主な特徴

硫酸に対して優れた耐性を有する銅含有Ni-Cr-Mo 材料

HASTELLOY® C-2000® 合金 (UNS N06200) は、多用途のニッケル-クロム-モリブデン材料の中で銅を意図的に添加したユニークな合金です。これにより、硫酸に対する耐性が大幅に向上します。     また、酸化性化学物質、および第二鉄イオンと溶存酸素で汚染されたプロセスストリームに対する    耐性を最大限にするためにクロムを多く含んでいます。

他のニッケル合金と同様に、この合金は延性があり、容易に成形および溶接することができ、塩化物含有溶液中で(オーステナイト系ステンレス鋼に起こりやすい劣化形態である)応力腐食割れに対して優れた耐性があります。また、広範囲の酸化性および非酸化性の化学物質に耐えることがで      き、塩化物および他のハロゲン化物の存在下での孔食および隙間腐食に対して傑出した耐性を示します。

代表的な化学プロセス工業(CPI)用途には、反応器や熱交換器などがあります。

*この合金に関して技術的なご質問がある場合は、当社の技術支援チームにご連絡ください。

標準組成

Weight %
Nickel 59 Balance
Cobalt 2 max.
Chromium 23
Molybdenum 16
Copper 1.6
Iron 3 max.
Manganese 0.5 max.
Aluminum 0.5 max.
Silicon 0.08 max.
Carbon 0.01 max.

等腐食線図

ここに示す各々の等腐食線図は、異なる酸濃度および温度で得られた多数の腐食速度値を用いて作成されたものです。青の線は、試薬グレードの酸を用いた実験室試験に基づいて、予想腐食速度が 0.1 mm/y (4 mil/年) となる酸濃度と温度の組み合わせを示しています。線よりも下では、予想腐食速度は 0.1 mm/y 以下になります。同様に、赤の線は、予想腐食速度が 0.5 mm/y (20 mil/年) となる酸濃度と温度の組み合わせを示しています。線よりも上では、予想腐食速度は 0.5 mm/y を超えます。青と赤の線の間では、腐食速度は 0.1 ~ 0.5 mm/y になると予想されます。

0.1 mm/y 腐食速度の比較

HASTELLOY® C-2000® 合金の性能と他の材料の性能との比較には、0.1 mm/y の腐食速度線のプロットpぉtが役立ちます。以下のグラフにおいて、C-2000®      合金の線は、塩酸および硫酸中におけるC-22® 合金、C-276 合金、625 合金、254SMO 合金、および 316L ステンレス鋼の線と比較されています。C-2000® 合金が優れているのは、塩酸中では 10% 濃度まで、硫酸中では 80% 濃度までであることに注意してください。塩酸は濃度上限の 20% では共沸混合物になり、これ以上の濃度では腐食試験の信頼性が低くなります。

選択腐食データ

化水素酸

濃度 Wt.% 50°F 75°F 100°F 125°F 150°F 175°F 200°F 225°F 沸騰
10°C 24°C 38°C 52°C 66°C 79°C 93°C 107°C
2.5 - - - - <0.01 - 0.01 - 0.01
5 - - - - <0.01 - 0.01 - 0.15
7.5 - - - - - <0.01 <0.01 - 0.58
10 - - - - <0.01 <0.01 0.34 - 1.71
15 - - - - - 0.10 0.94 - -
20 - - - - <0.01 0.61 0.86 - 2.52
25 - - <0.01 0.15 0.30 0.53 0.91 - -
30 - - 0.06 0.20 0.29 0.48 0.91 - -
40 - - 0.07 0.13 0.18 0.32 0.60 - -

全ての腐食速度はミリメートル/年(mm/y)で示しています; mil (ミル:1000分の1インチ) /年に換算するには、0.0254で除算します。
データは、腐食試験所の Job 71-97、26-99、49-99、27-02、および 37-02 からのものです。
全ての試験は、実験室条件下で試薬グレードの酸を用いて行われました;   工業的利用に先だって、フィールドテストを実施することを推奨します。

