主な特徴

HAYNES® X-750 (UNS N07750) 合金は、おおよそ1600℉ (871℃)以下の温度において非常に良好な強度を有している時効硬化型のニッケル基超合金です。この合金は、航空宇宙および産業用途における鍛造および加工部品用の鍛造材料として広く使用されています。この合金の強度は、おおよそ1400℉ (760℃)以下の温度では HAYNES® 718 合金よりも幾分低く、それよりも高い温度では HAYNES® R-41 合金よりも低くなります。合金 X-750 は、アニールした状態では冷間成形することができ、おおよそ1900℉ (1038℃)あるいはそれ以上の温度では熱間成形することもできます。溶接性は、重度に拘束された条件下ではひずみ時効割れを起こしやすいために幾分制限されます。この合金は、おおよそ1600℉ (871℃)以下の温度において、酸化性の燃焼ガス環境に対して良好な耐性を示します。

*この合金に関して技術的なご質問がある場合は、当社の技術支援チームにご連絡ください。

標準組成

重量 %
ニッケル (Ni) Balance
クロム (Cr) 16
鉄 (Fe) 8
チタン (Ti) 2.5
ニオブ + タンタル (Nb + Ta) 1
アルミニウム (Al) 0.8
コバルト (Co) 1 max.
マンガン (Mn) 0.35 max.
ケイ素 (Si) 0.35 max.
炭素 (C) 0.08 max.

ストレス-ラプチャーデータ

薄板(AMS 5598)

試験温度 下記の時間で破断を生じるおおよその初期応力:
10 h 100h 1000 h
°F °C ksi MPa ksi MPa ksi MPa
1100 600 120 825 85 585 71 490
1200 650 80 550 66 455 50 345
1300 705 61 420 45 310 29 200
1400 760 41 285 26 180 15 105
1600 815 24 165 14 97 7.4 51
1700 870 12.5 86 6.6 46 - -
1800 925 6.5 45 - - - -

熱処理

薄板および帯板

1900℉ (1038℃)/ブライトアニール + 1350℉ (732℃)/8 h/ 1150℉ (621℃)まで炉冷/8 h/空冷

物理的特性

物理的特性 英国単位 メートル単位
密度 RT
0.298 lb/in.3
RT
8.26 g/cm3
溶融温度 2540-2600°F - 1395-1425°C -
熱伝導率 400°F
82 Btu.in/h.ft2.°F
200°C 14.1 W/m.°C
600°F
93 Btu.in/h.ft2.°F
400°C 16.9 W/m.°C
800°F
107 Btu.in/h.ft2.°F
600°C 19.8 W/m.°C
1000°F
120 Btu.in/h.ft2.°F
700°C 21.3 W/m.°C
1200°F
132 Btu.in/h.ft2.°F
800°C 22.7 W/m.°C
1400°F
147 Btu.in/h.ft2.°F
900°C 24.0 W/m.°C
平均熱膨張係数 RT - RT -
70-800°F 7.8 µin/in.°F 20-500°C 14.3 µm/m-°C
70-1000°F 8.0 µin/in.°F 20-600°C 14.8 µm/m-°C
70-1200°F 8.4 µin/in.°F 20-700°C 15.5 µm/m-°C
70-1400°F 8.9 µin/in.°F 20-800°C 16.3 µm/m-°C
70-1600°F 9.4 µin/in.°F 20-900°C 17.4 µm/m-°C
70-1800°F 9.8 µin/in.°F 20-1000°C 17.9 µm/m-°C
電気抵抗 700°F 47.7 µohm.in 20°C 121 µohm.cm
400°F 48.8 µohm.in 200°C 124 µohm.cm
800°F 50.5 µohm.in 400°C 126 µohm.cm
1000°F 51.2 µohm.in 600°C 130 µohm.cm
1200°F 51.3 µohm.in 700°C 129 µohm.cm
1400°F 50.7 µohm.in 800°C 128 µohm.cm
1600°F 49.8 µohm.in 900°C 126 µohm.cm
動弾性率 70°F
31.0 x 106 psi
20°C 214 GPa
400°F
29.2 x 106 psi
200°C 201 GPa
800°F
27.4 x 106 psi
400°C 189 GPa
1000°F
26.7 x 106 psi
600°C 184 GPa
1200°F
25.5 x 106 psi
700°C 176 GPa
1400°F
24.0 x 106 psi
800°C 165 GPa
1600°F
22.1 x 106 psi
900°C 152 GPa
1800°F
20.0 x 106 psi
1000°C 138 GPa

RT= 室温

引張データ

薄板 (AMS 5598)

試験温度 0.2% 耐力 極限引張強さ 伸び
°F °C ksi MPa ksi MPa %
RT RT 141.1 975 192.2 1325 23.6
1000 538 124.9 860 162.1 1120 22.2
1200 649 121.1 835 143.6 990 5.8
1400 760 92.0 635 94.3 650 2.5
1600 871 43.1 295 52.1 360 8.0
1800 982 9.1 63 16.6 115 42.0

RT=室温

適合規格および基準

規格

HAYNES® X-750 合金 (N07750)
薄板、厚板および帯板 AMS 5542AMS 5598
ビレット、ロッドおよび棒 AMS 5667AMS 5668AMS 5670AMS 5671AMS 5747
継手類 -
鍛造材 AMS 5667AMS 5668AMS 5670AMS 5671AMS 5747SB 637/B 637
DIN No. 2.4669NiCr15Fe7TiAl
その他 NACE MR0175ISO 15156
薄板、厚板および帯板 AMS 5542AMS 5598
ビレット、ロッドおよび棒 AMS 5667AMS 5668AMS 5670AMS 5671AMS 5747
被覆アーク溶接棒 -
裸溶接棒およびワイヤ AMS 5778SFA 5.14/ A 5.14 (ERNiCrFe-8)

Codes

HAYNES® X-750 alloy (N07750)
MMPDS  6.3.6

免責事項

Haynes Internationalは、本パンフレットに記載されているデータの精度・正確性を保証するために妥当な努力を払っておりますが、データの精度、正確性、あるいは信頼性について、いかなる表明も保証もいたしません。すべてのデータは一般的な情報のみであり、設計上のアドバイスを提供するものではありません。ここに開示されている合金特性は、主にHaynes International、Inc.によって行われた作業に基づいており、場合によっては公開文献の情報によって補足されているため、そのような試験の結果のみを示すものであり、保証最大値または最小値と考えてはなりません。実際の使用条件で特定の合金を試験して特定の目的に対する適合性を判断するのはユーザーの責任です。

特定の製品に含まれる特定の元素濃度とその潜在的な健康への影響については、Haynes International、Inc.が提供する安全データシートを参照してください。特記のない限り、すべての商標はHaynes International、Inc.が所有しています。

合金パンフレット

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