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冶金学

冶金入門

ニッケルおよびコバルト合金の冶金学について議論する前に、特定の冶金学用語を理解することが重要です。 何よりもまず、合金 は金属の混合物であり、炭素などの非金属が少量含まれている可能性があることを理解する必要があります。 合金中の主要な金属はベース(基) と呼ばれます。

固溶体 は、単一の原子構造または相を有する固体状態の合金です。ベース金属への合金添加物の合計レベルが溶解限度を超えた場合、第二相が析出する可能性があります。したがって、溶液の場合と同様に、特定の原子構造の金属材料に溶解できる量には自然な限界があり、溶液の場合と同様に、温度が高いほど、より多く溶解することができます。幸いなことに、溶解度が高い高温で材料を熱処理し、次に材料を室温まで、または、(ミクロ組織変化の主なきっかけである)原子の拡散がもはや検知できない、少なくとも500℃未満まで急速に冷却することにより過飽和固溶体を作成することができます。合金を高温で保持してミクロ組織内に不要な第二相を溶解することは、溶体化処理 として知られています。高温のミクロ組織に固定するための急冷はクエンチング として知られており、冷水で行うのが最
適です。

このような過飽和材料の問題は、拡散が認められるようになると、500℃を超えるエクスカーション中に第二相の析出が発生しやすいことです。 このようなエクスカーションは、たとえば溶接中によく見られます。 残念ながら、析出物は、粒界などのミクロ組織の欠陥部で核形成して成長する傾向があります。 その後、これらは優先的に腐食されやすくなります。

Unfortunately, precipitates tend to nucleate and grow at microstructural imperfections, such as grain boundaries. These then become prone to preferential corrosion attack.

すべての第二相析出物が有害であるわけではありません。 均一(すなわち、粒界だけでなくミクロ組織全体)に析出する析出物を利用して、材料を強化することができます。 これは、析出硬化または時効硬化 として知られています。 このような析出物を誘発するために行われる熱処理は、多くの場合、500℃~800℃の温度範囲で複数のステップを伴います。

鍛造および鋳造合金のミクロ組織は、結晶構造が特定の方向に整列している多数の粒子 を含みます。 しかし、これらの粒子は、機械的応力または温度の作用下で、双晶化 と呼ばれるプロセスによって細分化する可能性があり、それによって粒子内の材料のバンドが再配列する可能性があります。

(不規則な形状の)粒界と(真っ直ぐで平行な)双晶境界は、第二相析出物にとって好ましい核生成サイトであるため、非常に重要なミクロ組織の特徴です。

主要な合金元素は、材料の一般的な挙動を決定します。 ただし、マイナーな合金元素も重要です。 溶解と処理を成功させるために、いくつかのマイナーな元素があります;特定の環境でパフォーマンスを微調整するために使用される元素もあります。 その他のマイナーな元素は析出硬化を誘発するために添加されます。

水溶液腐食に耐えるように設計されたいくつかの析出硬化型ニッケル合金の場合を除いて、強度は主に主要な合金元素によって決定されます。 これらは固溶強化を提供します。 モリブデンなどの大きな原子は特に効果的な強化元素です。

ニッケル合金の耐食性を最大化するために、多くは意図的に過剰合金化されたり、ミクロ組織を最適化するために前述の溶体化処理とクエンチングのプロセスに依存したりしています。 過剰合金化されていないものであっても、炭素などの不溶性残留物が存在することによって、第二相を形成しやすくなります。

ニッケル合金の冶金

マニュアルのこの部分の目的は、ヘインズインターナショナルが関係する鍛造、耐食ニッケル合金の4つのグループ(すなわち、Ni-Cr、Ni-Mo、Ni-Cr-Mo、および Ni-Cr-Fe グループ)の物理冶金に関する情報を提供することです。 ただし、完全を期すために、他の3つのグループの材料のミクロ組織を示してコメントします。

すでに説明したように、純ニッケルの原子構造は面心立方(FCC)であり、ニッケル合金冶金の領域ではガンマ相としても知られています。 いくつかのグレードがある商業的に純粋なニッケル(Ni)、およびニッケル-銅(Ni-Cu)合金は、一 般に安定したFCC型のミクロ組織を示しますが、(不純物として含まれる炭素は、これら2つのグループの鍛造製品には溶けないため)、 炭化物、または遊離炭素でさえ粒界で観察されるか、あるいはこれらの材料全体に分散する可能性があります。 炭化物の存在は、以下に示すニッケル200およびMONEL®合金400のアニールされたシートのミクロ組織で明らかです:

