/片側
HAYSTELLOY® X 合 金
平均腐食層厚さ=
>22 mils(560 μm)/片側
INCONEL® 合 金 601
平均腐食層厚さ=
>22 mils(560 μm)/片側
合金 600
平均腐食層厚さ=
>22 mils(560 μm)/片側

他の温度での耐硫化性*

合金 1400°F (760°C) 1600°F (871°C)
メタルロス 平均腐食層厚さ** メタルロス 平均腐食層厚さ**
mils µm mils µm mils µm mils µm
HR-160® 0.2 5 1.1 30 0.1 3 3.8 95
556® 2.5 65 3.8 95 5.2 130 11.7 295
Type 310 6.2 155 9.2 230 9.5 240 13.5 345
800H 7.1 180 11.2 285 11.7 295 19.2 490
X >29.5 >750 貫通 >21.7 >550 消滅
600 >21.7 >560 貫通 >21.7 >550 消滅
601 >29.5 >750 貫通 >21.7 >550 貫通

* Ar + 5%H2 + 5%CO + 1%CO2 + 0.15%H2S + 0.10%H2O 中に215時間曝露
** メタルロス + 平均内部腐食深さ

実地経験 – 都市ごみ焼却炉

都市ごみ焼却炉の過熱器部分で試料を950時間曝露しました。燃焼ガス温度は約1475°F (802°C)で、1740°F(949°C)までの変動がありました。塩化アルカリ化合物が存在することが知ら れていましたが、観察された腐食の様式は酸化/硫化でした。HAYNES® 556®合金は、この腐食 性の高い環境に耐えうる最高の合金の1つであることが判明しました。

実地経験 – アルミ再溶解炉

チューブの試料を、1250°F(677°C)の煙道ガスを生成するアルミニウム再溶融炉の再生器中に 1150時間、曝露しました。チューブの試料は、作動中の再生器チューブと同じように燃焼予熱空 気によって内部冷却されました。観察された腐食の様式は、アルカリ硫酸塩と塩化物による腐 食と、酸化との組み合わせによるものでした。HAYNES® 556®合金はこの環境での腐食に対して 傑出した耐性を示しました

耐浸炭性

混合ガス浸炭試験

浸炭ガス混合気に対して1700°F(927°C)および1800°F(982°C)の両方で曝露した後の556®合金 で観察された吸炭量は、試験した他のほとんどの材料よりも著しく低いものでした。これは、以下 のページのグラフに示されています。これらの試験の場合、曝露は(体積%で)5.0% H2、5.0% CO、5.0% CH4および残りがアルゴンからなるガス環境で行いました。1800°F(982°C)および1気圧 における計算による平衡組成(体積%)は、14.2% H2、4.8% CO、0.003% CO2、0.026% CH4、0.011% H2Oおよび残りがアルゴンでした。炭素の活性は1.0であり、酸素の分圧は1800°F(982°C)で 9×10-22気圧でした。

1700℉(927℃)での混合ガス浸炭試験結果の比較

1700°F (927°C)で 215 時間曝露した後の典型的な浸炭したミクロ組織(エッチング無し)

HAYNES® 556® 合金
Type 310 Stainless Steel

1800℉(982℃)における混合ガス浸炭試験結果の比較

1800℉ (982℃)で 55 時間曝露した後の典型的な浸炭したミクロ組織(エッチング無し)

HAYNES® 556® 合金
INCONEL alloy 617
注:alloy 617は、試料の中央部を浸炭

耐酸化性

HAYNES® 556® 合金は、空気および燃焼ガスの両方の酸化環境に対して良好な耐性を示し、 2000°F(1093°C)以下の温度での長期間の曝露に対して使用することができます。短期間の曝 露に対しては、556® 合金は、もっと高い温度で使用できます。

