HASTELLOY®およびHAYNES® 合金のホームページ

腐食環境

水溶液腐食のバックグラウンド

水溶液中の腐食は、イオン(帯電した原子)と金属表面での電荷の移動を伴う電気化学的プロセスです。 陽極と陰極は表面に局所的に発生します; 金属は陽極において(正に帯電したイオン、すなわち、M> M+の形態で)除去されます。 電子は、金属材料中では陽極サイトから陰極サイトへ、水溶液中ではその逆方向に流れます。 酸による腐食中の主な陰極反応は、正に帯電した水素イオンを通常の水素原子に還元し(すなわち、H +> H)、続いて水素分子(ガス)に還元する反応で、この酸を還元性酸と呼びます。酸化性の酸溶液は、より高い電位の陰極反応を誘発する溶液で
す; 酸化性の酸は不動態化(不動態)を生じる傾向があり、それによって金属表面に保護膜が形成されます。 これらの保護膜は多層にすることができ、酸化物、水酸化物、またはオキシ水酸化物にすることができます。

腐食には多くの形態があり、それぞれが温度、濃度、および溶液の化学的純度に依存することを考えると、1つの金属材料の耐食性能でさえ非常に複雑な問題です。 したがって、問題を単純化するために、このセクションでは、主要な工業用無機化学物質、および(耐食、ニッケルおよびコバルト基合金領域の)主要な合金族のそれぞれの特性に特に重点を置いて、各形態の腐食を順番に扱います。 無機化学物質に重点を置くのは、それらのイオン性質、すなわち電気化学的(腐食)プロセスを誘発する能力を反映しているからです。

塩酸中の全面腐食

塩酸は還元酸です。 塩酸は、原料と副産物の両方として、化学プロセス産業(CPI)に浸透しています。 塩酸は、ほとんどの金属や合金に対して非常に腐食性があります。 後述するように、多くのニッケル基の耐食合金(特にモリブデン含有量の高いもの)は、特定の濃度と温度範囲内で純粋な塩酸に耐えることができます。 ただし、特定の合金では濃度と温度に対する依存性が強くなる可能性があり、産業における異常な条件下では、これらの合金が限界に近づくと、腐食速度が著しく高くなる可能性があることに注意してください。 さらに、一部のニッケル合金、特にニッケル-モリブデン族の合金は、(塩酸の”実環境”溶液で発生する可能性がある)酸化性不純物の存在によって悪影響を受けます。したがって、使用する前に、産業現場で試験することが重要です。

純塩酸に対する耐性が最も高い合金は、モリブデン含有量が30 wt.%に近いニッケル-モリブデン族の合金です。 この族の中で、最高レベルの耐食性と熱安定性を備えた鍛造材料は、HASTELLOY® B-3®合金です。 純粋な試薬グレードの塩酸中のB-3® 合金の腐食速度を、濃度と温度の関数として下の図に示します。 (”等腐食線図”として知られている)このようなチャートは、このマニュアルで頻繁に使用されるため、いくつかの説明が必要です。

B-3 等腐食線図

これらの図は、多数の実験データポイントから数学的に作成され、それぞれが、指定された合金と溶液に対して、”非常に安全”、”中程度に安全”、および”安全でない”濃度/温度領域を定義します。これらは、0〜0.1 mm/y、0.1〜0.5mm/y、および 0.5 mm/yを超える腐食速度範囲に対応します。伝統的なアメリカの単位(mils/y、またはmpy)に精通している人にとって、0.1 mm/yは4 mpyに相当し、0.5 mm/y 20 mpyに相当します。ニッケル-モリブデン族のすべての材料と同様に、B-3®合金は、0〜20 wt.%の濃度範囲内で、沸点曲線までのすべての温度で純粋な塩酸に耐えることができることは注目に値します。これらの図を作成するために使用されるタイプの試験(非加圧のガラスフラスコ/凝縮
器ステムなど)は、20 wt.%の濃度(共沸混合物)までの塩酸に対してのみ正確です。もっと高濃度では、塩化水素ガスが逃げる可能性があり、濃度が不安定になり、誤った結果が生じる可能性があります。

以下は、塩酸(この場合は沸騰した2.5%HCl)中でのB-3®合金の性能に対する酸化性不純物(第二鉄イオンと第二銅イオン)の影響を示すグラフです。比較のために、比較的高いモリブデンレベルに加えて15wt.%のクロムを含む HASTELLOY® HYBRID-BC1® 合金を示しています。

B-3 ISO 第二鉄イオンと第二銅

純粋な塩酸に対して次に高い耐性を持つ合金は、ニッケル-クロム-モリブデン族の合金であり、そのモリブデン含有量は約13〜22 wt.%の範囲です(場合によっては、重量%ベースでモリブデンの半分の効果があるタングステンによって増強されることがあります )。 この族で最も広く使用されている鍛造材料は、HASTELLOY® C-276合金で、クロムとモリブデンの両方が16 wt.%、タングステンが4 wt.%含まれています。 この合金の純塩酸に対する等腐食線図を以下に示します。

C-276 ISO 等腐食線図

前の図から、16 wt.%のモリブデン合金は、特に低濃度で高い温度依存性を示すことが明らかです。 純粋な塩酸に耐える上でのモリブデンの重要性を次の図に示します。この図は、22 wt.%のモリブデン(および15 wt.%のクロム、タングステンは含まず)を含む材料であるHASTELLOY® HYBRID-BC1®合金の対応する等腐食線図を示しています。 しかし、タングステンはありません)。 ”非常に安全”および”中程度に安全”な領域がはるかに広く、全般的により高い温度で耐食性があることに注意してください。