濃度 Wt.% 50°F 75°F 100°F 125°F 150°F 175°F 200°F 225°F 沸騰
10°C 24°C 38°C 52°C 66°C 79°C 93°C 107°C
1 - - - - - - - - 0.01
1.5 - - - - - - - - 0.02
2 - - - - <0.01 <0.01 <0.01 - 0.09
2.5 - - - - - <0.01 0.01 - 0.34
3 - - - - <0.01 <0.01 0.02 - 0.36
3.5 - - - - - 0.01 0.65 - 1.61
4 - - - - <0.01 0.01 1.24 - 2.15
4.5 - - - - <0.01 0.01 1.48 - 3.98
5 - - - 0.01 <0.01 <0.01 1.37 - 4.23
7.5 - - <0.01 <0.01 0.57 1.12 - - -
10 - - <0.01 0.28 0.65 1.54 - - -
15 - - 0.18 0.38 0.70 1.69 - - -
20 - - 0.16 0.36 0.69 1.46 - - -

全ての腐食速度はミリメートル/年(mm/y)で示しています; mil (ミル:1000分の1インチ) /年に換算するには、0.0254で除算します。
データは、腐食試験所の Job 8-95、11-95、18-95、36-95、3-96、9-96、16-96、および 25-96 からのものです。全ての試験は、実験室条件下で試薬グレードの酸を用いて行われました;      工業的利用に先だって、フィールドテストを実施することを推奨します。

ッ化水素酸

濃度 Wt.% 50°F 75°F 100°F 125°F 150°F 175°F 200°F 225°F 沸騰
10°C 24°C 38°C 52°C 66°C 79°C 93°C 107°C
1 - - 0.01 0.03 0.08 0.18 - - -
5 - - 0.02 0.09 0.33 0.57 - - -
10 - - 0.06 0.22 0.56 0.99 2.27 - -
20 - - 0.21 0.48 0.68 0.67 0.74 - -
30 - - 0.25 0.62 1.61 1.34 1.46 - -

全ての腐食速度はミリメートル/年(mm/y)で示しています; mil (ミル:1000分の1インチ) /年に換算するには、0.0254で除算します。
データは、腐食試験所の Job 3-99、24-99、および 46-99 からのものです。
全ての試験は、実験室条件下で試薬グレードの酸を用いて行われました;      工業的利用に先だって、フィールドテストを実施することを推奨します。
フッ化水素酸は、ニッケル合金の外部だけでなく内部の腐食を引き起こすことが知られています。ここに示した値は、実験室での試験中に遭遇した外部腐食量のみです。

硝酸

濃度 Wt.% 50°F 75°F 100°F 125°F 150°F 175°F 200°F 225°F 沸騰
10°C 24°C 38°C 52°C 66°C 79°C 93°C 107°C
10 - - - - - - - - -
20 - - - - - - - - 0.02
30 - - - - - - - - -
40 - - - - - 0.02 0.06 - 0.24
50 - - - - - 0.05 0.12 - 0.51
60 - - - - - 0.08 0.19 0.43 0.94
65 - - - - - - - - 1.00
70 - - - - - 0.10 0.29 0.59 1.66

全ての腐食速度はミリメートル/年(mm/y)で示しています; mil (ミル:1000分の1インチ) /年に換算するには、0.0254で除算します。
データは、腐食試験所の Job 8-95 および 11-97 からのものです。
全ての試験は、実験室条件下で試薬グレードの酸を用いて行われました;       工業的利用に先だって、フィールドテストを実施することを推奨します。

リン酸

濃度 Wt.% 125°F 150°F 175°F 200°F 225°F 250°F 275°F 300°F 沸騰
52°C 66°C 79°C 93°C 107°C 121°C 135°C 149°C
50 - - <0.01 0.01 - - - - 0.03
60 - - <0.01 0.01 0.02 - - - 0.08
70 - - <0.01 0.01 0.02 0.07 - - 0.15
75 - - - - - - - - 0.84
80 - - <0.01 0.01 - 0.08 0.14 - 0.40
85 - - - - - 0.05 0.17 0.33 7.90

全ての腐食速度はミリメートル/年(mm/y)で示しています; mil (ミル:1000分の1インチ) /年に換算するには、0.0254で除算します。
データは、腐食試験所の Job 19-95 および 64-96 からのものです。
全ての試験は、実験室条件下で試薬グレードの酸を用いて行われました;       工業的利用に先だって、フィールドテストを実施することを推奨します。