空気流中での耐酸化性の比較*

空気流中*の耐酸化性比較, 1008 時間
合金 1800°F (980°C) 2000°F (1095°C)
平均酸化層厚さ** メタルロス 平均酸化層厚さ** メタルロス
- mils µm mils µm mils µm mils µm
X 1.5 38 0.2 5 4.4 112 1.3 33
601 1.7 43 0.4 10 3.8 97 1.3 33
556® 2.3 58 0.4 10 6.9 175 1.5 38
446 SS 2.3 60 1.3 35 14.4 366 13.0 330
RA330 3.0 76 0.3 8 6.7 170 0.8 20
800HT 4.1 104 0.5 13 11.6 295 7.6 193
304 SS 8.1 206 5.5 140 > 19.6 > 498 N/A N/A
316 SS 14.2 361 12.3 312 > 17.5 > 445 N/A N/A

試料は、1週間に1回のサイクルで室温まで冷却
*試料を通過する空気の流速は、7.0 ft/min (212.0 cm/min)
**メタルロス + 平均内部酸化深さ

環境試験の評価に使用した金属組織学的手法の模式図

1800°F(982°C) の空気流中に 1008 時間曝露した時の耐酸化性の比較

下に示すミクロ組織は、試料を7.0 ft/min (212.0 cm/min)の速度で通過する1800°F(982°C)の空気 流中に1008時間曝露した試験片のものです。試験片を溶融塩溶液中に浸している間、試験片を陰 極チャージして試料を脱スケールしました。各写真の上部に示された黒い領域は、酸化による実際 のメタルロスを表しています。データは、HAYNES® 556®合金が前ページの表に示した他の鉄基合金 だけでなく、RA330®合金および304ステンレス鋼の両方よりも優れていることを明確に示していま す。

HAYNES® 556® alloy
平均酸化層厚さ
= 2.3 mils (58 μm)
RA330® alloy
平均酸化層厚さ
= 3.0 mils (76 μm)
Type 304 Stainless Steel
平均酸化層厚さ
= 8.1 mils (206 μm)

酸化試験のパラメータ

バーナーリグ試験では、0.375 in x 2.5 in x 特定厚さ (9.5mm x 64mm x 特定厚さ) の複数の試料
を回転する保持装置に取付け、燃料油 (No. 1燃料油:2、No. 2燃料油:1の混合油)を約50:1の
空燃比で燃焼させてできる燃焼ガス中に曝します。(燃焼ガスの流速は、マッハ数が約0.3です。)
試料は30分毎に自動的に燃焼ガス流から取り出され、ファンで 500 °F (260 °C) 以下に冷却され
た後、燃焼ガス流中に戻されます。

動的酸化の比較

合金 1600°F (870°C), 2000 h, 30-min cycles 1800°F (980°C), 1000 h, 30-min cycles 2000°F (1090°C), 500 h, 30-min cycles 2100°F (1150°C), 200 h, 30-min cycles
メタルロス 平均酸化層厚さ メタルロス 平均酸化層厚さ メタルロス 平均酸化層厚さ メタルロス 平均酸化層厚さ
- mils µm mils µm mils µm mils µm mils µm mils µm mils µm mils µm
188 1.1 28 2.9 74 1.1 28 3.2 81 10.9 277 13.1 333 8 203 9.7 246
230 0.9 23 3.9 99 2.8 71 5.6 142 7.1 180 9.9 251 6.4 163 13.1 333
617 2 51 7.8 198 2.4 61 5.7 145 13.3 338 20.9 531 13.8 351 15.3 389
625 1.2 30 2.2 56 3.7 94 6 152 消滅
556® 1.5 38 3.9 99 4.1 104 6.7 170 9.9 251 12.1 307 11.5 292 14 356
X 1.7 43 5.3 135 4.3 109 7.3 185 11.6 295 14 356 13.9 353 15.9 404
HR-120® 6.3 160 8.3 211
RA330 2.5 64 5 127 8.7 221 10.5 267 15.4 391 17.9 455 11.5 292 13 330
HR-160® 5.4 137 11.9 302 12.5 18.1 460 8.7 221 15.5 394
310SS 6 152 7.9 201 16 406 18.3 465 消滅
800H 3.9 99 9.4 239 22.9 582 板厚を貫通 300時間後に消滅 消滅