HYBRIC-BC1 ISO 等腐食線図

二つのニッケル-クロム合金、すなわち625およびHASTELLOY® G-35®合金には、塩酸に対する優れた耐性を提供するのに十分なモリブデンが含まれています。625合金の標準モリブデン含有量は9wt.%で、G-35®合金のそれは8.1wt.%です。 これら2つの材料の主な違いは、クロム含有量(625合金の21.5 wt.%に対してG-35®合金は33.2 wt.%)と、G-35®合金には他にほとんど何も含まれていないのに対し、625合金には鉄(2.5 wt.%)と ニオブ(3.6 wt.%、少しの随伴するタンタルを含む)が意図的に添加されていることです。 625およびG-35®合金の対応する等腐食線図を次の2つの図に示します。 これら2つの図の類似性は、純粋な塩酸中では、クロム含有量がこのような合金の性能にほとんど影響を与えないことを示しています。

625  ISO 等腐食線図

G-35 ISO 等腐食線図

材料を比較するには、0.1 mm/yの線、すなわち、”非常に安全”な領域と”中程度に安全”な領域を分ける線をプロットするのが通例です。 これは、すべての材料に対しては、特にB-3®合金に対しては機能しません。B-3®合金には、2つの0.1 mm/y線(1つは約40℃で水平に走る)があり、そのどちらも、B-3®合金は他のほとんどの材料とは異なり、純塩酸に対しては20 wt.%までの濃度で、沸点曲線より下の範囲で安全に使用できることを示してます。 それにもかかわらず、以下に示すような0.1 mm/yの線を比較した図は、一般的に使用される二つののオーステナイト系ステンレス鋼に対する2つのニッケル合金(625およびC-276合金)の耐塩酸性の相対的な見方を提供します。

0.1 mmyの線を比較した図は

プロットした0.5 mm/yの線を使用して材料を比較することもできます。 以下は、試薬グレードの塩酸中の、クロムおよびモリブデンを含むいくつかのニッケル基のHASTELLOY®合金(すべての用途の広いCタイプ材料を含む)の0.5 mm/yの比較チャートです。

0.5 mmyの比較

すでに述べたように、銅は、塩酸が典型である還元酸に対するニッケル合金の耐性に有益です。 したがって、最も一般的に使用されているニッケル-銅合金であり、標準銅含有量が31.5 wt.%であるMONEL®400合金の等腐食線図を提示して議論することが重要です。 この図は次に示されており、ニッケル-銅合金は純粋な塩酸に対して(一般的なオーステナイト系ステンレス鋼よりも高い)ある程度の耐性があるが、その性能は(ニッケル-クロムグループの)625およびG-35® 合金の性能をはるかに下回っていることを示しています。

400 ISO の等腐食線図

等腐食線図が作成できるように、純粋な塩酸中で十分に広範囲にテストされた唯一の鍛造、耐食コバルト合金は、ULTIMET®合金です。 この図を以下に示します。 興味深いことに、モリブデンとタングステンの含有量が比較的低い(5および2 wt.%、これは6 wt.%のモリブデンに相当)にもかかわらず、純粋な塩酸での性能は625およびG-35®合金の性能に幾分似ています。 主な違いは、10〜20 wt.%の濃度範囲での”中程度の安全”領域がより狭いことであり、より狭い温度範囲で”安全”から”安全でない”領域に移行することを示しています。

ULTIMET ISO 等腐食線図

硫酸中の全面腐食

硫酸も非常に重要で腐食性の高い工業用化学物質です。 肥料、洗剤、プラスチック、合成繊維、および顔料の製造に使用されます。 また、石油産業の触媒としても使用されています。 塩酸と同様に、特定のニッケルおよびコバルト基の材料において、濃度と温度の依存性が高くなる可能性があります。 また、(化学的純度とフローの点から見た)”実環境”条件は、次の図のデータを生成するために使用される実験室条件とは異なるため、現場での試験をお勧めします。 純粋な硫酸中でも、モリブデンは非常に役立ちます; 銅も有益です。

高モリブデン合金は、純硫酸の全濃度範囲で良好に機能しますが、これは、約60〜70 wt.%の濃度で多くの金属材料の陰極反応の性質が変化する(Sridhar, 1987 )という事実にもかかわらずです。 低濃度では、陰極反応は正に帯電した水素イオンの還元(および水素ガスの発生)であると考えられていますが、混合陰極反応は高濃度で作用しているように見えます。 これは、ジルコニウム合金やニッケル-銅合金などの金属材料の挙動に影響を与えます。

次のHASTELLOY® B-3®合金の等腐食線図に示すように、純粋な塩酸と同様に、純粋な硫酸に対する耐性が最も高いニッケル合金はニッケル-モリブデン族の合金です。 この図は(90 wt.%までの)広い濃度範囲をカバーしており、B-3®合金の”非常に安全な”領域はきわめて大きいことに注目してください。 ただし、塩酸と同様に、硫酸中の酸化種の存在は、ニッケル-モリブデン合金に悪影響を及ぼします。