Ni‐200 シートのミクロ組織 (粒界に炭化物が析出している証拠がある)
Microstructure - Ni-200 Sheet

MONEL® 合金 400 シートのミクロ組織 (遊離炭素が分散している証拠がある)
Microstructure - MONEL 400 sheet

ちなみに、特に明記しない限り、このマニュアルに示されている光学顕微鏡写真には、以下の金属組織学的手順が含まれています:

  1. 取り付けたサンプルを0.5μmのアルミナで研磨する。
  2. 流水の下で、サンプルを綿棒で拭く。
  3. まだ湿っている間に、95 mlの試薬グレードの(37 wt.%)塩酸 + 5 g シュウ酸(結晶形態で添加)溶液に浸す。
  4. サンプルを陽極にして5 Vで電解エッチングする。
  5. 反射率の変化を視覚的に検知したら、電流を切る。
  6. エッチング液でサンプルを激しく攪拌して、余分な膜を取り除く。
  7. 流水の下で、サンプルを取り外す。
  8. メタノールで洗浄する。
  9. 熱風で乾燥させる。

このエッチング液は、ヘインズインターナショナでは”万能エッチング液”として知られています。

商業的に重要な鍛造、耐食Ni-Cr合金のいくつかは、かなりのレベルのモリブデンを含み、同じ状態図が関係しているため、Ni-CrグループとNi-Cr-Moグループの合金の議論を組み合わせることが適切です。

以下に示すNi-Cr-Mo状態図の850℃断面図は、他の合金元素がない場合のニッケルへのクロムとモリブデンの溶解度を示しています。 これは、この温度でクロム含有量が30 wt%の場合、単相(FCC)構造を維持するには、モリブデン含有量が10 wt.%未満でなければならないことを示しています。 逆に、モリブデン含有量が25 wt.%の場合、クロム含有量は10 wt.%未満である必要があります。

Ni‐Cr‐Mo 三元系の850℃の等温断面図 (Raghavan et al, 1984)
NiCrMo Ternary System 850C Section

いくつかのNi-CrおよびNi-Cr-Mo材料(例えば、HASTELLOY®C-4、C-22HS®、HYBRID-BC1®、合金 59、およびG-35®合金)は、事実上三元系です。 (十分にガンマ相領域内にあり、その結果比較的安定している)C-4合金を除くすべてが、ガンマ相領域の境界に近い。 これは、このような材料の設計者が、耐食性を高めるためにクロムとモリブデンの含有量を最大化する一方で、(準安定ではあるが)単相(FCC)ミクロ組織を維持するために溶体化処理とクエンチングを使用することを選択する傾向があったためです。

このようなアプローチは、後続の熱サイクル中(例えば、溶接中など)に、粒界での第二相(μ相など)の継続的な析出を回避する必要性によって制限されます。

さらに複雑なことに、Ni-CrおよびNi-Cr-Mo合金では他の第二相が形成される可能性があります。 それらは、850℃未満または(可能性は低いですが)850℃を超える温度範囲で発生する可能性があります。それらは、残留元素(特に炭素)の存在に起因する可能性があります。 あるいは、それらは他の合金添加物によって引き起こされる可能性があります。

異なる温度に対する第二相に関しては、A2B型の秩序相、この場合はNi2(Cr、Mo)が、長距離秩序によって300℃から650℃の範囲で発生する可能性があります(Raghavan et al, 1982)。 この秩序反応の推進力は、さまざまな合金元素の原子比に依存します。 析出反応は均一であり、粒界または双晶境界での優先的な析出はありません。 低い温度では、その温度範囲内では、反応は低い拡散速度によって妨げられます; ただし、650℃に近い温度では、反応は強化処理として使用できるほど強力になる可能性があります(Pike et al, 2003 )。 実際、この反応はC-22HS®合金を強化するために使用されます。

(不要な)残留元素に起因する最も重要な第二相はM6C炭化物で、非常に低い残留炭素レベル(0.005 wt.%以下)であっても、高モリブデン合金に普通に存在します。 Hodge , 1973 は、M6CがC-276合金で、(μ相の760℃から1093℃の範囲と比較して)650℃から1038℃の温度範囲で形成されることを示しています。 同じ参考文献では、炭化物形成の反応速度がμ相の反応速度よりも速いことが示されています。