360 日間 (8,640h) 空気流中に曝露した耐熱合金薄板(0.060-0.125”) の酸化量*

合金 1600°F (870°C) 1800°F (980°C) 2000°F (1090°C)
メタルロス** 平均 酸化層厚さ*** メタルロス** 平均 酸化層厚さ*** メタルロス** 平均 酸化層厚さ***
- mils µm mils µm mils µm mils µm mils µm mils µm
230® 0.2 5 1.4 36 0.1 3 2.5 64 3.4 86 11 279
HR-120® 0.3 8 1.6 41 0.5 13 3.3 84 18.1 460 23.2 589
188 0.2 5 1.8 46
556® 0.3 8 1.9 48 0.5 13 6.2 157 15 381 24.1 612
X 0.3 8 2.2 56 0.2 5 2.8 71 17.1 434 26.2 665
800HT 0.4 10 2.9 74

* 試料を通過する空気流の速度は、7.0 ft/min (213.4 cm/min)
試料は1か月に1回のサイクルで室温まで冷却
** メタルロスは、最後と最初の金属の厚さから計算; すなわち、ML = (OMT – FMT) /2
*** 平均酸化層厚さは、メタルロスと平均内部酸化深さの合計

塩素含有環境に対する耐性

HAYNES® 556®合金は、塩素を含む高温酸化環境に対して耐性があると考えることができます。 556®合金は、1650°F(899°C)より上の温度では HAYNES® 214®合金ほど耐性はありませんが、 1650°F(899°C)以下の温度では214®合金に匹敵する耐性を持っています。このことは、Ar + 20% O2 + 0.25% Cl2のガス混合気流中において、1650°F(899°C)で400時間曝露した試験結果によって 示されています。556®合金は、合金 600、625、INCONEL 合金601および HASTELLOY® C-276 合金を含む、試験した合金の大部分と比較してメタルロスが非常に少ないことに留意してくださ い。

合金 600
556®合金

その他の環境に対する耐性

溶融塩化物塩

HAYNES® 556® 合金は、溶融塩浴熱処理設備での実際のフィールド試験に基づけば、1550°F (843°C)以下の温度で中性の NaCl-KCl-BaCl2タイプの熱処理塩に対して適度な耐性を示 します。試験片は、30日間曝露されました。

合金 平均腐食層厚さ
mils mm
188 28 0.7
X 38 1.0
556® 42 1.1
304 SS 74 1.9
310 SS 79 2.0
600 94 2.4
INCONEL® 601 115 2.9

リンを含む燃焼環境

トリポリリン酸ナトリウム化合物の乾燥に用いられる流動床乾燥機の燃焼器中で行われたフィー ルド試験の結果に基づけば、HAYNES® 556® 合金は、リン酸を含んだ低融点の共晶の形成に よって生じる腐食に対して非常に良好な耐性を示します。試料は、約1475°F(802°C)の温度で30 日間曝露されました。

合金 最大腐食層厚さ
mils mm
X 3.0 75
556® 6.0 150
214® 8.0 205
S 9.0 230
188 9.0 230
800H 11.0 280
304 SS 15.0 380

溶融亜鉛

溶融亜鉛に対する耐性は、亜鉛メッキ作業に使用する構造部品に対する重要な考慮事項で す。そのような作業に対する適性を判断するために、溶融亜鉛中において、850°F(454°C)で 50時間の実験室試験を実施しました。結果を以下に示します:

Alloy Average Metal Affected
mils mm
556® 1.6 41
25 2.3 58
188 64 2.5
1010 Carbon Steel 234 9.2
446 SS 236 9.3
Alloy Average Metal Affected
mils mm
800H 11.0 280
304 SS 14.1 358
625 >24.0** >610**
X >24.0** >610**

