主な特徴

1500℉ (816℃)以下の温度での優れた強度、良好な耐酸化性、ならびに良好な耐水溶液
腐食性

HAYNES® 625 合金(UNS N06625) は、室温から約1500℉(816℃)までの温度で良好な強度を有
するニッケル-クロム-モリブデン合金です。より高温においては、強度は通常、固溶強化型合金
よりも低くなります。625 合金は、1800℉ (982℃) 以下の温度で良好な耐酸化性があり、良好な
耐水溶液腐食性を提供しますが、一般的には、最新の HASTELLOY® 耐食合金ほど有効では
ありません。

容易な加工

HAYNES® 625 合金は、優れた成形および溶接特性を有しています。約1800 ~ 2150℉ (982 ~
1177℃)の温度範囲に維持できるのであれば、鍛造、あるいは熱間加工することができます。理
想的には、結晶粒度を制御するために最終の熱間加工は温度範囲の下限で行わなければなり
ません。延性が良好であることから、625 合金は、また、冷間加工で容易に成形することができ
ます。しかしながら、この合金は急速に加工硬化するため、複雑な部品の成形作業には中間ア
ニーリング処理が必要になるかも知れません。

特性の最適バランスを回復させるためには、熱間あるいは冷間加工した全ての部品は、アニー
ルして急冷しなければなりません。

この合金は、ガスタングステンアーク溶接(GTAW)、ガスメタルアーク溶接(GMAW)、電子ビーム
溶接、および抵抗溶接などの手動および自動の両方の溶接方法で溶接することができます。こ
の合金は、良好な拘束溶接特性を示します。

熱処理

指定されない限り、 HAYNES® 625 鍛造合金は、通常、ミルアニール状態で供給されます。 この
合金は、通常、特性を最適化するために、1925℉±25℉(1052℃±14℃)で断面の厚さに見合っ
た時間保持し、急冷あるいは水冷するという条件でミルアニールされます。625 合金は、また、
お客様のご要求によって 2000℉(1093℃)、 またはそれ以上の温度で溶体化処理、あるいは
1925℉(1052℃)以下の温度でミルアニールして供給することもできます。より低い温度でのミル
アニール処理は、625 合金中に、合金特性に影響を及ぼす第二相を析出させる可能性がありま
す。

用途

HAYNES® 625 合金は、航空宇宙、化学プロセス産業、および電力産業の様々な高温用途に広
く使用されています。この合金は、約1500℉(816℃)以下の温度での短期間の用途で良好な性
能を発揮します; しかしながら、高温で長期間にわたって使用するためには、625 合金の使用
は最高1100℉(593℃)に制限するのが最良です。1100℉(593℃)を超える温度で 625 合金を長
期間熱曝露すると、著しく脆化します。これらの温度での使用に対しては、 HAYNES® 230® 合
金のようなもっと新しい材料を推奨します。

低温耐食合金として、625 合金は、化学プロセス産業、海水、および発電プラントのスクラバー
などの用途に広く使用されてきました。しかしながら、より過酷な環境における新たな用途に対し
ては、C-22® および G-35® 合金のような、より有能な HASTELLOY® 合金が適しています。

*この合金に関して技術的なご質問がある場合は、当社の技術支援チームにご連絡ください。

標準組成

重量 %

ニッケル: Ni Balance
コバルト: Co 1 max.
鉄: Fe 5 max.
クロム: Cr 21
モリブデン: Mo 9
ニオブ + タンタル: Nb + Ta 3.7
マンガン:Mn 0.5 max.
ケイ素:Si 0.5 max.
アルミニウム:Al 0.4 max.
チタン:Ti 0.4 max.
炭素: C 0.1 max.

引張特性

バーナーリグ耐酸化性の比較、1000 時間

バーナーリグ酸化試験では、3/8 in x 2.5 in x 特定厚さ (9.5mm x 64mm x 特定厚さ) の複
数の試料を回転する保持装置に取付け、No.1燃料油とNo. 2燃料油の混合油の燃焼生成
物中に曝露しました。混合油は、約50:1の空燃比で1000時間燃焼させました。(燃焼ガス
の流速は、マッハ数で約0.3でした。) 試料は30分毎に自動的に燃焼ガス流から取り出さ
れ、ファンで 室温付近まで冷却された後、燃焼ガス流中に戻されました。

合金 1800°F (982°C)
メタルロス 平均酸化層厚さ 最大酸化層厚さ
mils µm mils µm mils µm
230® 0.8 20 2.8 71 3.5 89
X 2.7 69 5.6 142 6.4 153
625 4.9 124 7.1 180 7.6 193
25 6.2 157 8.3 211 8.7 221
MULTIMET® 11.8 300 14.4 366 14.8 376
800H® 12.7 312 14.5 368 15.3 389

