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溶接欠陥

溶接の不連続性は、米国溶接学会によって、”機械的、冶金学的または物理的特性における均質性の欠如のような、材料の典型的な組織の断絶”として定義されています。溶接欠陥は、溶接部の有用性を損なわせる不連続性の一種であり、最小限の適用される許容規格/仕様を満たせなくする可能性があります。溶接欠陥は、溶接のプロセス/手順に関連しているか、または溶接される合金の化学組成または冶金学に関連している可能性があります。

溶接金属のポロシティは、水素、酸素、または窒素などの特定のガスによる汚染の結果、固化中にガスが閉じ込められることによって形成される空洞型の溶接欠陥です。水素の集積によって生じるポロシティは、溶接継ぎ目領域および溶加金属に炭化水素汚染物質および湿気がないようにすることによって最小限に抑えることができます。酸素と窒素によるポロシティを避けるためには、高純度のシールドガスを使用して溶融池を適切にシールドし、十分なシールドガス流量を用いることが重要です。ポロシティは、HASTELLOY® および HAYNES® の溶接部で発生し得ます が、ほとんどの合金は、溶接中に形成されるガスに対して自然親和性を有するかなりの量のCrを含有するため、ポロシティに特に影響されることはありません。

溶接金属の巻き込みは、溶融池内に酸化物が取り込まれた結果として形成されます。これは、ほとんどの合金の表面に形成される強固な酸化被膜から生じます。表面酸化物の融点は、通常、母材金属よりもかなり高いため、溶接中は固体のまま留まり、溶融池に取り込まれやすくなります。したがって、表面酸化物は、溶接前およびマルチパス溶接のパスの間に除去することが特に重要です。GTAWの間にタングステン電極が溶融した溶融池に偶然に接触した場合、または溶接電流が過剰であった場合、溶接金属にタングステンの巻き込みが発生します。アルミやマグネシウムのような酸素に対して強い親和性を有する元素は、酸素と結合して溶接金属に酸化物の巻き込みを形成します。スラグ巻き込みは、SMAW、SAW、FCAWなどのフラックスを使用したプロセスに伴って発生します。残留スラグが、不適切な溶接ビードの重なり、溶接止端部における過剰なアンダーカット、または先行する溶接ビードの不均一な表面形状によって形成された空洞またはポケットに取り込まれると、溶接金属内に巻き込みが形成されます。したがって、フラックスを使用したプロセスにおける重要な考慮点は、スラグを溶接パスの間に除去することが容易であることです。巻き込みは、溶接部から削り取らなければなりません。さもないと、早期に割れを発生させ、機械的特性および使用性能に悪影響を及ぼします。

遭遇するその他の一般的なプロセス関連の欠陥には、アンダーカット、融合不良/溶込み不足、および歪みがあります。これらの欠陥は、一般に不適切な溶接技術および/または溶接パラメータに起因します。アンダーカットとは、通常は溶接のルート部や止端部において、母材金属に溶け込んだ溝で、溶接電流が過剰な場合に発生します。この不連続性は、溶接部の周囲に切欠きを形成し、溶接部の強度を著しく弱めます。融合不良は、Ni/Co基の溶融した溶接金属の”動きがのろい”性質および不十分な溶接溶け込み特性によって促進されます。

HASTELLOY®および HAYNES® 合金の歪み特性は炭素鋼と同様で、熱膨張係数が低いため、オーステナイト系ステンレス鋼の溶接部より歪みが小さいという傾向があります。治具、固定具、桟、支柱、溶接ビードの配置と配列は、歪みを最小限に抑えるのに役立ちます。可能であれば、中立軸を中心とした均等溶接を行うことで、歪みを最小限に留めることができます。組立品の適切な固定およびクランプは、溶接作業を容易にし、薄肉部分の座屈および反りを最小にします。可能であれば、幅と長さ全体に余材部を設けることを推奨します。その後、最終寸法にするために余分な材料を除去します。様々な継手デザインに対する溶接歪みを図 3に示します。

HASTELLOY® および HAYNES® 合金の通常の加工中に溶接割れが起こることはまれであり、割れの発生がほとんどない、大きくて複雑な部品の加工が期待できます。遭遇する最も一般的なタイプの溶接割れは高温割れであり、これはミクロ組織内の液体の存在と関連しています。高温割れは、溶接金属および溶接部の熱影響部で発生し、通常、結晶粒界に沿った液体フィルムに起因します。これらの歪み耐性のないミクロ組織は、すべての合金の溶融および凝固範囲内に昇温された温度において一時的に生じます。標準化学組成が原因で、特定の合金は、他の合金よりも高温割れの影響を受けやすくなっています。一般に、耐熱合金は、合金含有量が高いため、高温割れはより一般的な現象です。硫黄およびリンのような不純物元素、ならびにホウ素およびジルコニウムのような少量の合金添加元素は、それらが非常に低い濃度で存在していても、割れ感受性に強く影響します。

感受性の強いミクロ組織に加えて、溶接部の引っ張り応力レベルは高温割れの重要な因子で す。金属が凝固して冷却するときに生じる複雑な熱応力のために、溶接中に応力が発生することは避けられません。これは、ある程度は溶接継手の幾何形状および厚さに起因する、溶接部に固有の拘束に関連しています。一般に、接合部厚さが厚い溶接部は、高温割れに対してより敏感です。さらに、運棒速度が速いために形成される”涙滴形状”の溶融池は明確な溶接中心線を形成し、そこでは元素の偏析が高められ、横方向の応力が高くなるため、割れ感受性を増加させる傾向があります。溶接面に張力をかける大きな凹形溶接ビードは、凝固割れを促進する傾向があり、避けるべきです。Ni基合金の溶接割れのメカニズムおよび溶接冶金に関するさらなる情報は、以下の教科書に記載されています:

J.N. DuPont, J.C. Lippold, and S.D. Kiser, Welding Metallurgy and Weldability of Nickel-Base Alloys, John Wiley & Sons, Inc., 2009.

図 3: 様々な継手デザインに対する溶接歪み

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