*試験したどの合金も内部腐食は認められず

物理的特性

物理的特性 英国単位 メートル単位
密度 RT
0.297 lb/in3
RT
8.23 g/cm3
溶融温度 2425-2580°F - 1330-1415°C -
電気抵抗 RT 35.7 µohm-in RT 95.2 µohm-cm
200°F 38.7 µohm-in 100°C 98.6 µohm-cm
400°F 40.5 µohm-in 200°C 102.6 µohm-cm
600°F 42.1 µohm-in 300°C 106.5 µohm-cm
800°F 43.5 µohm-in 400°C 109.5 µohm-cm
1000°F 44.7 µohm-in 500°C 112.5 µohm-cm
1200°F 45.7 µohm-in 600°C 115.1 µohm-cm
1400°F 46.6 µohm-in 700°C 117.2 µohm-cm
1600°F 47.3 µohm-in 800°C 119.0 µohm-cm
1800°F 48.0 µohm-in 900°C 120.7 µohm-cm
2000°F 48.6 µohm-in 1000°C 122.3 µohm-cm
1100°C 123.7 µohm-cm
熱拡散率 RT
4.5 x 10-3 in2/s
RT
28.7 x 10-3cm2/s
200°F
4.8 x 10-3 in2/s
100°C
31.2 x 10-3cm2/s
400°F
5.3 x 10-3 in2/s
200°C
34.2 x 10-3cm2/s
600°F
5.8 x 10-3 in2/s
300°C
37.0 x 10-3cm2/s
800°F
6.3 x 10-3 in2/s
400°C
39.7 x 10-3cm2/s
1000°F
6.7 x 10-3 in2/s
500°C
42.3 x 10-3cm2/s
1200°F
7.1 x 10-3 in2/s
600°C
44.8 x 10-3cm2/s
1400°F
7.5 x 10-3 in2/s
700°C
47.0 x 10-3cm2/s
1600°F
7.7 x 10-3 in2/s
800°C
48.8 x 10-3cm2/s
1800°F
8.0 x 10-3 in2/s
900°C
50.3 x 10-3cm2/s
2000°F
8.2 x 10-3 in2/s
1000°C
51.6 x 10-3cm2/s
- - 1100°C
52.8 x 10-3cm2/s
熱伝導率 RT
77 Btu-in/ft2-hr-°F
RT 11.1 W/m-°C
200°F
90 Btu-in/ft2-hr-°F
100°C 13.1 W/m-°C
400°F
107 Btu-in/ft2-hr-°F
200°C 15.4 W/m-°C
600°F
122 Btu-in/ft2-hr-°F
300°C 17.3 W/m-°C
800°F
135 Btu-in/ft2-hr-°F
400°C 19.0 W/m-°C
1000°F
148 Btu-in/ft2-hr-°F
500°C 20.8 W/m-°C
1200°F
160 Btu-in/ft2-hr-°F
600°C 22.4 W/m-°C
1400°F
173 Btu-in/ft2-hr-°F
700°C 24.0 W/m-°C
1600°F
185 Btu-in/ft2-hr-°F
800°C 25.5 W/m-°C
1800°F
197 Btu-in/ft2-hr-°F
900°C 27.2 W/m-°C
2000°F
210 Btu-in/ft2-hr-°F
1000°C 28.9 W/m-°C
- - 1100°C 30.4 W/m-°C
比熱 RT 0.111 Btu/lb-°F RT 464 J/kg·°C
200°F 0.113 Btu/lb-°F 100°C 475 J/kg·°C
400°F 0.118 Btu/lb-°F 200°C 493 J/kg·°C
600°F 0.122 Btu/lb-°F 300°C 508 J/kg·°C
800°F 0.126 Btu/lb-°F 400°C 523 J/kg·°C
1000°F 0.130 Btu/lb-°F 500°C 538 J/kg·°C
1200°F 0.133 Btu/lb-°F 600°C 552 J/kg·°C
1400°F 0.135 Btu/lb-°F 700°C 561 J/kg·°C
1600°F 0.140 Btu/lb-°F 800°C 570 J/kg·°C
1800°F 0.147 Btu/lb-°F 900°C 595 J/kg·°C
2000°F 0.152 Btu/lb-°F 1000°C 618 J/kg·°C
- - 1100°C 638 J/kg·°C
平均熱膨張係数 70-200°F 8.1 µin/in -°F 25-100°C
14.7 x 10-6m/m·°C
70-400°F 8.2 µin/in -°F 25-200°C
14.9 x 10-6m/m·°C
70-600°F 8.4 µin/in -°F 25-300°C
15.1 x 10-6m/m·°C
70-800°F 8.6 µin/in -°F 25-400°C
15.4 x 10-6m/m·°C
70-1000°F 8.8 µin/in -°F 25-500°C
15.7 x 10-6m/m·°C
70-1200°F 9.0 µin/in -°F 25-600°C
16.1 x 10-6m/m·°C
70-1400°F 9.2 µin/in -°F 25-700°C
16.4 x 10-6m/m·°C
70-1600°F 9.4 µin/in -°F 25-800°C
16.7 x 10-6m/m·°C
70-1800°F 9.5 µin/in -°F 25-900°C
17.0 x 10-6m/m·°C
70-2000°F 9.6 µin/in -°F 25-1000°C
17.1 x 10-6m/m·°C
- - 25-1100°C
17.1 x 10-6m/m·°C
動弾性係数 RT
29.7 x 106 psi
RT 205 GPa
200°F
29.1 x 106 psi
100°C 200 GPa
400°F
28.2 x 106 psi
200°C 195 GPa
600°F
26.9 x 106 psi
300°C 187 GPa
800°F
25.6 x 106 psi
400°C 179 GPa
1000°F
24.4 x 106 psi
500°C 172 GPa
1200°F
23.1 x 106 psi
600°C 164 GPa
1400°F
21.8 x 106 psi
700°C 155 GPa
1600°F
20.9 x 106 psi
800°C 148 Gpa
1800°F
20.1 x 106 psi
900°C 143 Gpa
- - 1000°C 138 Gpa