空気流中での耐酸化性 (1008 時間*)

空気流中に1008時間曝露した場合の静的酸化試験結果の順位を以下に示します。試料は、
週1回のサイクルで室温まで冷却されました。平均酸化層厚さは、メタルロスと平均内部酸化
深さの合計です。

合金 1600°F (871°C) 1800°F (982°C)
メタルロス メタルロス平均酸化層厚さ メタルロス メタルロス平均酸化層厚さ
mils μm mils μm mils μm mils μm
214® 0 0 0.1 3 0.1 3 0.3 8
188 0.1 3 1.1 28
230® 0 0 0.6 15 0.2 5 1.5 38
X 0.1 3 0.7 18 0.2 5 1.5 38
625 0.1 3 0.6 15 0.4 10 1.9 48
617 0.3 8 2.0 51
25 0.3 8 2.0 51
HR‐120® 0.1 3 0.9 23 0.4 10 2.1 53
556® 0.4 10 2.3 58
800HT 0.1 3 1.0 25 0.5 13 4.1 104
HR‐160® 0.2 5 3.0 79 0.7 18 5.5 140

*(1週間サイクル):合金は、平均酸化層厚さが薄い順に並べられています。

1600℉(871℃)の空気流中に360日(8,640時間)曝された
耐熱合金薄板(0.060-0.125 “/1.52-3.18mm)の酸化層厚さ(月に1回のサイクル)

合金 メタルロス 平均酸化層厚さ
mils μm mils μm
214® 0.1 3 0.2 5
625 0.3 8 1.4 36
230® 0.2 5 1.4 36
617 0.3 8 1.6 41
HR‐120® 0.3 8 1.6 41
25 0.3 8 1.7 43
188 0.2 5 1.8 46
556® 0.3 8 1.9 48
X 0.3 8 2.2 56
800HT 0.4 10 2.9 74

動的酸化特性の比較

合金 1600°F (871°C), 2000 h, 30分サイクル 1800°F (982°C), 1000 h, 30分サイクル
メタルロス 平均酸化層厚さ メタルロス 平均酸化層厚さ
mils µm mils µm mils µm mils µm
188 1.1 28 2.9 74 1.1 28 3.2 81
230® 0.9 23 3.9 99 2.8 71 5.6 142
617 2.0 51 7.8 198 2.4 61 5.7 145
625 1.2 30 2.2 56 3.7 94 6.0 152
556® 1.5 38 3.9 99 4.1 104 6.7 170
X 1.7 43 5.3 135 4.3 109 7.3 185
HR-120® 6.3 160 8.3 211
RA330 2.5 64 5.0 127 8.7 221 10.5 267
HR-160® 5.4 137 11.9 302
310SS 6.0 152 7.9 201 16.0 406 18.3 465
800H 3.9 99 9.4 239 22.9 582 板厚を貫通

空気 + 10%H2O 中に1008時間(1週間に1回のサイクル)曝された
耐熱合金薄板の酸化層厚さ

合金 1600°F (871°C) 1800°F (982°C)
メタルロス 平均酸化層厚さ メタルロス 平均酸化層厚さ
mils μm mils μm mils μm mils μm
214® 0.1 1 0.3 7 0.0 1 0.2 6
188 0.1 3 1.4 36
230® 0.1 2 0.5 13 0.2 4 1.5 37
625 0.1 3 0.5 12 0.3 8 1.6 41
X 0.0 1 0.5 13 0.3 7 1.8 45
HR-120® 0.1 2 0.7 17 0.3 9 1.9 49
617 0.1 2 0.9 22 0.3 8 2.0 51

環境試験の評価に用いた金属組織学的手法

クリープおよびラプチャー特性

冷間圧延して925℉ (1052℃) でミルアニールした薄板

温度 クリープ 下記時間で所定のクリープを生じるおおよその初期応力
10 h 100 h 1,000 h
°F °C % ksi MPa ksi MPa ksi MPa
1100 593 0.5 75 517 69 476 64 441
1 76 524 71 490 67 462
R 90 621 80 552
1200 649 0.5 53 365 52 359 50 345
1 58 400 53 365 51 352
R 84 579 74 510 55 379
1300 704 0.5 33 228 30 207 26 179
1 36 248 31 214 27 186
R 68* 469* 49 338 33 228
1400 760 0.5 18.4 127 13 90 9.7 67
1 20 138 14.5 100 11.5 79
R 41 283 27 186 17.8 123
1500 816 0.5 9.7 67 5.7 39 3.2 22
1 11.3 78 7 48 4.2 29
R 24 165 15.2 105 9.9 68
1600 871 0.5 5.2 36 2.6 18 1.2 8.3
1 6.2 43 3.3 23 1.6 11
R 14 97 8 55 4.2 29
1700 927 0.5 2.6 18 1.1 7.6
1 3.4 23 1.7 12
R 8.0* 55* 4.3 30 2.7 19
1800 982 0.5 1.2 8.3
1 1.7 12 0.5 3.4
R 4.1 28 2.6 18 1.4 10

