主な特徴

優れた高温強度及び環境耐性

HAYNES® 188 合金(UNS R30188)は、2000℉(1093℃)以下の酸化環境における長時間曝露に対
して非常に良好な耐性を伴った優れた高温強度と、高温硫化腐食に対する優れた耐性を合わせ
持つ、コバルト-ニッケル-クロム-タングステン合金です。この合金は、従来の技術で容易に加工
および成形することができ、鋳造部品にも使用できます。その他の魅力的な特徴としては、溶融
塩化物塩に対する優れた耐性、およびガスによる硫化に対する良好な耐性などがあります。

容易な加工

HAYNES® 188 合金は、良好な成形性と溶接性を備えています。部材全体が 2150℉(1177℃)の
温度になるように十分な時間保持されていれば、鍛造またはその他の熱間加工が可能です。延
性が良好であることから、188合金は冷間加工でも容易に成形することができます。しかしながら、
この合金は急速に加工硬化するので、複雑な部品成形作業には頻繁な中間アニール処理が必
要となる場合があります。熱間加工または冷間加工した部品は全て、最適な特性のバランスを取
り戻すためにアニールし、急冷する必要があります。

この合金は、ガスタングステンアーク(TIG)、ガスメタルアーク(MIG)、電子ビームおよび抵抗溶接 などの、手動および自動溶接の両方で溶接することができます。この合金は、良好な溶接拘束特 性を示します。

熱処理

指定がなければ、HAYNES® 188 鍛造合金は、溶体化処理した状態で提供されます。この合金は、
特性を最適化するために、通常、2125-2175℉ (1163-1191℃) で溶体化処理され、急冷または水
冷されます。

溶体化処理温度よりも低い温度でアニールすると188合金中に若干の炭化物が析出し、合金の
特性に影響を及ぼす可能性があります。

用途

HAYNES® 188 合金は、航空宇宙産業の様々な加工部品用途に適した特性を兼ね備えています。
この合金は、既存の軍用および商用ガスタービンエンジンにおいて、燃焼器、尾筒、およびアフ
ターバーナ部品に広く使用されています。この合金は、最新のエンジン開発プログラムにおいて、
近年開発され、改良された特性を有する 230® 合金と用途を分かち合っています。

*この合金に関して技術的なご質問がある場合は、当社の技術支援チームにご連絡ください。

標準組成

重量 %

コバルト:Co Balance
ニッケル:Ni 22
クロムCr: 22
タングステン:W  14
鉄:Fe 3 max.
マンガン:Mn 1.25 max.
ケイ素:Si 0.35
炭素:C 0.10
ランタン:La 0.03
ホウ素:B 0.015 max.

クリープおよびストレスラプチャー強度

HAYNES® 188 合金は、優れた高温強度と室温での良好な加工性を併せ持つ固溶強化型材料
です。この合金は、1200℉(649℃)以上の温度で非常に長期間使用する用途に対して特に有
効です。 この合金はニッケル基の固溶強化型合金よりも強度が高く、単純なニッケル-クロム
または鉄-ニッケル-クロム耐熱合金よりもはるかに高い強度を有しています。これらの材料の
代わりにこの合金を使用する場合には、断面厚さを大幅に減少させることができます。

薄板材の比較: 1000時間で 1% のクリープが生じる応力

溶体化処理した188合金厚板

温度 クリープ 下記時間で所定のクリープを生じるおおよその初期応力
10 h 100 h 1,000 h 10,000 h
°F °C % ksi MPa ksi MPa ksi MPa ksi MPa
1200 649 0.5
1 35* 241*
R 78 538 59 407 45* 310*
1300 704 0.5 41 283 28 193 18* 124*
1 44 303 31.5 217 22 152
R 73* 503* 54 372 40 276 28 193
1400 760 0.5 26 179 17 117 11.5 79
1 29 200 20.5 141 14.5* 100*
R 51 352 37 255 26 179 18.5* 128*
1500 816 0.5 16 110 11 76 7.7* 53*
1 19 131 13.5 93 9.3 64
R 36 248 25 172 17.5 121 12 83
1600 871 0.5 11.5 79 7.5 52 5.5* 38*
1 13 90 9 62 6.4* 44*
R 25 172 17 117 11.6 80 7.8 54
1700 927 0.5 8 55 5.2 36 3.6* 25*
1 9.2 63 6 41 4.3* 30*
R 16.5 114 11.1 77 7.3 50 4.5* 31*
1800 982 0.5 5.6 39 3.6 25 2.3 16 1.35 9.3
1 6.3 43 4.2 29 2.5 17 1.42 9.8
R 11.5 79 7 48 4 28 2.2* 15*
1900 1038 0.5 3.7 26 2.3* 16*
1 4.2 29 2.5* 17*
R 7.2* 50* 4.4 30 2.2* 15*
2000 1093 0.5 2.3 16 1.35 9.3
1 2.6 18 1.42 9.8
R 4.7 32 2.3 16 1.10* 7.6*