Ni-Crグループの代表である、(33.2 wt.%のクロムと8.1 wt.%のモリブデンを含む)G-35®合金のミクロ組織を次の図に示します。 選択した粒界で明らかに析出しているものもありますが、通常は第二相の析出物はありません。 G-35®合金の最大炭素含有量は、通常、最大炭素含有量が0.01 wt.%である鍛造Ni-Cr-Mo合金と比較して高い(0.05 wt.%)ため、これらはおそらく炭化物の析出物です。

ミルアニールした G‐35®シートのミクロ組織
Microstructure - Mill Annealed G-35 Sheet

この種の合金の第二相析出(すなわち熱安定性)の傾向を評価するために、通常、さまざまな高温(通常は元素の拡散が認められる500℃以上)で長期間のエージングを行います。 このような温度は、耐食ニッケル合金の使用温度をはるかに超えており、曝露時間は溶接中に経験する時間よりも無限に長くなります; それにもかかわらず、それらの結果から材料の”真の”安定性を垣間見ることができます。 以下は、538℃(1000℉)、649℃(1200℉)、および760℃(1400℉)で8,000時間エージングした後の、G-35®合金の(光学顕微鏡を使用して撮影した)ミクロ組織です。 走査型電子顕微鏡で撮影された、649℃および760℃でエージングしたサンプルの高倍率の二次電子像も示されています(Srivastava and Crook, 2016 )。

538℃(1000℉)で8000時間エージングした後のミルアニールしたG‐35® シートのミクロ組織
Microstructure -G-35 Mill Annealed Sheet Aging for 8000h

649℃(1200℉)で8000時間エージングした後のミルアニールしたG‐35® シートのミクロ組織
Microstructure - G-35 Mill Annealed Sheet 8000h 1200F

649℃(1200℉)で8000時間エージングした後のミルアニールしたG‐35® シートの二次電子像
Secondary Electron Image G-35 1200F

760℃(1400℉)で8000時間エージングした後のミルアニールしたG‐35® シートのミクロ組織
Microstructure - G-35 Mill Annealed Sheet 8000h 1400F

760℃(1400℉)で8000時間エージングした後のミルアニールしたG‐35® シートの二次電子像
Secondary Electron Image G-35 1400F

538℃でエージングした後のミクロ組織の光学顕微鏡写真は、粒界にいくらかの第二相析出を示しています。 649℃でエージングしたG-35®合金の光学顕微鏡写真と二次電子像は、粒内の第二相析出物とともに、より広範な粒界析出を示しています。 760℃での長期エージング後、合金は大量の粒間および粒内析出を示し、特に粒内に針状粒子の配列を示します。

エネルギー分散型X線(EDX)分析により、649℃および760℃での長期エージング後のG-35®合金に存在する第二相は次のとおりであることが明らかになりました:

  1. クロムに富 む(約 90 wt.%)、 ニッケルを含まない相 (アルファ型クロムと推定される)。
  2. おおよそ 45 wt.% のクロム、 30 wt.% のニッケル、 および 23 wt.% のモリブデンを含む相。
  3. 様々なレベルの他の元素を含むとともに、様々なレベルの炭素 (1、 3、 6、 および 11 wt.%)を含んだ4つの相。

アニールしたHASTELLOY®C-276合金のミクロ組織を、下の光学顕微鏡写真に示します。 それは”クリーンな”(すなわち、析出物のない、または素の)粒界を特徴とし、アニーリングツイン(焼鈍双晶)であるG-35®合金に似ています。ミクロ組織全体に分散した小さな黒い粒子は、おそらく酸化物不純物です。 C-276合金には長期時効したミクロ組織全体に分散した小さな黒い粒子は、おそらく酸化物不純物です。 C-276合金には長期時効したミクロ組織の写真はありませんが、すでに説明したように、C-276ではμ相と炭化物が発生することが知られています。