*著しく外挿した値
R =  ラプチャー(破断)

1,000時間で1%のクリープを生じる応力の比較

熱安定性

HAYNES® 625 合金は、HAYNES® 188 合金や HASTELLOY® X 合金のような固溶強化型超合
金に似ており、中間温度で長期間曝露すると有害な相が析出します。この場合、問題の相は
引張延性と衝撃強度の両方を損なう Ni-Cb δ相です。熱安定性が重要な用途には、230® 合
金を推奨します。

厚板の熱曝露後の室温特性

曝露温度 曝露時間 0.2% 耐力 極限引張強さ 伸び 衝撃強度
°F °C h ksi MPa ksi MPa % ft.-lb. J
アニール処理* 66.2 456 127.7 880 46 81 110
1200 649 1000 122.3 843 165.0 1138 28 11 15
4000 117.9 813 163.6 1128 24 8 11
8000 117.8 812 164.2 1132 18 5 7
16000 118.5 817 165.4 1140 12 4 5
1400 760 1000 95.5 658 142.9 985 17 5 7
4000 104.1 718 145.5 1003 12 4 5
8000 97.4 672 142.6 983 13 5 7
16000 96.1 663 140.4 968 12 4 5
1600 871 1000 68.3 471 130.0 896 30 12 16
4000 66.4 458 130.0 896 29 11 15
8000 63.7 439 127.0 876 26 15 20
16000 63.4 437 128.4 885 32 14 19

*1875℉ (1024℃)、急冷

耐酸化性

バーナーリグ耐酸化性の比較、1000 時間

バーナーリグ酸化試験では、3/8 in x 2.5 in x 特定厚さ (9.5mm x 64mm x 特定厚さ) の複
数の試料を回転する保持装置に取付け、No.1燃料油とNo. 2燃料油の混合油の燃焼生成
物中に曝露しました。混合油は、約50:1の空燃比で1000時間燃焼させました。(燃焼ガス
の流速は、マッハ数で約0.3でした。) 試料は30分毎に自動的に燃焼ガス流から取り出さ
れ、ファンで 室温付近まで冷却された後、燃焼ガス流中に戻されました。

合金 1800°F (982°C)
メタルロス 平均酸化層厚さ 最大酸化層厚さ
mils µm mils µm mils µm
230® 0.8 20 2.8 71 3.5 89
X 2.7 69 5.6 142 6.4 153
625 4.9 124 7.1 180 7.6 193
25 6.2 157 8.3 211 8.7 221
MULTIMET® 11.8 300 14.4 366 14.8 376
800H® 12.7 312 14.5 368 15.3 389

空気流中での耐酸化性 (1008 時間*)

空気流中に1008時間曝露した場合の静的酸化試験結果の順位を以下に示します。試料は、
週1回のサイクルで室温まで冷却されました。平均酸化層厚さは、メタルロスと平均内部酸化
深さの合計です。

合金 1600°F (871°C) 1800°F (982°C)
メタルロス
メタルロス平均酸化層厚さ メタルロス
メタルロス平均酸化層厚さ
mils μm mils μm mils μm mils μm
214® 0 0 0.1 3 0.1 3 0.3 8
188 0.1 3 1.1 28
230® 0 0 0.6 15 0.2 5 1.5 38
X 0.1 3 0.7 18 0.2 5 1.5 38
625 0.1 3 0.6 15 0.4 10 1.9 48
617 0.3 8 2.0 51
25 0.3 8 2.0 51
HR‐120® 0.1 3 0.9 23 0.4 10 2.1 53
556® 0.4 10 2.3 58
800HT 0.1 3 1.0 25 0.5 13 4.1 104
HR‐160® 0.2 5 3.0 79 0.7 18 5.5 140

*(1週間サイクル):合金は、平均酸化層厚さが薄い順に並べられています。

1600℉(871℃)の空気流中に360日(8,640時間)曝された
耐熱合金薄板(0.060-0.125 “/1.52-3.18mm)の酸化層厚さ(月に1回のサイクル)