*著しく外挿した値

溶体化処理した188 合金薄板

温度 クリープ 下記時間で所定のクリープを生じるおおよその初期応力
10 h 100 h 1,000 h
°F °C % ksi MPa ksi MPa ksi MPa
1400 760 0.5 22.5 155 16.4 113 11.7 81
1 25.5 176 18.5 128 13.3 92
R 43.0* 296* 32 221 23 159
1500 816 0.5 15.5 107 11.1 77 7.8 54
1 17.6 121 12.6 87 8.8 61
R 31 214 21.7 150 15 103
1600 871 0.5 10.7 74 7.5 52 5 34
1 12.2 84 8.4 58 5.7 39
R 21 145 14.4 99 9.4 65
1700 927 0.5 7.3 50 4.9 34 3.1 21
1 8.2 57 5.6 39 3.6 25
R 14.3 99 9.1 63 5.5* 38*
1800 982 0.5 4.9 34 3.1 21 1.8 12
1 5.6 39 3.6 25 2.1 14
R 9.1 63 5.4 37 3 21
1900 1038 0.5 3.1 21 1.9 13 1.2 8.3
1 3.6 25 2.2 15 1.4 9.7
R 5.5 38 3.2 22 2 14
2000 1093 0.5 2.0* 14* 1.2 8.3 0.7 4.8
1 2.3* 16* 1.4 9.7 0.9 6.2
R 3.3* 23* 2 14 1.2 8.3

*著しく外挿した値

引張特性

熱間圧延および溶体化処理した厚板

試験温度 0.2% 耐力 極限引張強さ 伸び
°F °C ksi MPa ksi MPa %
RT RT 70.1 483 143.8 991 50.6
1000 538 45.7 315 120.6 832 60.3
1200 649 45.1 311 121.6 838 62.8
1400 760 43.6 301 84.1 580 85.6
1600 871 37.1 256 49.5 341 97.9
1800 982 19.2 132 27.2 188 102.6
2000 1093 9.6 66 13.9 96 87.1

冷間圧延および溶体化処理した薄板

試験温度 0.2% 耐力 極限引張強さ 伸び
°F °C ksi MPa ksi MPa %
RT RT 70.1 483 142.4 982 50.9
1000 538 44.8 309 117.4 809 58.8
1200 649 44.8 309 119.1 821 58.6
1400 760 43.8 302 81.6 563 81.8
1600 871 37.8 261 47 324 103.9
1800 982 18.2 125 25.4 175 81
2000 1093 8.5 59 12.4 85 49.7

硬度

溶体化処理した場合の室温硬度

形態 硬度, HRBW 典型的な ASTM 結晶粒度
薄板 98 5 – 7.5
厚板 98 4 – 8
96 3.5 – 7.5

試験に使用したサンプルはすべて溶体化処理した状態
HRBW = ロックウェル硬さ “B”、タングステン球圧子

高温硬度

温度 188 25 6B 230® 556®
ビッカース硬さ ロックウェル
硬さ
ビッカース硬さ ロックウェル
硬さ
ビッカース硬さ ロックウェル
硬さ
ビッカース硬さ ロックウェル
硬さ
ビッカース硬さ ロックウェル
硬さ
°F °C DPN HR C/BW DPN HR C/BW DPN HR C/BW DPN HR C/BW DPN HR C/BW
72 RT 248 21.8 C 285 27.8 C 374 38.2 C 195 92.0 B 203 93.6 B
800 427 170 86.3 B 171 86.7 B 269 25.5 C 142 77.3 B 132 73.0 B
1000 538 159 83.0 B 160 73.3 B 247 21.8 C 139 76.0 B 129 71.1 B
1200 649 147 77.2 B 150 80.0 B 225 97.5 B 132 73.0 B 118 66.5 B
1400 760 129 70.7 B 134 73.7 B 153 81.0 B 125 70.0 B 100 55.0 B
1600 871 89 93 91 75 67
1800 982 49 52 55 42 41*