硫酸

濃度 Wt.% 75°F 100°F 125°F 150°F 175°F 200°F 225°F 250°F 275°F 300°F 350°F 沸騰
24°C 38°C 52°C 66°C 79°C 93°C 107°C 121°C 135°C 149°C 177°C
1 - - - - - - - - - - - -
2 - - - - - - - - - - - -
3 - - - - - - - - - - - -
4 - - - - - - - - - - - -
5 - - - - - - - - - - - -
10 - - - - <0.01 0.02 - - - - - 0.09
20 - - - - 0.01 0.03 - - - - - 0.18
30 - - - - 0.01 0.04 - - - - - 0.42
40 - - - - 0.01 0.05 0.72 - - - - 1.13
50 - - - <0.01 0.02 0.16 0.68 1.71 - - - 3.35
60 - - - <0.01 0.02 0.37 0.84 2.81 - - - 9.27
70 - - - 0.01 0.07 0.42 1.40 4.32 - - - -
80 - - - 0.06 0.28 0.99 1.62 2.37 - - - -
90 - - - 0.02 0.07 0.37 1.17 2.24 - - - -
96 - - - - 0.05 0.19 0.63 - - - - -

全ての腐食速度はミリメートル/年(mm/y)で示しています; mil (ミル:1000分の1インチ) /年に換算するには、0.0254で除算します。
データは、腐食試験所の Job 8-95、11-95、18-95、36-95、43-95、9-96、9-96、15-96 および 20-96 からのものです。
全ての試験は、実験室条件下で試薬グレードの酸を用いて行われました;      工業的利用に先だって、フィールドテストを実施することを推奨します。

選択腐食データ (試薬グレード溶液、mm/y)

化学物質 濃度 wt.% 100°F 125°F 150°F 175°F 200°F 沸騰
38°C 52°C 66°C 79°C 93°C
酢酸 99 38°C 52°C 66°C 79°C 93°C <0.01
クロム酸 10 38°C 52°C 66°C 79°C 93°C -
20 - - 0.61 - - -
ギ酸 88 - - - - - 0.01
臭化水素酸 2.5 - - <0.01 - 0.01 0.01
5 - - <0.01 - 0.01 0.15
7.5 - - - <0.01 <0.01 0.58
10 - - <0.01 <0.01 0.34 1.71
15 - - - 0.10 0.94 -
20 - - <0.01 0.61 0.86 -
25 <0.01 0.15 0.30 0.53 0.91 -
30 0.06 0.20 0.29 0.48 0.91 -
40 0.07 0.13 0.18 0.32 0.60 -
塩酸 1 - - - - - 0.01
2 - - <0.01 <0.01 <0.01 0.09
2.5 - - - <0.01 0.01 0.34
3 - - <0.01 <0.01 0.02 0.36
3.5 - - - 0.01 0.65 1.61
4 - - <0.01 0.01 1.24 -
4.5 - - <0.01 0.01 1.48 -
5 - 0.01 <0.01 <0.01 1.37 -
7.5 <0.01 <0.01 0.57 1.12 - -
10 <0.01 0.28 0.65 1.54 - -
15 0.18 0.38 0.70 1.69 - -
20 0.16 0.36 0.69 1.46 - -
フッ化水素酸* 1 0.01 0.03 0.08 0.18 - -
5 0.02 0.09 0.33 0.57 - -
10 0.06 0.22 0.56 0.99 2.27 -
20 0.21 0.48 0.68 0.67 0.74 -
30 0.25 0.62 1.61 1.34 1.46 -
硝酸 20 - - - - - 0.02
30 - - - - - 0.09
40 - - - 0.02 0.06 0.24
50 - - - 0.05 0.12 0.51
60 - - - 0.08 0.19 0.94
65 - - - - - 1.00
70 - - - 0.10 0.29 1.66
リン酸 50 - - - <0.01 0.01 0.03
60 - - - <0.01 0.01 0.08
70 - - - <0.01 0.01 0.15
75 - - - - - 0.84
80 - - - <0.01 0.01 -
硫酸 10 - - - <0.01 0.02 0.09
20 - - - 0.01 0.03 0.18
30 - - - 0.01 0.04 0.42
40 - - - 0.01 0.05 1.13
50 - - <0.01 0.02 0.16 -
60 - - <0.01 0.02 0.37 -
70 - - 0.01 0.07 0.42 -
80 - - 0.06 0.28 0.99 -
90 - - 0.02 0.07 0.37 -
96 - - - 0.05 0.19 -