B-3 ISO の等腐食線図

ニッケル-クロム-モリブデン合金は、モリブデン含有量が適度に高く(13〜22 wt.%の範囲)、純硫酸に対しても高い耐性を備えています。 さらに、それらはクロムによって工業用溶液中に発生する可能性のある酸化種から、ある程度保護されています。 実際、Ni-Cr-Mo合金のクロム含有量が高いほど、保護レベルは高くなります。

硫酸中でのニッケル-クロム-モリブデン合金の性能を説明するため、HASTELLOY® C-276合金とHASTELLOY® HYBRID-BC1®の等腐食線図を以下に示します。 これらのニッケル-クロム-モリブデン合金の両方の温度性能は、純粋な硫酸では、全濃度範囲にわたってあまり変化しないことに注意してください。 ただし、HYBRID-BC1®合金はモリブデン含有量が高い(22 wt%)ため、かなり高い温度で材料を使用できます。

C-276 ISO の等腐食線図

HYBRID BC1 ISO の等腐食線図

純硫酸中の(ニッケル-クロム族の材料である)625およびG-35®合金の等腐食線図を以下に示します。

625 ISO の等腐食線図

G-35 ISO の等腐食線図

これらの図から、これら2つのモリブデン含有ニッケル-クロム合金の特性は純硫酸でほぼ同じであり、温度がそれらの性能にとって重要であることが明らかです。 実際、多くの濃度で、625およびG-35®合金には”中程度に安全な”領域がありません。見方を変えると、純粋な硫酸中でのこれら合金の温度性能は、以下に示す、625合金を含んだ0.1mm/y線の比較図が示すように、一般的なオーステナイト系ステンレス鋼よりもはるかに高いです。

0.1mmy線の比較図

試薬グレードの硫酸中での、いくつかのクロムおよびモリブデン含有ニッケル基HASTELLOY®合金(用途が広いCタイプ材料の全てを含む)の0.5 mm/yの比較チャートを以下に示します。

0.5 mmyの比較チャ

すでに述べたように、純硫酸中でのニッケル-銅合金の性能は、60〜70 wt.%の濃度範囲での陰極反応の変化の影響を受けます。 これは、次のMONEL® 400合金の等腐食線図に示されています。

400 の等腐食線図

純硫酸中のULTIMET®合金の等腐食線図を以下に示します。この図を625およびG-35®合金の図と比較すると、多くの類似点、特に特定の濃度で”中程度に安全な”領域がないことがわかります(すなわち、高い温度依存性があります)。

ULTIMET ISO の等腐食線図

高濃度の工業用硫酸中での全面腐食

硫酸の主な供給源は鉱業および金属抽出産業であり、製錬所のオフガスから高濃度の溶液(通常は92〜99 wt.%)を生産します。 これらの溶液は”超酸化剤”と呼ばれ、クロムに富む不動態皮膜をサポートできる範囲を超えて、非常に高い電位の陰極反応を誘発します。 それにもかかわらず、ニッケル-クロム-モリブデン合金は、このような溶液中で約95℃まで使用できます(Sridhar、1987)。 もっと高い温度に対しては、これらの電位で代替の持続可能な保護膜を形成する材料が必要です。

そのような材料には、高シリコン・ニッケル基合金と高シリコン・ステンレス鋼が含まれ、どちらもこのタイプの溶液中で保護シリカ膜を形成します。 一例に、HASTELLOY® D‐205®合金があります。この鍛造合金は、その溶接の機械的特性により、ガスケット付きプレート熱交換器用の薄いシートの形でのみ入手可能です。

臭化水素酸中の全面腐食

臭化水素酸は、特定の濃度と温度範囲内で、モリブデン含有ニッケル合金が耐性を持つ、もうひとつの強力な還元酸です。この酸は化学プロセス産業では広く遭遇することはありませんが、無機臭化物や臭素化有機化合物の製造には重要です。純粋な臭化水素酸中の耐食ニッケル合金の特性は、塩酸中の同じ材料の特性と密接に関連しています。

純粋な臭化水素酸中のHASTELLOY® B-3®合金の等腐食線図を以下に示します。 臭化水素酸の共沸混合物は40wt.%であるため、濃度範囲が拡張されていることに注意してください。 この図を塩酸の対応するグラフと比較すると、”中程度に安全”な領域が大きく、”安全でない”ゾーンが無いという点で、非常に似ていることがわかります。

B-3 ISO 臭化水素酸中の

純粋な臭化水素酸中のC-276およびHYBRID-BC1®合金の等腐食線図を次の図に示します。 臭化水素酸と塩酸の共沸混合物が同等であると仮定すると、C-276とHYBRID-BC1®は臭化水素酸に対してより耐性があるように見えますが、図は塩酸中での同じ合金の図と非常に似ています。 特に注目すべきは、HYBRID-BC1®の図において0.5 mm/y線が高い位置にあり、”中程度に安全な”ゾーンが100℃を超える温度にあることを示していることと、15〜40 wt.%の濃度範囲における性能がC-276合金よりも向上していることを示していることです。