合金 メタルロス 平均酸化層厚さ
mils μm mils μm
214® 0.1 3 0.2 5
625 0.3 8 1.4 36
230® 0.2 5 1.4 36
617 0.3 8 1.6 41
HR‐120® 0.3 8 1.6 41
25 0.3 8 1.7 43
188 0.2 5 1.8 46
556® 0.3 8 1.9 48
X 0.3 8 2.2 56
800HT 0.4 10 2.9 74

動的酸化特性の比較

合金 1600°F (871°C), 2000 h, 30分サイクル 1800°F (982°C), 1000 h, 30分サイクル
メタルロス 平均酸化層厚さ メタルロス 平均酸化層厚さ
mils µm mils µm mils µm mils µm
188 1.1 28 2.9 74 1.1 28 3.2 81
230® 0.9 23 3.9 99 2.8 71 5.6 142
617 2.0 51 7.8 198 2.4 61 5.7 145
625 1.2 30 2.2 56 3.7 94 6.0 152
556® 1.5 38 3.9 99 4.1 104 6.7 170
X 1.7 43 5.3 135 4.3 109 7.3 185
HR-120® 6.3 160 8.3 211
RA330 2.5 64 5.0 127 8.7 221 10.5 267
HR-160® 5.4 137 11.9 302
310SS 6.0 152 7.9 201 16.0 406 18.3 465
800H 3.9 99 9.4 239 22.9 582 板厚を貫通

空気 + 10%H2O 中に1008時間(1週間に1回のサイクル)曝された
耐熱合金薄板の酸化層厚さ

合金 1600°F (871°C) 1800°F (982°C)
メタルロス 平均酸化層厚さ メタルロス 平均酸化層厚さ
mils μm mils μm mils μm mils μm
214® 0.1 1 0.3 7 0.0 1 0.2 6
188 0.1 3 1.4 36
230® 0.1 2 0.5 13 0.2 4 1.5 37
625 0.1 3 0.5 12 0.3 8 1.6 41
X 0.0 1 0.5 13 0.3 7 1.8 45
HR-120® 0.1 2 0.7 17 0.3 9 1.9 49
617 0.1 2 0.9 22 0.3 8 2.0 51

環境試験の評価に用いた金属組織学的手法

物理的特性

物理的特性 英国単位 メートル単位
密度 RT 0.305lb/in3 RT 8.44 g/cm3
溶融温度 2350-2460°F 1288-1349°C
電気抵抗 RT 50.8 µohm-in RT 129 µohm-cm
200°F 52.0 µohm-in 100°C 132 µohm-cm
400°F 52.8 µohm-in 200°C 134 µohm-cm
600°F 53.1 µohm-in 300°C 135 µohm-cm
800°F 53.5 µohm-in 400°C 136 µohm-cm
1000°F 54.3 µohm-in 500°C 137 µohm-cm
1200°F 54.3 µohm-in 600°C 138 µohm-cm
1400°F 53.9 µohm-in 700°C 138 µohm-cm
1600°F 53.5 µohm-in 800°C 137 µohm-cm
1800°F 53.1 µohm-in 900°C 136 µohm-cm
1000°C 135 µohm-cm
熱拡散率 RT 68 Btu-in/ft2-hr-°F RT 9.8 W/m-°C
200°F 75 Btu-in/ft2-hr-°F 100°C 10.9 W/m-°C
400°F 87 Btu-in/ft2-hr-°F 200°C 12.5 W/m-°C
600°F 98 Btu-in/ft2-hr-°F 300°C 13.9 W/m-°C
800°F 109 Btu-in/ft2-hr-°F 400°C 15.3 W/m-°C
1000°F 121 Btu-in/ft2-hr-°F 500°C 16.9 W/m-°C
1200°F 132 Btu-in/ft2-hr-°F 600°C 18.3 W/m-°C
1400°F 144 Btu-in/ft2-hr-°F 700°C 19.8 W/m-°C
1600°F 158 Btu-in/ft2-hr-°F 800°C 21.5 W/m-°C
1800°F 175 Btu-in/ft2-hr-°F 900°C 23.4 W/m-°C
1000°C 25.6W/m-°C
比熱 RT 0.098 Btu/lb.-°F RT 410 J/Kg-°C
200°F 0.102 Btu/lb.-°F 100°C 428 J/Kg-°C
400°F 0.109 Btu/lb.-°F 200°C 455 J/Kg-°C
600°F 0.115 Btu/lb.-°F 300°C 477 J/Kg-°C
800°F 0.122 Btu/lb.-°F 400°C 503 J/Kg-°C
1000°F 0.128 Btu/lb.-°F 500°C 527 J/Kg-°C
1200°F 0.135 Btu/lb.-°F 600°C 552 J/Kg-°C
1400°F 0.141 Btu/lb.-°F 700°C 576 J/Kg-°C
1600°F 0.148 Btu/lb.-°F 800°C 600 J/Kg-°C
1800°F 0.154 Btu/lb.-°F 900°C 625 J/Kg-°C
1000°C 648 J/Kg-°C
平均熱膨張係数 70-200°F 7.1 µin/in-°F 25-100°C 12.8 x 10-6 µm/m- °C
70-400°F 7.3 µin/in-°F 25-200°C 13.1 x 10-6 µm/m- °C
70-600°F 7.5 µin/in-°F 25-300°C 13.4 x 10-6 µm/m- °C
70-800°F 7.7 µin/in-°F 25-400°C 13.8 x 10-6 µm/m- °C
70-1000°F 8.0 µin/in-°F 25-500°C 14.2 x 10-6 µm/m- °C
70-1200°F 8.4 µin/in-°F 25-600°C 14.8 x 10-6 µm/m- °C
70-1400°F 8.7 µin/in-°F 25-700°C 15.4 x 10-6 µm/m- °C
70-1600°F 9.2 µin/in-°F 25-800°C 16.0 x 10-6 µm/m- °C
70-1800°F 9.6 µin/in-°F 25-900°C 16.7 x 10-6 µm/m- °C
25-1000°C 17.4 x 10-6 µm/m- °C
動弾性係数 RT 30.2 x 106 psi RT 208 GPa
200°F 29.2 x 106 psi 100°C 201 GPa
400°F 28.8 x 106 psi 200°C 199 GPa
600°F 27.7 x 106 psi 300°C 192 GPa
800°F 26.7 x 106 psi 400°C 186 GPa
1000°F 25.6 x 106 psi 500°C 179 GPa
1200°F 24.3 x 106 psi 600°C 171 GPa
1400°F 22.8 x 106 psi 700°C 163 GPa
1600°F 21.2 x 106 psi 800°C 153 GPa
1800°F 18.7 x 106 psi 900°C 142 GPa
1000°C 126 GPa