HRBW = ロックウェル硬さ “B” 、タングステン球圧子
HRC = ロックウェル硬さ “C”

衝撃強さ

試験温度 典型的なシャルピー V-ノッチ衝撃強さ*
°F °C ft.-lbs J
-300 -185 116 158
-150 -100 131 178
70 20 143 194
1000 540 117 159
1300 705 107 145

*溶体化処理した厚板の長手方向および横断方向試験の平均

熱安定性

HAYNES® 188 合金は、625合金や HASTELLOY® X 合金などの固溶強化型合金に似ており、長
期間の曝露によって有害な相を析出します。この場合、問題となる相は Co2W ラーベス相で、引
張り延性と衝撃強度の両方を損なう働きをします。 これに関して、188合金の挙動は、HAYNES®
25 合金よりもはるかに優れており、置き換えることができます;しかし、熱安定性が重要な用途
には、230®合金を推奨します。

熱曝露後の厚板の室温特性

曝露温度 時間 0.2% 耐力 極限引張強さ 伸び 衝撃強度
°F °C h ksi MPa ksi MPa % ft.- lbs. J
1200 650 0 65 450 140 965 56 143 194
8000 79.7 550 151.6 1045 29.1 23 31
1400 760 0 65 450 140 965 56 143 194
8000 74 510 147.9 1020 10.8 3 4
1600 870 0* 70.1 485 146 1005 50.4 143 194
1000 70.7 490 157.5 1085 28.7 10 13
4000 68.8 475 156 1075 26.6 10 13
8000* 64.5 445 147.4 1015 22.2 9 12
16000 63.8 440 146.1 1005 24 8 11

*2回の曝露試験の平均。他は全て1回の曝露。

8000時間曝露後の衝撃強さの比較

合金 溶体化処理状態での
シャルピー V-ノッチ
衝撃強さ
下記温度に8000時間曝露した後の
シャルピー V-ノッチ衝撃強さ
1200°F 650°C 1400°F 760°C 1600°F 870°C
ft.-lbs. J ft.-lbs J ft.-lbs J ft.-lbs J
230® 54 73 30 41 21 28 21 28
188 143 194 23 31 3 4 9 12
X 54 73 15 20 8 11 15 20
625 81 110 5 7 5 7 15 20