RT= 室温

用途

引張特性

板厚が 0.033~0.109 in. (0.8~2.8 mm) の冷間圧延および溶体化処理した薄板*

試験温度 0.2% 耐力 極限引張強さ 伸び
°F °C ksi MPa ksi MPa %
RT RT 59.5 410 118.1 815 47.7
1000 538 34.9 240 93.4 645 54.4
1200 649 32.8 225 85.4 590 52.4
1400 760 32.0 220 68.5 470 49.1
1600 871 28.6 195 47.6 330 52.6
1800 982 15.5 105 28.0 195 63.3
2000 1093 8.0 55 14.8 100 55.4

*1条件当たり10回またはそれ以上の試験結果に基づく
RT= 室温

薄板の高温引張試験を、以前の標準であったひずみ速度で実施しました。これらの結果は、降伏
するまではひずみ速度を 0.005 in/in/min、降伏から破断に至るまでは、試験片の平行部に対し
てクロスヘッド速度が 0.5 in/min になるようにした試験から得られたものです。現在の基準は、降
伏するまでは 0.005 in/in/minのひずみ速度が、降伏から破断に至るまでは、試験片の平行部に
対して 0.05 in/min のクロスヘッド速度が用いられます。

0.2%耐力の比較(薄板)

熱間圧延および溶体化処理した厚板

試験温度 極限引張強さ 0.2% 耐力 伸び
°F °C ksi MPa ksi MPa %
RT RT 114.6 790 54.1 373 51.3
1000 538 95.6 659 33.7 232 58.2
1200 649 87.2 601 33.2 229 55.1
1400 760 63.1 435 34.0 234 57.4
1600 871 37.4 258 26.9 185 87.9
1800 982 20.3 140 13.2 91 96.2
2000 1093 11.2 77 6.7 46 90.3