RT= 室温

等腐食線図

Each of these iso-corrosion diagrams was constructed using numerous corrosion rate values, generated at different acid concentrations and temperatures. The blue line represents those combinations of acid concentration and temperature at which a corrosion rate of 0.1 mm/y (4 mils per year) is expected, based on laboratory tests in reagent grade acids. Below the line, rates under 0.1 mm/y are expected. Similarly, the red line indicates the combinations of acid concentration and temperature at which a corrosion rate of 0.5 mm/y (20 mils per year) is expected. Above the line, rates over 0.5 mm/y are expected. Between the blue and red lines, corrosion rates are expected to fall between 0.1 and 0.5 mm/y.

臭化水素酸

濃度 50°F 75°F 100°F 125°F 150°F 175°F 200°F 225°F 沸騰
Wt. % 10°C 24°C 38°C 52°C 66°C 79°C 93°C 107°C
2.5 <0.01 <0.01 <0.01
5 <0.01 0.13 0.6
7.5 <0.01 <0.01 0.93
10 0.15 0.82
15 <0.01 0.3 0.64
20 0.1 0.16 0.33 0.65
25
30 0.11 0.21 0.34 0.72
40 0.08 0.15 0.25 0.42 0.79

すべての腐食速度はミリメートル/年(mm/y)で示しています;mil(ミル:1000分の1インチ)/年に変換するには、0.0254で除算します。
データは、腐食試験所の Job 17-04 からのものです。
すべての試験は、実験室条件下で試薬グレードの酸を用いて行われました;工業的利用に先立って、フィールドテストを実施することを推奨します。

塩酸

濃度 50°F 75°F 100°F 125°F 150°F 175°F 200°F 225°F 沸騰
Wt. % 10°C 24°C 38°C 52°C 66°C 79°C 93°C 107°C
1 <0.01 <0.01 0.23
1.5
2
2.5
3 <0.01 <0.01 <0.01 2.07
3.5
4
4.5
5 <0.01 <0.01 4.65
7.5 0.07 0.49
10 <0.01 0.15 0.3 1.16
15 0.06 0.19 0.4 1.06
20 0.06 0.16 0.36 0.82

すべての腐食速度はミリメートル/年(mm/y)で示しています;mil(ミル:1000分の1インチ)/年に変換するには、0.0254で除算します。
データは、腐食試験所の Job 56-97 および 3-98 からのものです。
すべての試験は、実験室条件下で試薬グレードの酸を用いて行われました;工業的利用に先立って、フィールドテストを実施することを推奨します。