ミルアニールした C‐276 シートのミクロ組織
Microstructure - C-276 Mill Annealed Sheet

ほとんどのNi-Cr-Mo材料は、C-276合金とミクロ組織的に類似しています。 しかしながら、C-276合金や他の合金は、300℃から650℃の温度範囲でA2B秩序化反応を特に起こしにくいのに対し、C-22HS®合金はすでに説明したように非常に起こしやすい傾向があります。 厳密にはNi-Mo-Cr合金であるHYBRID-BC1®合金も、モリブデン含有量がクロム含有量よりも高いため、A2B秩序化反応を非常に起こしやすい傾向があります。 幸いなことに、長期間エージングしたHYBRID-BC1®合金の光学顕微鏡写真と二次電子像があり、次に示すように、A2B秩序化の効果を非常によく表しています。

ミルアニールした HYBRID‐BC1® シートのミクロ組織
Microstructure - HYBRID-BC1 Mill Annealed Sheet

538℃(1000℉)で8000時間エージングした後のミルアニールした HYBRID‐BC1® シートのミクロ組織
Microstructure - HYBRID-BC1 Mill Annealed Sheet Aging 8000 h 1000F

649℃(1200℉)で8000時間エージングした後のミルアニールした HYBRID‐BC1® シートのミクロ組織
Microstructure - HYBRID-BC1 Mill Annealed Sheet Aging 8000 h 1200F

649℃(1200℉)で8000時間エージングした後のミルアニールした HYBRID‐BC1® シートの二次電子像
Secondary Electron Image HYBRID-BC1 1200

760℃(1400℉)で8000時間エージングした後のミルアニールした HYBRID‐BC1® シートのミクロ組織
Microstructure - HYBRID-BC1 Mill Annealed Sheet Aging 8000 h 1400

760℃(1400℉)で8000時間エージングした後のミルアニールした HYBRID‐BC1® シートの二次電子像
Secondary Electron Image HYBRID-BC1 1400

649℃(1200℉)での長期エージング後のHYBRID-BC1®合金中のA2Bの存在は、上記の顕微鏡写真、特に走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して撮影した二次電子像で大きな効果を示しています。 538℃(1000℉)と649℃(1200℉)でエージングした後に撮影された光学顕微鏡写真の違いは、同じ条件下でエッチングされたことを考えると、非常に顕著です。明らかに、秩序化反応の推進力は、この温度範囲で拡散速度が指数関数的に増加するため、温度に大きく依存します。

ちなみに、ミルアニールし、538℃でエージングしたHYBRID-BC1®合金のミクロ組織中に明らかな第二相粒子ストリンガは、残余偏析(バンディング)効果によるものです。バンディングは、高モリブデンおよび/またはタングステン合金で一般的です。なぜなら、これらの元素は、原子サイズが大きいためにゆっくりと拡散するためです。

760℃(1400℉)での長期曝露後のHYBRID-BC1® 合金の粒界および結晶粒内に認められる、はるかに大きな第二相析出物は、EDXによって次のようなものであることが確認されました:

  1. おおよそ 55 wt.% のモリブデン、 33 wt.% のニッケル、および 12 wt.% のクロムを含んだ相。
  2. おおよそ 43 wt.% のモリブデン、 33 wt.% のニッケル、および 22 wt.% のクロムを含んだ相。

要約すると、かなりの量のクロムとモリブデンを含む市販の鍛造ニッケル合金(Ni-CrまたはNi-Cr-Moグループのいずれか)は、一般的に、通常の動作温度範囲(すなわち、室温〜427℃)内で準安定です。 固溶化と急冷のおかげで、それらは主にガンマ(FCC)相であるミクロ組織を示しますが、粒界で少量の析出が発生する可能性があり、材料全体に渡ってまばらに散らばった小さな酸化物粒子が認められます。

これらの材料のほとんどは、(溶接中に遭遇するような)500℃を超える短期間の熱エクスカーション(熱的な往復行程)によって、粒界に第二相(炭化物または金属間化合物)が連続的に析出しないように設計されています。 しかし、長期曝露はそれらの平衡、多相性をあらわにします。

ここでニッケル-モリブデン(Ni-Mo)合金に目を向けると、それらは冶金学的に複雑であり、機械的特性と耐応力腐食割れ性の両方を著しく損なう第二相を形成する傾向があります。 モリブデン含有量が28〜31.5 wt.%の場合、次の二元系状態図に示すように、完全溶体化処理し、急速にクエンチして900℃を超える温度で安定なFCC相 (この図では、通常のガンマ相ではなく、紛らわしいアルファ相と明記されています)に固定しない場合、3つの相を示す可能性があります。ベータは秩序だった体心正方晶金属間化合物、Ni4Moであり、ガンマは秩序だった直方晶系金属間化合物、Ni3Moです。 ベータ相とガンマ相は、形成された場合、どちらも非常に有害であり、延性が失われ、水素脆化と塩化物応力腐食
割れが発生しやすくなります。 ベータ相の形成は、ガンマ相の形成よりもはるかに迅速です。

