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シールドメタルアーク溶接 (SMAW/“Stick”)

シールドメタルアーク溶接 (SMAW/“Stick” )は、消耗性の被覆電極棒と加工物との間にアークを発生させるプロセスです。SMAWは、すべての溶接姿勢、ならびに生産および修理の両方の溶接に使用できるため、多用途性があることでよく知られています。SMAWは、機器要件の点で最も簡単な溶接プロセスの1つであり、遠隔地で容易に操作することができます。しかしながら、厳密には手動溶接プロセスであり、一般に高い溶接者の技量を必要とします。さらに、典型的には、適用が約0.062 in(1.6mm)よりも厚い材料に制限されます。

SMAW用のHASTELLOY®およびHAYNES®被覆電極は、電極の使用可能性、溶着物の化学組 成、および溶接金属の健全性および機械的特性を決定するために多数の品質試験を受けます。被覆電極は、一般に、適合する母材の化学組成に対応する化学組成を有する溶着物を生成するように処方されます。被覆配合物は、一般に、特定の合金に応じてわずかに塩基性から、わずかに酸性にまで分類されます。Ni基被覆電極の分類要件の詳細については、AWS A5.11/ A5.11M:シールドメタルアーク溶接用ニッケルおよびニッケル合金溶接電極の仕様(米国溶接協会)を参照してください。

被覆電極は、使用する前は防湿の蓋付き容器に密封しておかなければなりません。 蓋付き容器を開けた場合は、すべての被覆電極を電極保管オーブンに保管しなければなりません。電極保管オーブンの温度は、250〜400°F(121〜204°C)に維持することをお勧めします。被覆電極が制御されていない雰囲気に曝された場合は、炉内において600〜700°F(316〜371°C)で2〜3 時間加熱することで再調整できます。

下向き溶接に対する典型的なSMAWパラメータを表3に示します。被覆電極はAC/DCとして分類されますが、ほとんどすべての状況において、電気的極性は直流棒プラス(DCEP/"逆極性")でなければなりません。アークの安定性を最大にし、溶融池を制御するためには、短いアーク長を維持することが重要です。電極は、一般に、約20°〜 40°の引き角で溶融池に対して後退させます(後退法)。一般的には、ストリンガービード溶接法が好ましいですが、溶融した溶接金属を必要な場所に置くためには、何回かの電極操作およびウィービングが必要となるかも知れません。ウィービングの回数は、溶接継手の形状、溶接姿勢、および被覆電極のタイプに依存します。 経験則では、最大ウィービング幅は電極芯線直径の約3倍でなければなりません。溶着させた時点で、溶接ビードは、好ましくは、わずかに凸型の表面輪郭を示さなければなりません。適切な溶接電流は、被覆電極の直径に基づいています。推奨された電流範囲内で操作した場合、電極はスパッタが最小の良好なアーク特性を示すはずです。過度の電流を使用すると、電極の過熱、アーク安定性の低下、電極被覆の破損、および溶接金属のポロシティを生じることがあります。過度のスパッタは、アーク長が長すぎる、溶接電流が高すぎる、極性が逆極性でない、または電極被覆によって水分が吸収されたことを示しています。SMAWの推奨運棒速度は3〜6 in/min(ipm)/75〜150 mm/minです。

目違い溶接は、直径が0.093 in(2.4mm)および直径が0.125 in(3.2mm)の電極でのみ推奨されます。目違い溶接の間、アンペア数は、表3の推奨範囲の下限まで減らす必要があります。立・横向き溶接中にビード形状を比較的平坦に保つためには、ウィービングビード技法が必要です。.093 in(2.4mm) の電極を使用すると、必要なウィービング幅が減少し、平坦なビードが生成されます。立・横向き溶接では、電極姿勢の範囲は、前進法(20°までの押し角)から後退法(20°までの引き角)までが可能です。上向き溶接では、後退法(引き角:0〜20°)が必要です。

電極が保護雰囲気の生成を開始するのに短時間を要するので、始動時にポロシティが生じることがあります。これは、HASTEL-LOY® B-3® 合金のような特定の合金に特有の問題です。この問題は、母材と同じ合金のスタートタブを使用するか、各溶接開始時に健全な溶接金属に達するまで研削することによって最小限に抑えることができます。溶接終端部にも小さなクレータ割れが発生することがあります。これらは、アークを中断する直前に、クレータを埋めるためにわずかなバックステップ動作を行うことで最小限に抑えることができます。すべての溶接の始点と終点を健全な溶接金属に達するまで研削することをお勧めします。

溶接面に形成されたスラグは完全に除去しなければなりません。これは、最初に溶接/ハツリハンマでハツリ、次に表面をステンレス鋼製のワイヤブラシで磨くことによって達成できます。マルチパス溶接では、次のビードが溶着される前に最後に溶着された溶接ビードから全てのスラグを除去することが基本です。残った溶接スラグは、溶接部の耐食性を損なう可能性があります。

表 3: 典型的なシールドメタルアーク溶接パラメータ(下向き溶接)

電極直径   アーク電圧   溶接電流
in mm Volts Amps
0.093 2.4 22-25 45-75
0.125 3.2 22-25 75-110
0.156 4.0 23-26 110-150
0.187 4.7 24-27 150-180
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