硫酸

濃度 75°F 100°F 125°F 150°F 175°F 200°F 225°F 250°F 275°F 300°F 350°F 沸騰
Wt. % 24°C 38°C 52°C 66°C 79°C 93°C 107°C 121°C 135°C 149°C 177°C
1
2
3
4
5 <0.01 0.06 0.4
10 0.01 0.24 1.05
20 0.02 0.58 2.84
30 0.01 0.03 0.68
40 <0.01 0.02 0.58
50 0.01 0.89
60 <0.01 0.48 0.92
70 <0.01 0.23 0.63
80 0.05 0.31 0.91 2.54
90 <0.01 0.17 1.26 6.97
96

すべての腐食速度はミリメートル/年(mm/y)で示しています;mil(ミル:1000分の1インチ)/年に変換するには、0.0254
で除算します。 データは、腐食試験所の Job 57-97 および 4-98 からのものです。
すべての試験は、実験室条件下で試薬グレードの酸を用いて行われました;工業的利用に先立って、フィールドテストを実施することを推奨します。

0.1 mm/y 線の比較

HAYNES® 625 合金の性能を他の材料の性能と比較するには、0.1 mm/y の腐食速度線をプロット
すると便利です。以下のグラフにおいて、塩酸および硫酸中における 625 合金に対する線は、
G-35® 合金、254SMO 合金、および 316L ステンレス鋼の線と比較されています。塩酸は20%の濃
度限界では共沸混合物となり、これを超えた条件での高温腐食試験は信頼性が低くなります。

 

 

 

選択腐食データ

臭化水素酸

濃度
Wt.%
50°F 75°F 100°F 125°F 150°F 175°F 200°F 225°F 沸騰
10°C 24°C 38°C 52°C 66°C 79°C 93°C 107°C
2.5 <0.01 <0.01 <0.01
5 <0.01 0.13 0.60
7.5 <0.01 <0.01 0.93
10 0.15 0.82
15 <0.01 0.30 0.64
20 0.01 0.16 0.33 0.65
25
30 0.11 0.21 0.34 0.72
40 0.08 0.15 0.25 0.42 0.79

すべての腐食速度はミリメートル/年(mm/y)で示しています;mil(ミル:1000分の1インチ)/年に変換するには、0.0254で除算します。
データは、腐食試験所の Job 17-04 からのものです。
すべての試験は、実験室条件下で試薬グレードの酸を用いて行われました;工業的利用に先立って、フィールドテストを実施することを推奨します。

塩酸

濃度
Wt.%
50°F 75°F 100°F 125°F 150°F 175°F 200°F 225°F 沸騰
10°C 24°C 38°C 52°C 66°C 79°C 93°C 107°C
1 <0.01 <0.01 0.23
1.5
2
2.5
3 <0.01 <0.01 <0.01 2.07
3.5
4
4.5
5 <0.01 <0.01 4.65
7.5 0.07 0.49
10 <0.01 0.15 0.30 1.16
15 0.06 0.19 0.40 1.06
20 0.06 0.16 0.36 0.82

すべての腐食速度はミリメートル/年(mm/y)で示しています;mil(ミル:1000分の1インチ)/年に変換するには、0.0254で除算します。
データは、腐食試験所の Job 56-97 および 3-98 からのものです。
すべての試験は、実験室条件下で試薬グレードの酸を用いて行われました;工業的利用に先立って、フィールドテストを実施することを推奨します。

硫酸

濃度
Wt.%
75°F 100°F 125°F 150°F 175°F 200°F 225°F 250°F 275°F 300°F 350°F 沸騰
24°C 38°C 52°C 66°C 79°C 93°C 107°C 121°C 135°C 149°C 177°C
1
2
3
4
5 <0.01 0.06 0.40
10 0.01 0.24 1.05
20 0.02 0.58 2.84
30 0.01 0.03 0.68
40 <0.01 0.02 0.58
50 0.01 0.89
60 <0.01 0.48 0.92
70 <0.01 0.23 0.63
80 0.05 0.31 0.91 2.54
90 <0.01 0.17 1.26 6.97
96

すべての腐食速度はミリメートル/年(mm/y)で示しています;mil(ミル:1000分の1インチ)/年に変換するには、0.0254で除算します。
データは、腐食試験所の Job 57-97 および 4-98 からのものです。
すべての試験は、実験室条件下で試薬グレードの酸を用いて行われました;工業的利用に先立って、フィールドテストを実施することを推奨します。

耐孔食および隙間腐食性

HAYNES® 625 合金は、幾つかのオーステナイト系ステンレス鋼に特に発生しやすい腐食形態で
ある塩化物誘起孔食および隙間腐食に対して高い耐性を示します。合金の耐孔食および隙間
腐食性を評価するには、ASTM規格 G48で定義されている手順に従って、6 wt% 塩化第二鉄酸
性溶液中の臨界孔食温度および臨界隙間腐食温度を測定することが通例です。測定された温
度は、この溶液中で72時間以内に孔食および隙間腐食が発生する最低温度です。