Ni‐Mo 二元系のニッケルに富む部分 (Ref. Gutherie and Stansbury, 1961)
Ni‐Mo 二元系のニッケルに富む部分

HASTELLOY® B‐3®合金のミクロ組織を以下に示します。 直線の平行線は(アニーリング中に個々の結晶粒内の原子構造の再配列によって生じた)双晶境界であり、ランダムな線は合金の粒界です。 写真を横切る灰色の縞は、鋳造インゴットからの残余偏析によるエッチング効果であり、微細な黒色粒子は酸化物含有物です。 あまり明白ではありませんが、いくつかの第二相粒子(おそらくアニーリングプロセス中に溶解しなかった炭化物)が存在します。 サンプルの準備には、切断、取付、研磨が含まれ、続いてクロム酸と塩酸の混合物でエッチングされました。

ミルアニールした B‐3® シートのミクロ組織
Microstructure - Mill Annealed B-3 Sheet

Ni-Mo合金に有害なNi3MoおよびNi4Mo析出物を誘発するのに必要な時間について、下の図はB-2およびB-3®合金のTTT図を示しています(Klarstrom , 1993 )。この図は、Ni-Mo合金の組成のわずかな変化が、考えられるさまざまな変態にいかに重要な影響を与えるかを示しています。 B-2合金とB-3®合金の主な組成の違いは、B-3®合金に対してはクロムと鉄の両方をそれぞれ1.5wt.%意図的に添加しているのと、モリブデン含有量を0.5 wt.%増加させていることです。興味深いことに、元のHASTELLOY® B合金は、その製造にフェロモリブデンの使用を可能にするつもりで鉄を意図的に5 wt.%添加した結果として、明らかに有害なNi3MoおよびNi4Mo析出物の急速な析出を起こしにくい傾向がありました。しかしながら、HASTELLOY® B合金は、ニッケル基耐食合金の炭素含有量を非常に低くすることができるアルゴン酸素脱炭プロセスが登場する1960年代半ば以前のものであるため炭素許容量が非常に多く、このために粒界で
炭化物がもっと析出しやすい傾向がありました。

B‐2 および B‐3®合金に対するTTT図 (Ref: Klarstrom, 1993)
B‐2 および B‐3®合金に対するTTT図

With regard to the Ni-Cr-Fe and Ni-Fe-Cr materials, the most relevant phase diagram is the 800°C section of the Ni-Cr-Fe ternary system, constructed by Raynor and Rivlin (shown below).

Ni‐Cr‐Fe 三元系の800℃の等温断面図 (Raynor and Rivlin, 1981)
NiCrFe Ternary System 800C Section

ただし、Ni-Cr-Fe耐食合金には通常、かなりの量のモリブデンも含まれているため、この図との関連性が低くなることに注意してください。鉄は、鍛造ニッケル基合金へのモリブデンの溶解度を制限し、過剰合金材料中のシグマ(σ)相の存在を促進すると言えます。

一般に、鍛造されたNi-Cr-FeおよびNi-Fe-Cr材料は、Ni-CrおよびNi-Cr-Mo合金と同じように考えることができます。つまり、耐食性を最大化するためにわずかに過剰合金化(過飽和)することができますが、使用温度範囲内で最適な(主にガンマ相ですが、おそらく準安定の)ミクロ組織を確保するために、溶体化処理および急冷中に注意を払う必要があります 。また、溶接によって、1つまたは複数の第二相の連続的な粒界析出が生じることはありません;そうでなければ、特定の溶融作業中に優先的な粒界腐食が発生することになります。腐食環境での利用を目的としたNi-Cr-FeおよびNi-Fe-Cr合金も、炭素やケイ素の不溶性の残留元素が、それぞれ有害な炭化物および金属間化合物の析出を引き起
こす可能性があるため、これらの元素は超低含有量に抑えられています。