C-276 ISO 臭化水素酸中の

HYBRID-BC1 臭化水素酸中の

次の等腐食線図に示すように、625やG-35®合金などのモリブデン含有ニッケルクロム材料も、純粋な臭化水素酸に対して良好な耐性を示します。

625 ISO 臭化水素酸中の

G-35 ISO 臭化水素酸中の

塩酸と臭化水素酸中のこれら2つの合金の図を比較すると、臭化水素酸の腐食性が低いことがわかります。 また、625合金とG-35®合金に対する臭化水素酸の図を比較すると、後者は約25 wt.%までの濃度でこの酸に対してかなり耐性があるように見えます。 このことから、G-35®合金の高クロム含有量は有益であると推察できます。

フッ化水素酸中の全面腐食

フッ化水素酸(HF)の水溶液は、取り扱いが最も難しいものの1つです。 このような溶液はガラスを腐食させるだけでなく、通常は酸化皮膜で保護されているチタンやジルコニウムなどの元素の合金もフッ化水素酸によって役に立たなくなります。 実際、一部のニッケル合金は、高温のフッ化水素酸溶液に耐性のある数少ない金属材料の1つですが、これらでさえ温度と濃度の能力が制限されます。 さらに、フッ化水素酸は、内部腐食や応力腐食割れ(どちらもこのマニュアルの後のセクションで説明します)などの他の形態の腐食を引き起こす可能性があります。

フッ化水素酸は、また、ニッケル基合金上に疑似不動態皮膜の形成を誘発する可能性があるという点でも(還元酸としては)珍しいものです。 実際、(ニッケル-銅族の材料である)MONEL® 400合金の卓越した性能は、露出面に保護フッ化物膜が形成されることに依るものです。

フッ化水素酸の工業的用途に関しては、金属やセラミックのエッチングと洗浄、油井とガス井の酸処理、および抽出冶金に見られます。 このマニュアルの範囲を超えていますが、工業的に重要なフルオロケミカルの製造には無水フッ化水素が使用されています(Jennings, 2006 )。 すべての酸は安全性の問題を引き起こしますが、フッ化水素酸は、はるかに危険です。 酸の溶液を取り扱う際は皮膚を露出させないでください。また、煙霧は避けてください。

ガラスはフッ化水素酸に侵されるため、実験室での腐食試験は、テフロン®凝縮システムを備えたテフロン®フラスコを使用してヘインズインターナショナルで実施されます。 HFの危険性があるため、通常、(96時間の)試験は中断することなく実行されます(他の酸でのテストには、4回の24時間のテスト期間があり、サンプルの洗浄と計量、および必要に応じて溶液の補充で中断されます)。

耐食ニッケルおよびコバルト基合金の領域内で、ニッケル-銅合金は、フッ化水素酸の高温で純粋な水溶液を含む工業用途に最も一般的に利用されています。 しかしながら、それらは酸素の存在によって悪影響を受けます。 そのような環境では、ニッケル-クロム-モリブデン合金が使用されますが、動作温度は低く制限されます。

フッ化水素酸の水溶液中のMONEL® 400合金の等腐食線図は、Crum et al, 1999 により示されています。本質的に、この合金は、100 wt.%までのすべての濃度、および沸騰までの温度で一般に0.5mm/y未満の腐食速度であることを示しています。 Jennings, 2006 は、市販の水性フッ化水素酸が49%と70%の濃度で入手可能であると述べています;これは、フッ化水素酸水溶液の試験に49 wt.%の濃度で調製された溶液が含まれていたと述べている Crum et al, 1999 の実験手順と一致しています。Jenningsの報告は、より高い濃度がどのように達成されたかを説明しておらず、ヘインズインターナショナルでの経験が重要であると示唆している試験の期間も示していません。 24時間の試験ではさまざまな結果が得られ、疑似不動態フッ化物膜が確立されつつある潜伏期間が示唆されました。 TEFLON®システムの温度計シール部からフッ化水素ガスが漏れたため、240時間(中断なし)の試験で濃度が変化しました。

Crum et al によって作成されたより重要なグラフは、次の図に再現されています。 フッ化水素酸の等腐食線図において、多くのニッケル合金の0.5(より正確には0.51)mm/yの線の位置を比較しています。 特に、ニッケル-クロム-モリブデン合金の線は、純粋ニッケルとともにかなり狭い性能帯域内にあり、ニッケル-クロム、ニッケル-クロム-鉄、およびニッケル-鉄-クロム材料の性能帯域のはるかに上にあることを示しています。

0.5(より正確には0.51)mmy

1995年から2010年の期間にヘインズインターナショナルで多くのフッ化水素酸の試験が実施され、いくつかの技術論文、特に 、 Rebak et al, 2001とCrooket al, 2007 の論文 が作成されました。 前者の論文は、フッ化水素酸の溶液に浸漬させた場合とフッ化水素酸溶液上の気相中に曝した場合の両方での、HASTELLOY® C-2000® 合金とMONEL® 400合金の挙動に焦点を当てています。後者の論文では、ニッケル-クロム-モリブデン合金(特にC-22®、C-276、およびC-2000®合金)で発生する可能性のある内部腐食について記述しています。

現在、ヘインズインターナショナルではフッ化水素酸を含む等腐食線図が1つだけ使用されており、それは、(下に示す)C-2000®合金に対するものです。 図は、30 wt.%までの濃度しかカバーしておらず、0.5 mm/yの線の傾きとCrumの比較図中のニッケル-クロム-モリブデン材料の傾きにかなりの違いがあり、温度が依存性がより高いことを示していることに注意してください。