物理的特性

物理的特性  英国単位  メートル単位
密度 RT 0.324 lb/in3 RT 8.98 g/cm3
溶融温度 2400-2570°F 1315-1410°C
電気抵抗 RT 39.6 µohm-in RT 101.0 µohm-cm
200°F 40.3 µohm-in 100°C 103.0 µohm-cm
400°F 41.5 µohm-in 200°C 105.0 µohm-cm
600°F 42.7 µohm-in 300°C 107.7 µohm-cm
800°F 43.8 µohm-in 400°C 110.5 µohm-cm
1000°F 44.7 µohm-in 500°C 112.7 µohm-cm
1200°F 45.6 µohm-in 600°C 114.8 µohm-cm
1400°F 46.1 µohm-in 700°C 116.4 µohm-cm
1600°F 46.5 µohm-in 800°C 117.5 µohm-cm
1800°F 46.7 µohm-in 900°C 118.3 µohm-cm
2000°F 46.8 µohm-in 1000°C 119.1 µohm-cm
比熱 RT 0.096 Btu/lb-°F RT 12.1 J/kg·°C
200°F 0.101 Btu/lb-°F 100°C 423 J/kg·°C
400°F 0.106 Btu/lb-°F 200°C 444 J/kg·°C
600°F 0.112 Btu/lb-°F 300°C 465 J/kg·°C
800°F 0.117 Btu/lb-°F 400°C 486 J/kg·°C
1000°F 0.122 Btu/lb-°F 500°C 502 J/kg·°C
1200°F 0.127 Btu/lb-°F 600°C 523 J/kg·°C
1400°F 0.131 Btu/lb-°F 700°C 540 J/kg·°C
1600°F 0.136 Btu/lb-°F 800°C 557 J/kg·°C
1800°F 0.140 Btu/lb-°F 900°C 573 J/kg·°C
2000° F 0.145 Btu/lb-°F 1000°C 590 J/kg·°C
熱伝導率 RT 72 Btu-in/ft2-hr-°F RT 10.4 W/m-°C
200°F 84 Btu-in/ft2-hr-°F 100°C 12.2 W/m-°C
400°F 100 Btu-in/ft2-hr-°F 200°C 14.3 W/m-°C
600°F 112 Btu-in/ft2-hr-°F 300°C 15.9 W/m-°C
800°F 125 Btu-in/ft2-hr-°F 400°C 17.5 W/m-°C
1000°F 138 Btu-in/ft2-hr-°F 500°C 19.3 W/m-°C
1200°F 152 Btu-in/ft2-hr-°F 600°C 21.1 W/m-°C
1400°F 167 Btu-in/ft2-hr-°F 700°C 23.0 W/m-°C
1600°F 174 Btu-in/ft2-hr-°F 800°C 24.8 W/m-°C
1800°F 189 Btu-in/ft2-hr-°F 900°C 25.5 W/m-°C
2000°F 204 Btu-in/ft2-hr-°F 1000°C 27.6 W/m-°C
熱拡散率 RT 4.5 x 10-3 in2/sec RT 29.2 x 10-3cm2/s
200°F 5.0 x 10-3 in2/sec 100°C 32.7 x 10-3cm2/s
400°F 5.6 x 10-3 in2/sec 200°C 36.5 x 10-3cm2/s
600°F 6.0 x 10-3 in2/sec 300°C 38.7 x 10-3cm2/s
800°F 6.4 x 10-3 in2/sec 400°C 40.8 x 10-3cm2/s
1000°F 6.7 x 10-3 in2/sec 500°C 43.5 x 10-3cm2/s
1200°F 7.1 x 10-3 in2/sec 600°C 45.7 x 10-3cm2/s
1400°F 7.6 x 10-3 in2/sec 700°C 48.2 x 10-3cm2/s
1600°F 7.6 x 10-3 in2/sec 800°C 50.4 x 10-3cm2/s
1800°F 8.0 x 10-3 in2/sec 900°C 50.4 x 10-3cm2/s
2000°F 8.4 x 10-3 in2/sec 1000°C 53.0 x 10-3cm2/s
平均熱膨張係数 75-200°F 6.7 10-6in/in/°F 25-100°C 12.1 10-6 m/m/°C
75-400°F 7.1 10-6in/in/°F 25-200°C 12.7 10-6 m/m/°C
75-600°F 7.3 10-6in/in/°F 25-300°C 13.1 10-6 m/m/°C
75-800°F 7.6 10-6in/in/°F 25-400°C 13.5 10-6 m/m/°C
75-1000°F 7.7 10-6in/in/°F 25-500°C 13.9 10-6 m/m/°C
75-1200°F 8.2 10-6in/in/°F 25-600°C 14.3 10-6 m/m/°C
75-1400°F 8.5 10-6in/in/°F 25-700°C 15.0 10-6 m/m/°C
75-1600°F 8.8 10-6in/in/°F 25-800°C 15.5 10-6 m/m/°C
75-1800°F 9.1 10-6in/in/°F 25-900°C 16.0 10-6 m/m/°C
25-1000°C 16.5 10-6 m/m/°C
動弾性係数 RT 33.7 x 106 psi RT 232 GPa
200°F 32.9 x 106 psi 100°C 226 GPa
400°F 31.8 x 106 psi 200°C 220 GPa
600°F 30.8 x 106 psi 300°C 213 GPa
800°F 29.5 x 106 psi 400°C 206 GPa
1000°F 28.6 x 106 psi 500°C 198 GPa
1200°F 27.1 x 106 psi 600°C 189 GPa
1400°F 25.6 x 106 psi 700°C 180 GPa
1600°F 24.0 x 106 psi 800°C 171 GPa
1800°F 22.2 x 106 psi 900°C 160 GPa
2000°F 20.2 x 106 psi 1000°C 150 GPa
動せん断弾性係数 RT 13.0 x 106 psi RT 90 GPa
400°F 12.5 x 106 psi 100°C 88 GPa
600°F 12.0 x 106 psi 200°C 86 GPa
800°F 11.4 x 106 psi 300°C 83 GPa
1000°F 10.9 x 106 psi 400°C 80 GPa
1200°F 10.3 x 106 psi 500°C 76 GPa
1400°F 9.7 x 106 psi 600°C 73 GPa
1600°F 9.0 x 106 psi 700°C 69 GPa
1800ºF 8.3 x 106 psi 800ºC 65 GPa
2000°F 7.5 x 106 psi 900°C 61 GPa
 –  – 1000ºC 56 GPa
ポアソン比 RT°F 0.3 RT 0.30
200°F 0.29 100°C 0.29
400°F 0.27 200°C 0.27
600°F 0.29 300°C 0.29
800°F 0.29 400°C 0.29
1000°F 0.31 500°C 0.30
1200°F 0.32 600°C 0.31
1400°F 0.32 700°C 0.32
1600°F 0.33 800°C 0.32
1800°F 0.33 900°C 0.33
2000°F 0.34 1000°C 0.33