合金 6% FeCl3 酸性 溶液中の
臨界孔食温度
6% FeCl3 酸性 溶液中
の 臨界孔食温度
°F °C °F °C
316L 59 15 32 0
254SMO 140 60 86 30
28 113 45 64 17.5
31 163 72.5 109 42.5
G-30® 154 67.5 100 37.5
G-35® 203 95 113 45
625 212 100 104 40

耐応力腐食割れ性

ニッケル合金の主な特性の1つは、耐塩化物誘発応力腐食割れ性です。この非常に破壊的な腐
食に対する材料の耐性を評価するための一般的な方法は、典型的にはU字型に曲げて応力をか
けたサンプルを沸騰45%塩化マグネシウムに浸けることです(ASTM規格 G 36)。以下の結果から
明らかなように、625 合金は、比較対象のオ ーステナイト系ステンレス鋼よりも、この形態の腐食
に対してはるかに耐性があります。試験は1,008時間(6週間)で終了しました。

合金 割れが発生するまでの時間
316L 2 h
254SMO 24 h
28 36 h
31 36 h
G-30® 168 h
G-35® 1,008 h で割れなし
625 1,008 h で割れなし

加工

熱処理

HAYNES® 625 合金は、通常、断面厚さに見合った時間、1925℉(1052℃)で最終アニールさ
れます。加工中のアニールは更に低い温度で行うことができますが、最適な組織および特性
を生成するためには、通常、加工後に1925℉ (1052℃) で最終アニールする必要があります。
更なる情報が必要な場合は、”溶接および加工”パンフレットをご覧ください。

室温特性に対する冷間圧延の影響

圧下率 圧延後の
アニール温度*
0.2% 耐力 極限引張強さ 伸び 硬度
% ksi MPa ksi MPa % HR B/C
無し 無し 70 483 133 917 46 97 HRB
10 無し 113 779 151 1041 30 32 HRC
20 140 965 169 1165 16 37 HRC
30 162 1117 191 1317 11 40 HRC
40 178 1227 209 1441 8 42 HRC
50 184 1268 223 1538 5 45 HRC
10 1850°F (1010°C) 5分間 63 434 134 924 46
20 71 490 138 951 44
30 78 538 141 972 44
40 82 565 141 972 42
50 82 565 141 972 42
10 1950°F (1066°C) 5分間 61 421 133 915 46
20 71 490 137 945 45
30 77 531 140 965 44
40 83 572 142 979 42
50 82 565 141 972 42
10 2050°F (1121°C) 5分間 58 400 128 883 50
20 67 462 135 931 46
30 58 400 127 876 52
40 72 496 137 945 44
50 61 421 130 896 50
10 2150°F (1177°C) 5分間 52 359 122 841 55
20 54 372 124 855 55
30 53 365 122 841 56
40 52 359 122 841 55
50 51 352 119 820 58

引張の結果は2回あるいはそれ以上の試験の平均
*急速空冷

溶接

HAYNES® 625 合金は、ガスタングステンアーク溶接(GTAW)、ガスメタルアーク溶接(GMAW)、電子
ビーム溶接、および抵抗溶接により容易に溶接できます。溶接特性は、 HASTELLOY® X 合金の
特性と同様です。サブマージアーク溶接は、プロセスが母材金属に対する高入熱および溶接の冷
却が遅いという特徴を有しているため、お薦めできません。これらの因子は溶接による拘束を高
め、割れの発生を促します。

母材の準備

いかなる溶接であっても、溶接面および近接領域は、溶接する前に適切な溶剤により完全に清浄
にしなければなりません。全ての潤滑剤、油、切削油、クレヨンの痕、機械加工溶剤、腐食性生成
物、塗料、スケール、染色浸透溶液、およびその他の異物は完全に除去しなければなりません。
溶接する場合、合金は溶体化処理された状態であることが好ましいですが、必ずしも必要ではあ
りません。

溶加材の選択

625 合金の接合に対しては、同一組成の溶加材を使用することをお薦めします。625 合金と ニッ
ケル基、コバルト基、あるいは鉄基合金との異種金属接合に対しては、それぞれのケースに応じ
て、625 合金、 230-W® 溶加ワイヤ、556® 合金、 HASTELLOY® S 合金 (AMS5838)、あるいは
HASTELLOY® W 合金 (AMS 5786、5787) などの溶接用製品を提案します。更なる情報が必要な
場合は、“溶接および加工” のパンフレットをご覧になるか、当社ウェブサイトの”Haynes Welding
SmartGuide(溶接スマートガイド)
”をご利用ください。