フッ化水素酸の等腐食線図を使用する際の問題の1つは、内部腐食が発生しているかどうかを示していないことです。これを改善するために、(Ni-Cr-MoおよびNi-Cr族から取り上げた)5つの合金をフッ化水素酸で広範に試験し、内部腐食について研究しました。 結果は、簡略化された腐食速度チャートを作成するために使用され、96時間を超えると内部腐食を誘発する可能性のある温度と濃度に対しては、(黒い十字の)標識を付けています。 これらのチャートは、下のC-2000®合金の等腐食線図の後に続いて示されています。

C-2000 ISO フッ化水素酸の

C-22 HF 中の

C-276 HF 中の

C-2000 HF 中の

625 HF 中の

G-35 HF 中の

5つの合金の ”非常に安全”、”中程度に安全”、”安全でない”領域を示すために、(試験濃度と温度を中心とす
る)大きな正方形は、それぞれ緑、青、赤に色分けされています。
これらのチャートから、次のことが明らかです:

  1. 試験した3つのニッケル-クロム-モリブデン材料の中で、C-2000®合金が内部腐食の影響を最も受けに
    くい; これは、C-2000®合金に少量(1.6 wt.%)の銅が添加されているためかも知れない。
  2. ニッケル-クロム材料はフッ化水素酸に対する耐性がはるかに低い; 内部腐食は、おそらく、”安全でない”ゾーンでの全面腐食の速度が高いことに対処できなくなったことによる。

硝酸中の全面腐食

これまで議論されてきた酸とは異なり、硝酸は金属材料との高電位の酸化性陰極反応を誘発します。 このような環境では、ステンレス鋼、クロム含有ニッケル合金、およびクロム含有コバルト合金など、十分なクロムを含む材料上に保護(不動態)膜が容易に形成されます。

純粋な硝酸のみを含む工業用途の場合、ステンレス鋼は一般に、十分な耐食性を備えています。 クロム含有ニッケル合金は、他の化学物質、特にハロゲン化物および/またはハロゲン酸が存在する場合、あるいは、装置が異なる化学物質を含む複数の用途に使用される場合にのみ必要です。

純硝酸中のニッケル基合金の性能は、クロム含有量に非常に大きく左右されます。 したがって、クロム含有量が非常に高い(33.2 wt.%)HASTELLOY® G-35®合金は、以下に示すように優れた耐性を示します(対応する等腐食線図参照)。 実際、沸点曲線より下のすべての温度で、0から(試薬グレードの実験用酸が利用可能な最高濃度である)70wt.%の濃度範囲で、腐食速度は0.1 mm/y未満であると予想されます。

G-35 ISO 硝酸中の

純硝酸中のニッケル-クロム-モリブデン合金の性能を示す2つの等腐食線図を以下に示します。 これらは、C-276合金(クロムが16 wt.%)およびC-2000®合金(クロムが23 wt.%)に対応しています。 C-2000®合金のクロム含有量がより高いため、0.1 mm/yおよび0.5mm/yの線がより高い濃度と温度に押し上げられていることに注目してください。

C-276 ISO 硝酸中の

C-2000 ISO 硝酸中の

クロム含有量がわずか1.5wt.%のB-3®合金は、硝酸中で急速に腐食します。 一方、クロム含有量が15 wt.%のHYBRID-BC1®合金は、約50℃の温度まで70%の硝酸に耐えることができます(すなわち、腐食速度は0.5 mm/y未満です)。

リン酸中の全面腐食

There are two types of phosphoric acid, a pure, “food” grade made from elemental phosphorus, and an impure, “fertilizer” grade, which is made by reacting phosphate rock with sulfuric acid. Pure, “food” grade phosphoric acid is not nearly as corrosive as the other reducing acids, such as hydrochloric. Indeed, many alloys from the nickel-chromium, nickel-molybdenum, and nickel-chromium-molybdenum systems exhibit corrosion rates of less than 0.1 mm/y over large temperature and concentration ranges, as indicated in the iso-corrosion diagrams shown below for G-35® alloy, B-3® alloy, and C-276 alloy.

G-35 ISO リン酸中の

B-3 ISO リン酸中の

C-276 ISO リン酸中の

”肥料”グレードのリン酸に関して、肥料の製造における重要なステップはリン酸の生産と濃縮です。 この酸は、リン鉱石を硫酸と反応させることによって作られるため、別名が”湿式”リン酸です。 この肥料グレード/湿式リン酸には、微量の硫酸が含まれているだけでなく、リン鉱石からの不純物が含まれているため、腐食性が高くなります。

リン鉱石の主成分は、リン酸三カルシウム(これからリン酸と硫酸カルシウムが生成される)、フッ化カルシウム(フッ化水素と硫酸カルシウムを生成する)、および炭酸カルシウム(二酸化炭素、硫酸カルシウム、および水を産出する)です。 リン酸の濃度(またはP2O5含有量)は、硫酸カルシウムからリン酸を分離するために必要なすすぎ水の量によって決まり、通常は30〜32 wt.%の範囲です(Crook and Caruso, 2004 )。

不純物には、フッ化水素イオン(通常、これらは金属イオンと錯体を形成)、塩化物イオン、シリカ、アルミニウム、鉄(酸の酸化能を高めるのに役立つ)、カルシウム、およびナトリウムから発生するフッ化物イオンが含まれます。

(輸送と効果的な使用を可能にするための)典型的な濃縮シーケンスは次のとおりです:

ステップ 1: 30‐32% から 37‐39%

ステップ 2: 37‐39% から 45‐48%

ステップ 3: 45‐48% から 52‐54%

ステップ 4: 52‐54% から 69‐72%

最初の3つのステップは通常、90℃以上の温度を含み、4番目のステップは通常、150℃までの温度を含みます。

地理的には、肥料グレード/湿式リン酸の生産者は、アクセス可能な最大のリン鉱石埋蔵地の近くにあります。 米国では、活動はフロリダに集中していますが、北西部にも工場があります。 大西洋を越えて、活動のほとんどは北アフリカと中東の鉱床に集中しています。 さまざまな場所での不純物レベルの違いにより、腐食性に違いが生じます。

次のグラフは、肥料グレード/湿式リン酸(P2O5の濃度範囲が36〜54 wt.%)中での、いくつかの材料の結果を比較しています。 Acid 1とAcid 2は、フロリダの異なる場所からのものでした。 試験は、オートクレーブ内において、121℃で96時間(中断なし)実施しました。 この温度を選択したのは、ベースとなった高クロムステンレス鋼(合金28および31)の以前の試験の上限が121℃であったためです。 ニッケルベースの材料(すなわち、クロム含有量が23 wt.%のC-2000®合金、クロム含有量が30 wt.%のG-30®合金、およびクロム含有量が33.2 wt.%のG-35®合金)については、酸化種が存在するため、クロム含有量と耐食性の間に強い相関関係があるので注意が必要です。

湿式リン酸の生産者は

ナトリウムおよびカリウム水酸化物中の全面腐食

水酸化ナトリウム(NaOH、苛性ソーダ)と水酸化カリウム(KOH、苛性カリ)は広く使用されている化学物質です。 用途には、石鹸、紙、アルミニウムの製造が含まれます。 これらはまた、特に石油化学産業において、酸を中和するために使用されます。 溶融NaOHは、金属産業においてステンレス鋼やその他の合金のスケール除去に使用されます。NaOHおよびKOHに耐えるために最も一般的に使用される材料は、商業的に純粋な鍛造ニッケル製品であるNi200およびNi201です(Dillon, 1994、Klarstrom, 1987、Friend, 1980)。 後者は、高炭素材料(Ni200)では黒鉛化が起こる可能性がある315℃を超える温度で使用するための低炭素グレードの材料です。 より高い強度が必要な場合は、時効硬化可能なNi301が使用されます。 水酸化ナトリウム中のニッケル200の等腐食線図(Crum and Schumaker, 2006より引用)を以下に示します。

200 ISO 水酸化ナトリウム

多くの熱伝達システムでは、選択する材料は片側がNaOH(またはKOH)に、反対側が塩素化された、または汚染された水に耐える必要があります(Rebak, 2005 )。 さらに悪いことに、状況によっては、材料を酸とアルカリの両方に順次さらす必要があります。 このような場合、クロムおよび/またはモリブデンを含むニッケル合金が必要です。

これらのクロムおよびモリブデン含有ニッケル合金のNaOHおよびKOHに対する耐性に関しては、いくつかの合金は高濃度および高温で”アルカリ脱合金化”を起こしやすい(Chambers, 2002、Crook and Meck, 2005)。この現象は、ミクロ組織の表面近くの領域からニッケル以外の元素が選択的に除去されることを特徴としています。107℃までの温度で50wt.%の水酸化ナトリウムを使用するテストでは、B-3®およびC-2000®合金は、それぞれ66℃および79℃(およびそれ以上の温度)で脱合金化しやすいことが確認されました。 一方、G-35®合金は、少なくとも最高試験温度までは、72時間の試験期間中に脱合金を起こしませんでした。 これは、モリブデンがアルカリ脱合金化に関して悪役であること、および/または、より高いクロム含有量が有益であることを示唆しています。

孔食および隙間腐食

孔食および隙間腐食は、水溶液中の塩化物(または他のハロゲン化物)の存在に関係した腐食の形態です。 孔食は通常、不動態皮膜の局所的な破壊、または局所的な電気化学セルの発生によって開始されます(通常、陽極および陰極サイトは金属表面上を動き回りますが、冶金学的不均一性は状態を静的にする可能性があります)。 その名前が示すように、隙間腐食は、構造コンポーネント間の隙間または狭いギャップで発生します。 どちらの形態の腐食も、正電荷の局所的な蓄積、および負に帯電した塩化物(または他のハロゲン化物)イオンのピットまたはギャップへの引き付けと、それに続く対応する酸(塩化物イオンの場合は塩酸)の形成に関連しています。 この酸は腐食を加速し、自己触媒的なプロセスになります。

ニッケル-クロム-モリブデン合金の商業的成功は、主に孔食および隙間腐食(すなわち、塩化物によって誘発される局所的な腐食)に対する耐性によるものである、とかつて述べられていました。 実際、これはこの材料族の主要な属性であり、もうひとつは、塩化物による応力腐食割れに対する耐性で、これについては後で説明します。

材料の耐孔食性を評価するのは難しいです。 短期間の試験では、小さなピットまたは大きなピットが発生する可能性があり、どちらも同等に扱われます。 ピットの始まりと進行の時間に関連して大きなランダムエラーがあるため、腐食速度は一般的に誤解を招く可能性があります; たとえば、まったく同じサンプルを用いた24時間試験では、各サンプルの最初のピットは試験の早い段階または遅い段階で始まる可能性があり、2つのサンプルの腐食速度が大きく異なる結果になります。