*フッ化水素酸は、ニッケル合金の内部腐食も誘発します;ここに記載した値は、外部腐食のみの値です。

耐孔食および隙間腐食性

HASTELLOY® C-2000® 合金は、オーステナイト系ステンレス鋼に特に発生しやすい腐食形態である塩化物誘起孔食および隙間腐食に対して高い耐性を示します。合金の耐孔食および隙間腐食性を評価するには、ASTM規格 G48で定義されている手順に従って、6 wt% 塩化第二鉄酸性溶液中の臨界孔食温度および臨界隙間腐食温度を測定することが通例です。測定された温    度は、この溶液中で72時間以内に孔食および隙間腐食が発生する最低温度です。比較のため     に、316L、254SMO、625、C-276 および C-2000® 合金に対する値を以下に示します。 C-2000® 合金は、C-276 合金よりも耐隙間腐食性が高いことに注目してください。

合金
6% FeCl3 酸性溶液中の 臨界孔食温度
6% FeCl3 酸性溶液中の 臨界隙間腐食温度
°F °C °F °C
316L 59 15 32 0
254SMO 140 60 86 30
625 212 100 104 40
C-276 >302 >150 131 55
C-2000® 293 145 176 80

他の塩化物含有環境、特に Green Death 溶液(11.5% H2SO4 + 1.2% HCl + 1% FeCl3 + 1% CuCl2) および Yellow Death 溶液(4% NaCl + 0.1% Fe2(SO4)3 + 0.021mol HCl)、を用いた24時間保持試験により)様々な合金の耐孔食および隙間腐食性を比較しました。Green Death 溶液では、 C-2000® 合金で孔食が観察された最低温度は100℃です。Yellow Death 溶液では、C-2000® 合金は最高試験温度(150℃)でも孔食を生じませんでした。Yellow Death  溶液におけるC-2000®  合金の臨界腐食温度は95℃です。

耐応力腐食割れ性

ニッケル合金の主な特性の1つは、耐塩化物誘発応力腐食割れ性です。この非常に破壊的な腐食    に対する材料の耐性を評価するための一般的な方法は、典型的にはU 字型に曲げて応力をかけたサンプルを沸騰45%塩化マグネシウムに浸けることです(ASTM規格 G 36)。以下の結果から明らかなように、3つのニッケル合金、C-276、C-2000® および 625は、比較対象のオーステナイト系ステンレス鋼よりも、この形態の腐食に対してはるかに耐性があります。試験は1,008時間(6週間)で停止しました。

合金 割れ発生までの時間
316L 2 h
254SMO 24 h
625 1,008 h で割れなし
C-276 1,008 h で割れなし
C-2000® 1,008 h で割れなし

耐海水隙間腐食性

海水は、おそらく最も一般的な塩水溶液です。海上輸送や海上石油リグで遭遇するだけでなく、沿    岸施設の冷却にも使用されています。下表に記載されているのは、ノースカロライナ州ライツヴィル ビーチにある LaQue 試験所における米国海軍の研究の一部として作成(および D.M. Aylor 等によって出版 ; Paper No. 329, CORROSION 99, NACE International, 1999)されたデータです。隙間試験は、29℃士3℃の、流れていない(静止した)海水と流れる海水の両方で行われました。各合金の2つのサンプル(AとB)を180日間静水中で試験し、同様に流水中で試験しました。 各サンプルは、隙間腐食の可能性がある2つの箇所を含んでいます。試験結果は、C-2000® 合金が海水中での隙間腐食に対して非常に耐性があることを示しています。

合金 静水 流水
腐食した箇所の数 最大腐食深さ、mm 腐食した箇所の数 最大腐食深さ、mm
316L A:2, B:2 A:1.33, B:2.27 A:2, B:2 A:0.48, B:0.15
254SMO A:2, B:2 A:0.76, B:1.73 A:2, B:2 A:0.01, B:<0.01
625 A:1, B:2 A:0.18, B:0.04 A:2, B:2 A:<0.01, B:<0.01
C-276 A:1, B:1 A:0.10, B:0.13 A:0, B:0 A:0, B:0
C-2000® A:0, B:0 A:0, B:0 A:0, B:0 A:0, B:0