予熱、パス間温度、および溶接後の熱処理

予熱する必要はありません。 予熱は一般に、室温(典型的な作業場の環境条件)として指定され
ています。パス間温度は、200℉(93℃)以下に保たなければなりません。汚染物質が混入すること
がないのであれば、必要に応じて、溶接パス間で補助冷却手段を使用することができます。通
常、625 合金には溶接後の熱処理は不要です。さらなる情報が必要な場合は、”溶接及び加工”パンフレットをご覧ください。

標準溶接パラメータ

GTAW、GMAW および SMAW 溶接の詳細については、“溶接および加工”のパンフレットをご覧く
ださい。典型的な溶接作業に対するガイドラインとして、標準溶接パラメータを提供しています。こ
れらのパラメータは、当社の実験室で使用されている溶接条件に基づいています。

適合規格および基準

規格

HAYNES® 625 合 金
(N06625, W86112)
薄板、厚板および帯板 AMS 5599
SB 443/B 443
AMS 5869
P= 43
ビレット、ロッドおよび棒 AMS 5666
SB 446/B 446
B 472
P= 43
被覆アーク溶接棒 SFA 5.11/ A 5.11
(ENiCrMo-3)
F= 43
裸溶接棒およびワイヤ SFA 5.14/ A 5.14
(ERNiCrMo-3)
AMS 5837
F=43
継目なし
パイプおよびチューブ
AMS 5581
SB 444/B 444
P= 43
溶接パイプおよびチューブ AMS 5581
SB 704/B 704
SB 705/B 705
P= 43
継手類 SB 366/B 366
P= 43
鍛造材 AMS 5666
SB 564/B 564
P= 43
DIN 17744 No. 2.4856
NiCr22Mo9Nb
その他 ASME Code Case No. 2468
NACE MR0175
ISO 15156

基準

HAYNES® 625 合 金
(N06625, W86112)
ASME Section l Grade 1
1100ºF (593ºC)1
Cold Case 2632
1200ºF (650ºC)2
Grade 2
1100ºF (593ºC)3
Code Case 1935
1000ºF (538ºC)3
Section lll Class 1 Grade 1
800ºF (427ºC)3
Class 2 Grade 1
800ºF (427ºC)4
Class 3 Grade 1
800ºF (427ºC)4
Section lV HF-300.2
Section Vlll Div. 1 Grade 1
1200ºF (649ºC)1
Grade 2
1600ºF (871ºC)3
1200ºF (649ºC)5
Div. 2 Grade 1
800ºF (427ºC)5
Code Case 2468
800ºF (427ºC)6
Section Xll Grade 1
650ºF (343ºC)1
Grade 2
650ºF (343ºC)7
B16.5 1200°F (649°C)8
B16.34 1200°F (649°C)6
B31.1 1200°F (649°C)1
B31.3 1200°F (649°C)6
MMPDS 6.3.3
1承認された材料形態: 厚板、薄板、棒、鍛造材、継手類、溶接パイプ/チューブ、継目なしパイプ/チューブ
2承認された材料形態: 厚板、薄板、溶接パイプ/チューブ
3承認された材料形態: 厚板、薄板、棒、継目なしパイプ/チューブ
4承認された材料形態: 厚板、薄板、棒、鍛造材、溶接パイプ/チューブ、継目なしパイプ/チューブ
5承認された材料形態: ボルト類
6承認された材料形態: 厚板、薄板、棒、鍛造材、継目なしパイプ/チューブ
7承認された材料形態: 厚板、棒、継目なしパイプ/チューブ、ボルト類
8承認された材料形態: 厚板、鍛造材

免責事項

Haynes Internationalは、本パンフレットに記載されているデータの精度・正確性を保証するために妥当な努力を払っておりますが、データの精度、正確性、あるいは信頼性について、いかなる表明も保証もいたしません。すべてのデータは一般的な情報のみであり、設計上のアドバイスを提供するものではありません。ここに開示されている合金特性は、主にHaynes International、Inc.によって行われた作業に基づいており、場合によっては公開文献の情報によって補足されているため、そのような試験の結果のみを示すものであり、保証最大値または最小値と考えてはなりません。実際の使用条件で特定の合金を試験して特定の目的に対する適合性を判断するのはユーザーの責任です。

特定の製品に含まれる特定の元素濃度とその潜在的な健康への影響については、Haynes International、Inc.が提供する安全データシートを参照してください。特記のない限り、すべての商標はHaynes International、Inc.が所有しています。

合金パンフレット

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