RT= 室温

クリープおよびラプチャー特性

溶体化処理した薄板、厚板および棒

試験温度 クリープ 下記時間内に所定のクリープを生じるおおよその初期応力:
10 h 100 h 1000 h 10,000 h*
°F °C % ksi MPa ksi MPa ksi MPa ksi MPa
1200 650 0.5 44.0 305 32.0 220 24.0 165
1.0 49.0 340 35.0 240 25.5 175 18.5 130
Rupture 53.0 365 38.0 260 27.5 190
1300 705 0.5 29.0 200 21.0 145 15.0 105
1.0 33.0 230 24.0 165 17.5 120 12.5 86
Rupture 52.0 360 37.0 255 26.0 180 17.0 115
1400 760 0.5 19.0 130 13.5 93 9.4 65
1.0 22.0 150 16.0 110 11.5 79 8.5 59
Rupture 35.0 240 25.0 170 17.5 120 11.9 82
1500 815 0.5 13.0 90 9.0 62 6.5 45
1.0 15.0 105 11.0 76 8.2 57 6.0 41
Rupture 25.0 170 17.0 115 11.8 81 7.6 52
1600 870 0.5 8.9 61 6.4 44 4.6 32
1.0 10.0 69 7.5 52 5.5 38 4.1 28
Rupture 17.0 115 11.5 79 7.5 52 4.9 34<
1700 925 0.5 6.2 43 4.5 31 3.2 22
1.0 7.2 50 5.0 34 3.5 24 2.5 17
Rupture 12.0 83 7.6 52 4.8 33 3.0 21
1800 980 0.5 4.4 30 3.0 21 2.0 14
1.0 5.0 34 3.4 23 2.3 16 1.6 11
Rupture 7.5 52 4.8 33 3.0 21 1.9 13

衝撃特性

合金
室温 V-ノッチ衝撃強度1
ft.-lb. J
800H 2392 3242
600 180 244
556® 1772 2402
188 143 194
S 140 190
625 81 110
X 54 73

1 4回またはそれ以上の試験の平均
2 試料は破壊せず

熱安定性

HAYNES® 556® 合金は、中間温度で長期間熱曝露された後でも適度な延性を保持します。この合 金は、1000~1600°F(538~871°C)で16,000時間曝露された後でさえ、顕著なシグマ相の形成を 示しません。固溶体から析出する主相は、炭化物および炭窒化物です。

熱曝露した後の棒材の室温引張特性*

Test Temperature 0.2% Yield Strength Ultimate Tensile Strength Elongation
°F °C h ksi MPa ksi MPa %
1200 650 0 62.5 430 113.4 780 46.5
1000 59.7 410 120.5 830 36.0
4000 57.4 395 121.2 835 33.0
8000 59.8 410 127.3 880 29.4
1400 760 0 62.5 430 113.4 780 46.5
1000 60.8 420 128.7 885 24.8
4000 57.4 395 127.1 875 25.8
8000 54.6 375 125.1 865 24.7
1600 870 0 62.5 430 113.4 780 46.5
1000 52.3 360 112.9 780 32.8
4000 42.8 295 111.5 770 29.0
8000 43.9 305 108.1 745 29.5

*各条件で3回試験した平均

16,000時間熱曝露した後の棒材の高温引張特性*

Test Temperature 0.2% Yield Strength Ultimate Tensile Strength Elongation
°F °C ksi MPa ksi MPa %
1000 537 37.4 260 95.7 660 48.0
1200 648 37.8 260 88.8 610 23.4
1400 760 35.1 240 72.3 500 25.3
1600 871 21.9 150 42.1 290 29.5

*2回あるいはそれ以上の試験の平均

1000時間熱曝露した後の薄板の室温引張特性*

Exposure Temperature 0.2% Yield Strength Ultimate Tensile Strength Elongation
°F °C ksi MPa ksi MPa %
None None 59.5 410 118.1 815 47.7
1200 648 53.4 370 118.4 815 37.9
1400 760 53.8 370 118.8 820 17.0
1600 871 46.6 320 111 765 20.4