RT= 室温

低サイクル疲労特性

HAYNES® 188 合金は、高温で非常に良好な低サイクル疲労特性を示します。 以下に示す結果
は、800℉(427℃)~1600°F(871℃)の温度範囲で行ったひずみ制御疲労試験の結果です。試
料は、棒材を機械加工したものです。試験は、20cpm(0.33Hz)の周波数で、完全両振りひずみ
(R = -1)で行いました。

低サイクル疲労特性の比較

以下のグラフは、受領状態および予め1400℉(760℃)に1000時間曝露した状態の両方の場合
に対して、800℉(427℃)で試験した多数の合金の低サイクル疲労寿命を比較しています。試
料は、厚板あるいは棒材を、曝露試料は曝露後に、機械加工しました。 試験は再度、20cpm
(0.33Hz)の周波数で、完全両振りひずみ(R = -1)で行いました。 TSR =全ひずみ範囲。

耐酸化性

HAYNES® 188 合金は、空気および燃焼ガスの両方の酸化環境に対して非常に優れた耐性を
示し、2000℉(1093℃)以下の温度で長期間連続曝露して使用できます。短時間の曝露であれ
ば、188 合金はもっと高い温度でも使用することができます。

空気流中での耐酸化性の比較*

合金 1800°F (980°C) 2000°F (1095°C) 2100°F (1150°C)
平均酸化層厚さ** メタルロス 平均酸化層厚さ** メタルロス 平均酸化層厚さ** メタルロス
mils μm mils μm mils μm mils μm mils μm mils μm
188 1.1 28 0.1 3 3.7 94 0.5 13 10.7 272 8.6 218
230® 1.5 38 0.2 5 3.3 84 0.5 13 4.4 112 1.2 30
X 1.5 38 0.2 5 4.4 112 1.3 33 6.1 115 3.6 91
625 1.9 48 0.4 10 7.8 198 3.5 89 20.2 513 18.3 465
617 2.0 51 0.3 8 3.8 97 0.6 15 5.2 132 1.0 25

*試料を通過する空気の流速は、7.0 ft/min (213.4 cm/min) 。試料は、週1回のサイクルで室温まで冷却。
**メタルロス+平均内部酸化深さ

酸化試験パラメータ

バーナーリグ酸化試験は、3/8” x 2.5” x 特定厚さ (9mm x 64 mm x 特定厚さ)の試料を回転式の保
持具に取付け、No.2 燃料油を空気と燃料の比率が約50:1の条件で燃焼させたときにできる燃焼ガス
中に曝露して実施しました。(燃焼ガスの流速は約0.3マッハ数でした。)試料は30分毎に自動的にガ
ス流から取り出し、ファンで外気温度近くまで冷却した後、燃焼ガス流中に戻しました。

1800℉ (982℃)で1000時間曝露した時のバーナーリグ耐酸化性の比較

1800℉ (982℃)で1000時間曝露, 30 分サイクル
合金 メタルロス 平均酸化層厚さ 最大酸化層厚さ
mils μm mils μm mils μm
188 1.1 28 3.2 81 3.9 99
230® 2.8 71 5.6 142 6.4 163
617 2.4 61 5.7 145 6.9 175
625 3.7 94 6 152 6.6 168
X 4.3 109 7.3 185 8 203

2000℉ (1093℃) で 500 時間の
バーナーリグ酸化試験における耐酸化性比較

 2000℉ (1093℃)で500時間曝露、 30 分サイクル
合金 片面当たりの
平均メタルロス
平均酸化層厚さ 最大酸化層厚さ
mils μm mils μm mils μm
230® 7.1 180 9.9 251 11.8 300
188 10.9 277 13.1 333 14.1 358
X 11.6 295 14 356 15.1 384
617 13.3 338 20.9 531 21.2 538
625 消滅