溶接部の耐食性

溶接部の耐食性を評価するために、Haynes International では、ガスメタルアーク(MIG)のマルチパス溶接により全溶接した、十字型の組立品から切り取った四分円の金属サンプルを用いて試験しました。予想されるように、溶接ミクロ組織の不均質な性質は、通常、(より均一な鍛造製品よりも)大きい腐食速度をもたらします。それにもかかわらず、HASTELLOY® C-2000® 合金は、次の表に示すように、溶接形態であっても主要な無機酸に対して優れた耐性を示します:
化学物質 濃度 wt.% 温度 腐食速度
°F °C 溶接金属 鍛造母材
mpy mm/y mpy mm/y
H2SO4
30 150 66 0.2 0.01 <0.1 <0.01
H2SO4
50 150 66 0.3 0.01 <0.1 <0.01
H2SO4
70 150 66 2.4 0.06 0.2 0.01
H2SO4
90 150 66 2.9 0.07 0.6 0.02
HCl 5 100 38 0.1 <0.01 0.1 <0.01
HCl 10 100 38 2.1 0.05 <0.1 <0.01
HCl 15 100 38 2.4 0.06 7.0 0.18
HCl 20 100 38 8.0 0.20 6.3 0.16
HNO3
30 沸騰 3.8 0.10 3.5 0.09

物理的特性

物理的特性 英国単位 メートル単位
密度 RT
0.307 lb/in3
RT
8.50 g/cm3
電気抵抗 RT 50.6 μohm.in RT 1.28 μohm.m
200°F 50.8 μohm.in 100°C 1.29 μohm.m
400°F 51.2 μohm.in 200°C 1.30 μohm.m
600°F 51.6 μohm.in 300°C 1.31 μohm.m
800°F 52.2 μohm.in 400°C 1.32 μohm.m
1000°F 52.9 μohm.in 500°C 1.34 μohm.m
1200°F 53.0 μohm.in 600°C 1.35 μohm.m
熱伝導率 RT
63 Btu.in/h.ft2.°F
RT 9.1 W/m.°C
200°F
74 Btu.in/h.ft2.°F
100°C 10.8 W/m.°C
400°F
88 Btu.in/h.ft2.°F
200°C 12.6 W/m.°C
600°F
99 Btu.in/h.ft2.°F
300°C 14.1 W/m.°C
800°F
114 Btu.in/h.ft2.°F
400°C 16.1 W/m.°C
1000°F
133 Btu.in/h.ft2.°F
500°C 18.0 W/m.°C
1200°F
162 Btu.in/h.ft2.°F
600°C 21.6 W/m.°C
平均熱膨張係数 77-200°F 6.9 μin/in.°F 25-100°C 12.4 μm/m.°C
77-400°F 6.9 μin/in.°F 25-200°C 12.4 μm/m.°C
77-600°F 7.0 μin/in.°F 25-300°C 12.6 μm/m.°C
77-800°F 7.2 μin/in.°F 25-400°C 12.9 μm/m.°C
77-1000°F 7.4 μin/in.°F 25-500°C 13.2 μm/m.°C
77-1200°F 7.6 μin/in.°F 25-600°C 13.3 μm/m.°C
熱拡散係数 RT
0.10 ft2/h
RT 0.025 cm2/s
200°F
0.11 ft2/h
100°C
0.029 cm2/s
400°F
0.13 ft2/h
200°C
0.033 cm2/s
600°F
0.14 ft2/h
300°C
0.036 cm2/s
800°F
0.16 ft2/h
400°C
0.040 cm2/s
1000°F
0.17 ft2/h
500°C
0.043 cm2/s
1200°F
0.19 ft2/h
600°C
0.047 cm2/s
比熱 RT 0.102 Btu/lb.°F RT 428 J/kg.°C
200°F 0.104 Btu/lb.°F 100°C 434 J/kg.°C
400°F 0.106 Btu/lb.°F 200°C 443 J/kg.°C
600°F 0.109 Btu/lb.°F 300°C 455 J/kg.°C
800°F 0.113 Btu/lb.°F 400°C 468 J/kg.°C
1000°F 0.121 Btu/lb.°F 500°C 486 J/kg.°C
動弾性率 RT
30.0 x 106psi
RT 207 GPa
600°F
27.5 x 106psi
300°C 191 GPa
800°F
25.6 x 106psi
400°C 180 GPa
1000°F 24.8 x 106psi 500°C 173 GPa
1200°F
23.5 x 106psi
600°C 166 GPa
溶融温度 2422-2476°F - 1328-1358°C -