著者が推奨する孔食および隙間腐食試験は、ASTM規格 G48:塩化第二鉄溶液を使用したステンレス鋼および関連合金の孔食および隙間腐食耐性に記載されているものです。この規格には6つの試験方法が記載されており、そのうち2つ(Method CおよびMethod D)はニッケル基合金およびクロム含有合金に関するものです。Method Cは、材料の臨界孔食温度(CPT)、すなわち、72時間の試験期間中に、6 wt.%の塩化第二鉄+1 wt.%の塩酸の溶液中で孔食が観察される最低温度、の決定を可能にします。Method Dでは、対応する臨界隙間腐食温度(CCT)を決定できるように、隙間組立て部品をサンプルに取り付ける必要があります。 ASTM規格 G48に関連する研究所間試験プログラムでは、最高
温度85℃が使用されました。この規格は、より高温での試験は許容していますが、沸点を超える試験に必要な機器(すなわち、オートクレーブ)には対応していません。

一般的に言えば、Method Cにおける合金ランクはMethod Dにおけるランクとよく相関しますが、孔食よりもはるかに低い温度で隙間腐食が発生する傾向があります。 これを念頭に置いて、高温オートクレーブ試験に関する業界の懸念とともに、ヘインズインターナショナルでは、Method D、および関連するニッケル基合金のCCTに(ステンレス鋼と比較して)焦点を当ててきました。

いくつかのニッケル-クロムおよびニッケル-クロム-モリブデン合金のCCTを、316L(CCT = 0℃)および254SMO®合金のCCTとともに次の棒グラフに示します。 それらは、モリブデンとクロムの両方が塩化物による孔食と隙間腐食に対する耐性に重要であり、前者の方が影響力が大きいことを示唆しています(塩酸は塩化物溶液で懸念される腐食性化学物質であるため、これは驚くべきことではありません)。

6% 酸性第二鉄溶液中の

コバルト基合金の耐孔食性と耐隙間腐食性に関しては、ULTIMET®合金とHAYNES®25合金のみがニッケル基CRA(耐食合金)と真剣に比較されています。 これは、タングステン含有高炭素コバルト合金は、クロムとタングステンの含有量の一部が炭化物の形成に寄与するため、ニッケル基CRAほど耐食性がないという事実に一部起因しています。 さらに、塩化物によって誘発される局所的な腐食の観点から、それらの炭化物を多く含んだミクロ組織は不均一であり、それゆえに局所的な電気化学的条件を引き起こす可能性が高いです。 一方、ULTIMET®合金とHAYNES®25合金は均質な鍛造製品であり、前者は腐食性化学物質の水溶液中で優れているように特別に設計されています。

ULTIMET®合金の耐孔食性を決定するための試験は、ASTM G48試験が好まれるようになる前の1990年代初頭にヘインズインターナショナルで実施されました。 当時、グリーンデス溶液(排煙脱硫システムの凝縮液を模擬するように設計された溶液)中の臨界孔食温度は、塩化物による孔食に対する材料の耐性の決定的な尺度でした。 グリーンデス溶液はASTM G28Bの品質管理溶液に類似しており、11.5% H2SO4 + 1.2% HCl + 1% FeCl3 + 1% CuCl2(すべて重量割合)で構成されています。 グリーンデス溶液による試験の期間は24時間です。

驚いたことに、ULTIMET®合金は、ULTIMET®合金のモリブデンとタングステンの組み合わせレベルがはるかに低いにもかかわらず、次の表に示すように、臨界孔食温度が最も高いニッケル-クロム-モリブデン合金(すなわちC-22®合金)と同等でした。 これはおそらく、これら2つの元素が、ニッケル基よりもコバルト基でより効果的であることを示しています。あるいは、(ニッケル合金よりもコバルト合金に溶けやすく、塩化物による孔食に対する耐性を高めるためにULTIMET®合金に意図的に添加された)窒素が原因している可能性があります。

グリーンデス溶液による試験で、HAYNES® 25合金は、塩化物による孔食に対しても高い耐性を持っていることが明らかになりました。この溶液中でのULTIMET®合金の臨界孔食温度は、原子的にはモリブデンとタングステンの合計含有量が比較的低くなっているにもかかわらず、C-276合金のそれに近い値です。

最も一般的な高炭素コバルト基合金の鍛造バージョンであるHAYNES® 6B合金は、グリーンデス溶液中での臨界孔食温度が45℃であり、316Lステンレス鋼よりも著しく高いことに注目してください。

グリーンデス溶液中での臨界孔食温度

合金 臨界孔食温度, ℃
ULTIMET® 120
C-22® 120
C-276 110
25 110
625 75
6B 45
316L 25

鍛造、耐食ニッケル合金が遭遇する最も一般的な塩化物溶液は、おそらく海水です。 海水が遭遇するのは、船舶、石油掘削リグ、ならびに(通常は冷却剤として海水を使用する)沿岸の構造物や施設です。 塩化物として、海水は、金属材料の孔食、隙間腐食、応力腐食割れ、および全面腐食を引き起こす可能性があります。 さらに、海洋機器が生物付着で覆われて、”堆積物下”腐食として知られる一種の隙間腐食を引き起こす可能性があることも問題です。