水蒸気酸化データ

空気 + 20% H2O 中に 800℉ (982℃) で 1008 時間曝露, 1週間に1回のサイクル
合金 メタルロス 平均酸化層厚さ
mils μm mils μm
214® 0.04 1 0.64 16
230® 0.19 5 1.59 40
625 0.36 9 1.66 42
188 0.18 5 1.48 38
X 0.27 7 1.77 45
617 0.39 10 1.99 50
556® 0.35 9 1.85 47
HR-120® 0.38 10 2.08 53
800HT 2.47 63 5.07 129
HR-160® 0.77 20 5.57 141

耐高温腐食性

HAYNES® 188 合金は、硫酸塩付着タイプの高温腐食に対して優れた耐性を示します。試験は、0.4%
の硫黄を含んだNo.2燃料油を燃焼させる低流速バーナーリグで実施しました。空気:燃料比は30:1で
した。人工海水を5ppmの塩に相当する割合で噴射しました。試験は1000時間行い、試料は1時間に1
回のサイクルでガス流から取り出し、周囲温度付近まで冷却しました。ガス速度は13ft/sec(4 m/s)で
した。

1650℉ (899℃)における耐高温腐食性

合金 メタルロス 平均腐食層厚さ
mils µm mils µm
188 0.8 20 2.7 69
230® 1.2 30 5.1 130
625 1.8 46 5.2 132
X 1.6 41 5.5 140

耐硫化性

HAYNES® 188 合金は、さまざまな産業用途で遭遇するガス状の硫化環境に対して非常に良好な
耐性を持っています。試験は、アルゴン中に 5%H2、5%CO、1%CO2、および 0.15%H2S を含む混合ガス中で、1400℉(760℃)で行いました。試験片は、215時間曝露しました。 この試験は、平衡硫黄分圧が10-6〜10-7で、酸素分圧が酸化クロムの保護スケールを生成するのに必要な値よりも低い条
件での厳しい試験です。

1400℉ (760℃)における耐硫化性

5% H2+ 5% CO + 1%CO2 + 0.15% H2S + Balance Ar の雰囲気中での215時間曝露試験
合金 1400°F (760°C) 1600°F (871°C)
メタルロス 平均硫化層厚さ メタルロス 平均硫化層厚さ
mils μm mils μm mils μm mils μm
25 0.5 13 1.5 38 1.1 28 5.3 135
188 1.6 41 3.3 84 1.7 44 5.7 145
556® 3.1 77 4.9 124 6.2 157 16.4 417
310 6.2 157 9.1 231 8.3 211 14.1 358
617 5.0 127 10.8 274 3.8 97 17.2 437
800H 7.1 180 11.2 284 7.9 201 >27.6 >701
625 6.6 168 12.6 320 部分的に消失
X >29.5 >749 >21.7 >551

環境試験の評価に使用した金属組織学的技法の模式図

加工特性

熱処理

HAYNES® 188 合金は、通常、断面厚さに見合った時間、2150℉(1177℃)で最終的な溶体
化処理をされます。加工中のアニーリングはもっと低温で行うことができますが、最適な特
性および組織を得るためには、その後に最終的な溶体化熱処理が必要です。更なる情
報が必要な場合は、Haynes Internationalにご連絡ください。

室温特性に対する冷間圧延の影響*

圧下率 圧延後の
熱処理温度
0.2% 耐力 極限引張強さ 伸び 硬度
% ksi MPa ksi MPa % HR BW/C
0 なし 66.9 460 137.2 945 54.2 98.1 HRBW
10 105.9 730 151.5 1045 45.1 32.1 HRC
20 132.9 915 165.9 1145 28.3 37.1 HRC
30 167 1150 195.1 1345 13.4 41.2 HRC
40 176.8 1220 214.9 1480 9.8 43.5 HRC
10 1950℉ (1066℃) で 5分間 91.2 630 148.5 1025 41.4 29.7 HRC
20 87.8 605 153.3 1055 41 27.8 HRC
30 84.2 580 158.3 1090 41.3 29.6 HRC
40 90.8 625 162.7 1120 39.8 31.1 HRC
10 2050℉ (1121℃) で 5分間 64.7 445 143 985 50.1 21.9 HRC
20 71.4 490 149 1025 47.2 24.5 HRC
30 80.3 555 155.2 1070 43.7 27.6 HRC
40 86.9 600 159 1095 43.2 29.5 HRC
10 2150℉ (1177℃) で 5分間 61.9 425 139.6 965 55.3 95.6 HRBW
20 64.9 445 141.3 975 53.3 97.1 HRBW
30 66.5 460 142.8 985 51.8 98.5 HRBW
40 64.1 440 141.5 975 55.5 97.2 HRBW