RT=室温

衝撃強さ

製品形態 試験温度 衝撃強さ
°F °C ft-lbf J
プレート(厚板) RT RT 362 491
プレート(厚板) -320 -196 419 568
丸棒 RT RT 369 500
丸棒 -320 -196 423 574

衝撃強さは、ミルアニールしたプレート(厚板)を機械加工して製作したシャルピー V-ノッチ試験片を
用いて取得しました。

引張強さ および 伸び

形態 厚さ/丸棒直径 試験温度 0.2% 耐力 極限引張強さ 伸び
in mm °F °C ksi MPa ksi MPa %
薄板 0.063 1.6 RT RT 52 359 109 752 64
薄板 0.063 1.6 200 93 46 317 107 738 66
薄板 0.063 1.6 400 204 38 262 96 662 65
薄板 0.063 1.6 600 316 34 234 92 634 68
薄板 0.063 1.6 800 427 31 214 89 614 76
薄板 0.063 1.6 1000 538 30 207 82 565 75
薄板 0.063 1.6 1200 649 30 207 77 531 62
厚板 0.5 12.7 RT RT 50 345 110 758 68
厚板 0.5 12.7 200 93 46 317 105 724 68
厚板 0.5 12.7 400 204 35 241 97 669 72
厚板 0.5 12.7 600 316 31 214 92 634 70
厚板 0.5 12.7 800 427 28 193 88 607 72
厚板 0.5 12.7 1000 538 28 193 83 572 69
厚板 0.5 12.7 1200 649 28 193 76 524 78
丸棒 1 25.4 RT RT 52 359 110 758 67
丸棒 1 25.4 200 93 44 303 103 710 68
丸棒 1 25.4 400 204 38 262 92 634 70
丸棒 1 25.4 600 316 33 228 90 621 70
丸棒 1 25.4 800 427 30 207 87 600 71
丸棒 1 25.4 1000 538 27 186 82 565 72
丸棒 1 25.4 1200 649 26 179 77 531 77

RT= 室温

硬度

形態 硬さ, HRBW 典型的な ASTM 結晶粒度
薄板 87 3 - 5
厚板 88 1 - 4
丸棒 84 0 - 4

試料は、全て溶体化処理した状態で試験。
HRBW = ロックウェル硬さ “B”, タングステンカーバイドボール圧子。

溶接および加工

HASTELLOY® C-2000® 合金は、ガスメタルアーク溶接(GMA/MIG)、ガスタングステンアーク溶接(GTA/TIG)、およびシールドメタルアーク溶接(SMA/Stick)に非常に適しています。これらの溶接    に使用する同一組成の溶加金属(すなわち、ソリッドワイヤおよび被覆アーク溶接棒)が入手可能    で、溶接のガイドラインが“溶接および加工パンフレット“のパンフレットに記載されています。

HASTELLOY® C-2000® 合金の鍛造製品は、指定のない限り、ミルアニール(MA)した状態で供給されます。この溶体化処理手順は、合金の耐食性および延性を最適化するように設定されていま     す。熱間成形作業した後はすべて、最適な特性を回復させるために、材料を再アニールする必要    があります。また、この合金は、7%以上の外面の繊維伸びを生じる冷間成形作業後にも再アニールしなければなりません。HASTELLOY® C-2000® 合金のアニーリング温度は1149℃(2100F) で、水冷を推奨します(10mm(0.375インチ)より薄い構造の場合は急速空冷が可能です)。アニー     リング時の保持時間は、構造の厚さに依存しますが、10,..30分を推奨します(より厚い構造の場合は、30分一杯必要です)。HASTELLOY® C-2000® 合金の熱処理に関するもっと詳細な情報は、”溶接および加工パンフレット“のパンフレットに記載されています。