*2回あるいはそれ以上の試験の平均

加工特性

HAYNES® 556®合金は、通常、断面厚さに見合った時間、2150°F(1177°C)で最終の溶体化熱処 理されます。溶体化熱処理は、約2125°F(1163°C)の低い温度で行うことができますが、結果とし て得られる材料特性は、それに応じて変化します。加工中のアニーリングはさらに低い温度で 行うことができますが、最適な特性および組織を生成するためには、その後に仕上げの溶体化 熱処理が必要です。さらなる情報が必要な場合は、”溶接および加工”のパンフレットを参照して ください。

典型的な硬度特性

形態 硬度, HRBW 典型的なASTM結晶粒度
薄板 91 4 – 6.5
厚板 92 3.5 – 6.5
89 3 – 5.5

試験したすべての試料は溶体化処理したものです。
HRBW = ロックウェル硬さ “B”、タングステン球圧子

室温引張特性に対する冷間圧延の影響*

圧下率 圧延後の アニーリング温度 0.2% 耐力 極限引張強さ 伸び
% - ksi MPa ksi MPa %
0 アニーリング無し 52.9 365 115.0 795 50.7
10 93.3 645 127.8 880 34.8
20 113.3 780 142.1 980 23.5
30 144.1 995 172.6 1190 12.0
40 155.8 1075 189.3 1305 10.1
50 169.7 1170 204.2 1410 8.0
0 1850℉ (1010℃) で 5分間 52.6 365 114.7 790 44.8
10 76.9 530 121.6 840 34.3
20 88.8 610 127.0 875 30.3
30 92.7 340 135.2 930 26.6
40 80.0 550 133.3 920 30.6
50 83.0 570 135.0 930 31.7
0 1950℉ (1066℃) で 5分間 52.9 365 115.8 800 45.2
10 76.8 530 122.2 845 36.9
20 76.8 530 124.7 860 34.8
30 66.0 455 125.1 865 38.3
40 71.4 490 128.1 885 36.7
50 77.9 535 131.0 905 33.4
0 2050℉ (1121℃) で 5分間 54.3 375 117.0 805 47.0
10 55.3 380 117.4 810 48.0
20 58.4 405 120.1 830 45.4
30 63.5 440 123.6 850 43.0
40 66.9 460 124.7 860 42.4
50 70.8 485 126.6 875 35.0

*0.120 in (3.0 mm) 厚さの薄板を冷間圧延した結果に基づく。試験は繰り返し2回実施。

典型的なミクロ組織 (結晶粒度:ASTM 5)、2150°F (1177°C)でアニール。

エッチング液:95ml
HCL + シュウ酸;5gm、 4V

溶接

HAYNES® 556®合金は、ガスタングステンアーク溶接(GTAW)、ガスメタルアーク溶接(GMAW)、 シールドメタルアーク溶接(SMAW)、および抵抗溶接によって容易に溶接できます。 サブマージ アーク溶接は、このプロセスが母材への入熱量が高く、溶接部の冷却が遅いという特徴を有してい るため、お薦めできません。これらの要因は、溶接による拘束を増加させ、割れを促進する可能性 があります。

母材の準備

溶接の前に、接合面および隣接する領域を完全に清浄にする必要があります。グリース、オイル、クレヨンの跡、硫黄化合物、およびその他の異物はすべて除去しなければなりません。接合部が銅または銅含有材料と接触するのを避けなければなりません。溶接時に合金が溶体化処理されていることが好ましいですが、必ずしも必要ではありません。

溶加材の選定

556®合金の接合には、同一組成の溶加材を推奨します。シールドメタルアーク溶接に対しては、
MULTIMET®溶接棒(AMS 5795)を推奨します。556®合金とニッケル基あるいはコバルト基材料との
異種金属接合に対しては、一般的には、556®溶加金属が良い選択ですが、HASTELLOY® S合金
(AMS 5838)またはHASTELLOY® W合金(AMS 5786、5787)の溶接製品を使用することもできま
す。鉄基材料との異種金属溶接には、556®溶加金属を推奨します。さらなる情報が必要な場合は、
ウェブサイトの”HAYNES Welding SmartGuide”をご利用ください。