G-30®合金(Ni-Cr-Feグループ)とG-35®合金(Ni-Crグループ)のミクロ組織を比較できるように、アニールおよびエージングした前者のミクロ組織を以下の顕微鏡写真に示します。

ミルアニールした G‐30® シートのミクロ組織
Microstructure - G-30 Mill Annealed Sheet

538℃(1000℉)で8000時間エージングした後のミルアニールしたG‐30® シートのミクロ組織
Microstructure - G-30 Mill Annealed Sheet Aging 8000 h 1000F

649℃(1200℉)で8000時間エージングした後のミルアニールしたG‐30® シートのミクロ組織
Microstructure - G-30 Mill Annealed Sheet Aging 8000 h 1200F

649℃(1200℉)で8000時間エージングした後のミルアニールしたG‐30® シートの二次電子像
Secondary Electron Image G-30 1200F

760℃(1400℉)で8000時間エージングした後のミルアニールしたG‐30® シートのミクロ組織
Microstructure - G-30 Mill Annealed Sheet Aging 8000 h 1400F

760℃(1400℉)で8000時間エージングした後のミルアニールしたG‐30® シートの二次電子像
Secondary Electron Image G-30 1400F

EDX分析は、649℃および760℃での長期エージング後に、G-30®合金に3つの第二相が存在することを示しています。 1つは約80wt.%のクロムを含み、アルファ型クロムであると考えられます。 2つ目は、約40 wt.%のクロム、25wt.%のニッケル、14 wt.%のモリブデン、7 wt.%のタングステン、および12 wt.%の鉄を含んでいます。 3つ目、おそらく炭化物は、約4.5 wt.%の炭素、65 wt.%のクロム、10 wt.%のモリブデン、および5 wt.%のタングステンを含んでいます。

鍛造、耐食ニッケル基合金の冶金学のセクションを完了するには、Ni-Fe-Cr合金のミルアニールしたミクロ組織を説明するのが適切です。 そこで、825合金の顕微鏡写真を以下に示します。 その微細な粒子サイズは、特別なシート処理の結果であるか、および/または適度な炭素含有量の存在のいずれかであり、これによって炭化チタンを分散させて粒界のピン止めを促進します。

ミルアニールした 825 合金のミクロ組織
Microstructure - 825 Mill Annealed

コバルト合金の冶金学

鍛造、耐食(および耐摩耗)コバルト基合金のユニークな冶金学的特性は、このマニュアルの前半で概説されているため、ここではいくつかの追加の詳細のみを提供します。 最初にタングステン含有高炭素合金を考慮して、HAYNES® 6B(STELLITE® 6B)合金のミクロ組織を以下に示します。 大きな、離散した炭化物粒子に注意してください;それらのサイズと形態は、(鋳造の同等材と比較して)大幅に強化された延性を鍛造製品に提供するだけでなく、(研磨粒子が炭化物よりも大きく、それらの上を”滑る”ことができる場合)低応力摩耗に対する高い耐性をもたらします。 Antony とSilence, 1979 によると、6B合金の炭化物の重量パーセントは約12.5であり、そのうち約90%がM7C3、約10%がM23C6 です。

鍛造 HAYNES® 6B プレートのミクロ組織
Microstructure - 6B wrought plate

鋳造の同等材に関しては、これらは多くの場合、オーバーレイ溶接の形で使用されます。 このようなオーバーレイ溶接のミクロ組織を以下に示します。 炭化物ははるかに細かく、亜共晶的に分散していることに注意してください。

プラズマ溶接によりオーバーレイ溶接した STELLITE® 6 合金のミクロ組織
Microstructure - STELLITE 6 alloy weld overlay by Plasma Transfered Arc Welding

鍛造ULTIMET®合金(モリブデン含有低炭素コバルト合金の代表)のミクロ組織は、下に示されているように、溶体化処理および急冷した状態において、Ni-CrおよびNi-Cr-Mo合金のミクロ組織と非常に似ています。 これは、最適な耐食性を提供できるように設計したためです。 その卓越した摩耗特性は、材料に硬い粒子が存在することではなく、原子レベルでの(応力下での)ミクロ組織の変化(双晶化とHCP小板の形成)によるものです; これらは高い加工硬化率を誘発し、表面下の破壊に対して高い耐性を提供します。

ULTIMET® 合金の鍛造プレートのミクロ組織
Microstructure - ULTIMET wrought plate

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