HASTELLOY® C-2000® 合金は熱間鍛造、熱間圧延、熱間据え込み鍛造、熱間押出し、熱間成形が可能です。しかしながら、オーステナイト系ステンレス鋼に比べてひずみやひずみ速度に対して     より敏感であり、熱間加工温度範囲が非常に狭くなっています。たとえば、熱間鍛造の推奨開始温度は1232℃(2250F)で、推奨仕上げ温度は954℃(1750F)です。 “溶接および加工”のパンフレットに記載しているように、適度な圧下率と頻繁な再加熱が最良の結果をもたらします。また、こ    のパンフレットでは、冷間成形、スピニング加工、ドロップハンマ、打ち抜き、およびせん断のガイド    ラインを提供しています。 この合金は、ほとんどのオーステナイト系ステンレス鋼に比べて剛性が高く、冷間成形時にはより多くのエネルギが必要です。また、HASTELLOY® C-2000® 合金は、ほとんどのオーステナイト系ステンレス鋼よりも容易に加工硬化し、中間アニールを伴った数段階の    冷間加工が必要になる場合があります。

冷間加工は、通常、HASTELLOY® C-2000® 合金の耐全面腐食性、ならびに耐塩化物誘発孔食および隙間腐食性に影響しませんが、耐応力腐食割れ性に影響する可能性があります。したがっ て、最適な腐食性能のためには、(7%以上の外面の繊維伸びをした)冷間加工部品は、再アニー    ルすることが重要です。

適合規格および基準

規格

HASTELLOY® C-2000® 合金 (N06200, W86200)
薄板、厚板および帯板 SB 575/B 575P= 43
ビレット、ロッドおよび棒 SB 574/B 574B 472P= 43
被覆電極棒 SFA 5.11/ A 5.11 (ENiCrMo-17)DIN 2.4699(EL-NiCr23Mo16Cu)F= 43
裸溶接棒およびワイヤ SFA 5.14/ A 5.14 (ERNiCrMo-17)DIN 2.4698(SG-NiCr23Mo16Cu)F= 43
継ぎ目なしパイプおよびチューブ SB 622/B 622P= 43
溶接パイプおよびチューブ SB 619/B 619SB 626/B 626P= 43
継手類 SB 366/B 366SB 462/B 462P= 43
鍛造材 SB 564/B 564SB 462/B 462P= 43
DIN 17744 No. 2.4675 NiCr23Mo16Cu
TÜV Werkstoffblatt 539Kennblatt 9679Kennblatt 9678Kennblatt 9677
その他 NACE MR0175ISO 15156

基準

HASTELLOY® C-2000® alloy (N06200, W86200)
ASME Section l -
Section lll Class 1 -
Class 2 -
Class 3 -
Section Vlll Div. 1
800°F (427°C)1
Div. 2 -
Section Xll -
B16.5
800°F (427°C)2
B16.34
800°F (427°C)3
B31.1 -
B31.3
800°F (427°C)1
VdTÜV (doc #) 844°F (450°C)4,#539

1承認された材料形態: 厚板、薄板、棒、鍛造材、継手類、溶接パイプ/チューブ、継ぎ目なしパイプ/チューブ
2承認された材料形態: 厚板、鍛造材、継手類、ボルト類
3承認された材料形態: 厚板、棒、鍛造材、継ぎ目なしパイプ/チューブ
4承認された材料形態: 厚板、薄板、棒、鍛造材

免責事項

Haynes Internationalは、本パンフレットに記載されているデータの精度・正確性を保証するために妥当な努力を払っておりますが、データの精度、正確性、あるいは信頼性について、いかなる表明も保証もいたしません。すべてのデータは一般的な情報のみであり、設計上のアドバイスを提供するものではありません。ここに開示されている合金特性は、主にHaynes International、Inc.によって行われた作業に基づいており、場合によっては公開文献の情報によって補足されているため、そのような試験の結果のみを示すものであり、保証最大値または最小値と考えてはなりません。実際の使用条件で特定の合金を試験して特定の目的に対する適合性を判断するのはユーザーの責任です。

特定の製品に含まれる特定の元素濃度とその潜在的な健康への影響については、Haynes International、Inc.が提供する安全データシートを参照してください。特記のない限り、すべての商標はHaynes International、Inc.が所有しています。

合金パンフレット

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