予熱、パス間温度および溶接後熱処理

予熱する必要はありません。予熱は、通常、室温(典型的な作業環境条件)として指定されています。パス間温度は、200℉(93℃)以下に維持しなければなりません。汚染物を取り込むことがないのであれば、必要に応じて、溶接パス間に補助冷却手段を使用することができます。556®合金に対しては、溶接後の熱処理は、通常、必要ありません。更なる情報が必要な場合は、”溶接および加工”のパンフレットをご覧ください。

典型的な引張特性

条件 試験温度 極限引張強さ 0.2% 耐力 伸び
- °F °C ksi MPa ksi MPa %
横方向引張 RT RT 120.6 832 63.6 439 42.8
1000 540 95.6 659 41.1 283 50.3
1200 650 84.8 585 38.3 264 47.6
1400 760 63.1 435 34.1 235 44.8
全溶接金属 RT RT 107.3 739 67.3 464 43.1
1200 650 71.4 492 44.6 308 39.4
1400 760 55.2 381 42.4 292 55.2
適合する溶加材で溶接した厚さ 0.5 in (13 mm)の HAYNES® 556® 合金厚板の、典型的な割れの無いフェイス曲げおよびルート曲げ。曲げ半径は、0.75 in (19 mm)。

適合規格および基準

規格

HAYNES® 556® 合金 (R30556)
薄板、厚板および帯板 AMS 5874SB 435/B 435P= 45
ビレット、ロッド、および棒 AMS 5877SB 572/B 572B 472P= 45
被覆アーク溶接棒
裸溶接棒およびワイヤ SFA 5.9/ A 5.9 (ER3556)AMS 5831F= 6
継ぎ目なしパイプおよびチューブ SB 622/B 622P= 45
溶接パイプおよびチューブ SB 619/B 619SB 626/B 626P= 45
継ぎ手類 SB 366/B 366P= 45
鍛造材 AMS 5877
DIN No. 1.4883X10CrNiCoMoN22 20 18
その他

基準

HAYNES® 556® 合 金 (R30556)
ASME Section l
Section lll Class 1
Class 2
Class 3
Section lV HF-300.2
Section Vlll Div. 1
1650°F (899°C)1
Div. 2
800°F (427°C)2
Section Xll
650°F (343°C)3
B16.5
1500°F (816°C)4
B16.34
1500°F (816°C)4
B31.1
1200°F (649°C)5
B31.3

1承認された材料形態: 厚板、薄板、棒、溶接パイプ/チューブ、継ぎ目無しパイプ/チューブ、ボルト類
2承認された材料形態: ボルト類
3承認された材料形態: 厚板、薄板、棒、溶接パイプ/チューブ、継ぎ目無しパイプ/チューブ
4承認された材料形態: 厚板、棒
5承認された材料形態: あついた、薄板、棒、継ぎ手類、溶接パイプ/チューブ、継ぎ目無しパイプ/チューブ

免責事項

Haynes Internationalは、本パンフレットに記載されているデータの精度・正確性を保証するために妥当な努力を払っておりますが、データの精度、正確性、あるいは信頼性について、いかなる表明も保証もいたしません。すべてのデータは一般的な情報のみであり、設計上のアドバイスを提供するものではありません。ここに開示されている合金特性は、主にHaynes International、Inc.によって行われた作業に基づいており、場合によっては公開文献の情報によって補足されているため、そのような試験の結果のみを示すものであり、保証最大値または最小値と考えてはなりません。実際の使用条件で特定の合金を試験して特定の目的に対する適合性を判断するのはユーザーの責任です。

特定の製品に含まれる特定の元素濃度とその潜在的な健康への影響については、Haynes International、Inc.が提供する安全データシートを参照してください。特記のない限り、すべての商標はHaynes International、Inc.が所有しています。

合金パンフレット

特定の製品に含まれる特定の元素濃度とその潜在的な健康への影響については、Haynes International、Inc.が提供する安全データシートを参照してください。特記のない限り、すべての商標はHaynes International、Inc.が所有しています。

Footer