幸いなことに、ニッケル合金は良好な耐海水性を備えています。特に、合金400のように銅含有量が高いものは、耐生物付着性があります(銅は微生物には毒になります)。よどんだ、または低流速条件では、耐孔食性および耐隙間腐食性が高い、クロムおよびモリブデンを含むニッケル合金が好まれます。

ノースカロライナ州ライツビルビーチにあるLaQue研究所で米海軍の研究の一環として取得された、海水に対する隙間腐食データのいくつかが、Aylor et al, 1999 によって作成された次の表に示されています。隙間試験は、流れていない(静止した)および流れている海水中の両方で、29℃±3℃の条件で実施されました。 各合金の2つのサンプルを静水中で180日間試験し、各合金の2つのサンプルを流水中で180日間試験しました。 各サンプルには、腐食する可能性がある2つの隙間サイトが含まれていました。 静止した海水中では、結果は酸性塩化第二鉄で得られた結果を反映しており、C-22®およびC-2000®合金が最も耐性があります。 流れる海水中では、ステンレス鋼の隙間腐食は浅く、Ni-Cr-Mo合金はいずれも隙間腐食を起こしませんでした。

合金 静止した海水 流れる海水
腐食したサイトの数 深さ, mm 腐食したサイトの数 深さ, mm
316L 2 1.8 2 0.32
254SMO® 2 1.25 2 0.01
625 2 0.11 2 <0.01
C-22® 0 0 0 0
C-276 1 0.12 0 0
C-2000® 0 0 0 0

応力腐食割れ

鍛造、耐食のニッケル基合金の主な利点の1つは、ステンレス鋼が特に発生しやすい腐食の形態である塩化物応力腐食割れ(SCC)に対する高い耐性です。 実際、ニッケル合金の鉄含有量が高いほど、この極めて有害な形態の腐食に対する耐性が低くなるという事実を、証拠が示しています。

塩化物SCCは、水素脆化、硫化物応力割れ、液体金属脆化などとともに、環境応力割れ(EAC)の幅広いカテゴリに分類されます(Rebak, 2005)。 これらの現象はすべて、特定の腐食雰囲気中で引張応力を受けたときに延性材料が脆化を示す環境を表しています。

このマニュアルでは、塩化物、つまり塩化物SCCが主な関心事ですが、他のハロゲン化物(臭化物、フッ化物、およびヨウ化物)も同様に損傷を与える可能性があります。 また、フッ化水素酸は、特に溶存酸素の存在下で、応力腐食割れを引き起こすことが知られています。 水素脆化および硫化物応力割れに対する耐性は、石油およびガス産業におけるダウンホール用途の重要な属性です;幸いなことに、ニッケル-クロムおよびニッケル-クロム-モリブデン合金は、これらの形態の環境応力割れに対して非常に耐性があり、その結果、最も腐食性の高い井戸のいくつかで使用されています。

金属材料の塩化物SCCに対する耐性を評価するために一般的に使用される試験は、ASTM規格 G36に記載されている、45 wt.%の塩化マグネシウムの沸騰溶液による試験です。 次の表は、さまざまな合金の(3.2 mmのシートから作成された)U字曲げサンプルが、この溶液中で割れを生じるのに必要な時間を示しています。 割れを生じなかった低鉄ニッケル基CRAに対しては、1,008時間(6週間)後に試験を停止しました。
合金 割れ発生までの時間, h
316L オーステナイト系ステンレス鋼 2
254SMO® オーステナイト系ステンレス鋼 24
28 オーステナイト系ステンレス鋼 36
31 オーステナイト系ステンレス鋼 36
G-30® Ni-Cr-Fe 168 h
G-35® Ni-Cr 1,008hで割れなし
C-22® Ni-Cr-Mo 1,008hで割れなし
C-276 Ni-Cr-Mo 1,008hで割れなし
C-2000® Ni-Cr-Mo 1,008hで割れなし
625 Ni-Cr 1,008hで割れなし

EACと塩化物SCCは複雑な問題です。 ニッケル基合金とステンレス鋼、および水溶液の場合、局所的な電気化学的条件が割れの先端で発生し、確実に亀裂を急速に伝播させると考えられています。 ミクロ組織も役割を果たし、冷間加工された材料は、溶体化処理された材料よりもはるかに割れやすいです。

塩化物SCC中の割れの伝播に関しては、オーステナイト系ステンレス鋼では粒内に分岐するパターンが一般的です;しかしながら、他の伝播経路も可能です。 たとえば、フッ化水素酸は、次の顕微鏡写真に示すように、応力がかかったニッケル基CRAにかなり独特な亀裂パターンを誘発する可能性があります。顕微鏡写真は、a)20%フッ化水素酸に79℃で240時間に曝されたC-2000®のU字曲げサンプルの外面の、極めて微細/ほとんど分解できない割れ、b)同じ条件に曝されたC-22®U字曲げサンプルのもっと普通の性質の割れ、を示しています。

79℃の20% HFに曝された 2000® U‐字曲げサンプルの割れ (Crook et al, 2007)
Cracking in C-2000® U-Bend Sample Exposed to 20% HF at 79°C (Crook et al, 2007)

79℃の20% HFに曝された C-22® U‐字曲げサンプルの割れ (Crook et al, 2007)
Cracking in C-22 ® U-Bend Sample Exposed to 20% HF at 79°C (Crook et al, 2007)

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