*厚さ 0.125 in. (3.2 mm) の薄板を冷間圧延した結果に基づく。2回の繰り返し試験結果。
HRC = ロックウェル硬さ “C”
HRBW = ロックウェル硬さ “B”、タングステン球圧子

溶接

HAYNES® 188 合金は、ガスタングステンアーク(TIG)、ガスメタルアーク(MIG)、シールドメタルアーク(被覆アーク溶接棒)、電子ビーム溶接および抵抗溶接によって容易に溶接できます。溶接
特性はHAYNES® 25 合金に似ています。サブマージアーク溶接は、このプロセスが母材への入熱
量が高く、溶接部の冷却が遅いという特徴を有しているため、お薦めできません。これらの要因
は、溶接による拘束を増加させ、割れを促進する可能性があります。

母材の準備

溶接の前に、接合面および隣接する領域を完全に清浄にする必要があります。グリース、オイ
ル、クレヨンの跡、硫黄化合物、およびその他の異物はすべて除去しなければなりません。接合
部が銅または銅含有材料と接触するのを避けなければなりません。溶接時に合金が溶体化処理
されていることが好ましいですが、必ずしも必要ではありません。

溶加材の選定

188 合金を接合するには、同一組成の溶加材を推奨します。3/8インチ(9.5 mm)以上の厚さの接
合には、230-W® の溶加ワイヤを推奨します。シールドメタルアーク溶接に対しては、HAYNES® 25
合金溶接棒(AMS 5796)を推奨します。188 合金とニッケル基、コバルト基、あるいは鉄基材料と
の異種金属接合に対しては、具体的な事例に応じて、188 合金、230-W® 溶加ワイヤ、556® 合
金、HASTELLOY® S 合金(AMS 5838)、またはHASTELLOY® W 合金(AMS 5786、5787)の溶接
製品をご提案します。

予熱、パス間温度および溶接後熱処理

予熱は、溶接される母材が 32℉(0℃)以上であれば、通常は必要ありません。パス間温度は、通
常は低くしなければなりません。汚染物を取り込むことがないのであれば、必要に応じて、溶接パ
ス間に補助冷却手段を使用することができます。188 合金に対しては、溶接後の熱処理は、通
常、必要ありません。 更なる情報が必要な場合は、Haynes Internationalまでお問い合わせくださ
い。

溶接部の引張特性 – 室温

条件 0.2% 耐力 極限引張強さ 伸び
ksi MPa ksi MPa %
薄板 68 469 133 917 65
溶接部横方向 70 483 123 848 31
全溶接金属 79 545 117 807 46

機械加工

耐熱材料の機械加工に関する詳細な情報が必要な場合は、当社のウェブサイト(http:// www.haynesintl.com/)にアクセスしていただき、 ”溶接および加工”のパンフレットをご覧くださ い。

適合規格および基準

規格

HAYNES® 188 合 金
(R30188)
薄板、厚板および帯板 AMS5608
ビレット、ロッドおよび棒 AMS 5772
被覆アーク溶接棒
裸溶接棒およびワイヤ
継目なしパイプおよびチューブ
溶接パイプおよびチューブ
継手類
鍛造材 AMS 5772
DIN
その他

基準

HAYNES® 188 合 金
(R30188)
MMPDS 6.4.2

免責事項

Haynes Internationalは、本パンフレットに記載されているデータの精度・正確性を保証するために妥当な努力を払っておりますが、データの精度、正確性、あるいは信頼性について、いかなる表明も保証もいたしません。すべてのデータは一般的な情報のみであり、設計上のアドバイスを提供するものではありません。ここに開示されている合金特性は、主にHaynes International、Inc.によって行われた作業に基づいており、場合によっては公開文献の情報によって補足されているため、そのような試験の結果のみを示すものであり、保証最大値または最小値と考えてはなりません。実際の使用条件で特定の合金を試験して特定の目的に対する適合性を判断するのはユーザーの責任です。

特定の製品に含まれる特定の元素濃度とその潜在的な健康への影響については、Haynes International、Inc.が提供する安全データシートを参照してください。特記のない限り、すべての商標はHaynes International、Inc.が所有しています。

合金パンフレット

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